アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
まだまだ遠い……
-
俺は、マキの行動を監視する事にした。
案の定というかなんというか、マキは、家に帰った太郎の周りをウロウロしていた。
ホントどうしようもない女王様だよ。
神くぅーん!君が構ってあげないから、女王様が欲求不満でおいたしまくりですよぉー!!
早く帰って抱きつぶしてベッドに縛っとけよ。なんなら俺がベッドに縛って媚薬仕込んで神に電話してやろうかな?あいつすっ飛んで帰ってくるぞ。
あーもー、なんでいつも俺は当て馬役なんだよ、たまには美味しい思いさせろよ。いっそ、マキに惚れ薬仕込んで神のいない間俺が相手してやろうか…
そんな事を考えながら遠巻きにマキを尾行したが…
とんでもない光景を目の当たりにする。
賢史「ゲッ!!高霧緋色!!」
歩いてたマキに声をかけたのが、ただのナンパ男なら良かったのに、よりによって、元朱雀の人間がマキに接触してやがる!
知り合いなのか親しげに話しかける高霧緋色。マキはニコニコ答えてるが、警戒してるのか、一歩引いてる感じだ。
まぁそうだろう。そこは警戒してもらわなきゃ困る。朱雀の人間が神に繋がるマキと接触する事がどういう事か、俺はマキにちゃんと言ったはずだ。神を恨み、いまだに復讐しようとする奴らがいると…。
ってか、元朱雀の人間と接触してるなんて聞いてないんですけど。神は知ってるのか?
嫌な予感が現実になりそうな気がして落ち着かないまま二人を観察してたら、高霧緋色が何かに誘うようにマキの腕を強引に引いて歩き出した。
女王様も乗り気じゃないみたいだし…
仕方ない、ついでにもう一度太郎に首突っ込むなと言っておこう。
賢史「よぉ、マキ、こんなところで何してんだ?」
マキ「あっ、賢史さん」
緋色「!」
若干、高霧緋色を威嚇するように視線を送りながらマキに声をかけた。
マキは、俺の登場に驚かずに、意味深な困り眉の笑顔で「やぁん♪マズイ所見られた」と言いたげに俺の名前を呼ぶ。もしかしたら、とっくに尾行に気がついていたのか?いや、今回はかなり慎重に距離をとって後をつけたんだが…。
緋色の方は俺の殺気と風貌に驚きながら、察したみたいだった。マキを掴んだ手は離さず、俺に誤解しないでと話し出す。
緋色「こんにちは、俺、マキくんの友達ですから、そんな睨まないで下さい。すぐそこで個展やってて、マキくんに来てもらうところで」
緋色が指さした方向に、確かに個展の宣伝ポスターがあった。有名な芸術家が開く物で、主にこれから名前を売りたい新人の作品を中心とした個展だった。
緋色「俺、高霧緋色って言います。ポスターのココに名前ちゃんと乗ってるんで」
賢史「…確かに」
緋色「お兄さんもマキくんと一緒にちょっと寄って下さいよ、実は呼び込みノルマとかあって、友達がドタキャンで困ってたんすよ。ホント一周ぐるっと回るだけでいいんで」
良いこと思いついたと言いたげに、なぜか楽しそうな緋色が俺の腕を掴んだが、こいつかなり力がありやがる。
冬の上着じゃ厚くて躰つきまでは分からないが、俺を掴んだ手と手首の感じからして、かなり腕に覚えがあるガッチリ系…
賢史「おい!俺は…」
緋色「5分!いや、3分だから、ねっ、お巡りさんw」
やっぱ気づいてやがった。
高霧緋色は、俺の正体に勘付いてた。面と向かうのは初対面だが。朱雀時代何度も警察のお世話になったんだろう。そういう人種に鼻が効くんだろうな。
まぁ、こっちは一方的に知ってたが。
緋色「はぁーい!2名様ご案なぁーいw」
強引に連れて行かれた個展会場。
そこに飾られてた高霧緋色の作品は、彼の喧嘩慣れしてそうな顔からは、到底想像できない繊細なタッチのものだった。
賢史「…こりゃ…すげぇ…」
マキ「うわぁ…、綺麗」
思わず声が漏れた。
芸術なんか俺にゃ分からないが。
いかにも人殴ったことありますって顔したナンパ男が、こんなものを書けるなんてビックリだ。
なんといったら良いんだろう。
深い深い夜空…
深いブルーだけを使った
その濃い世界は、神秘的な空間をそこに宿していた。
緋色「えへへ、気に入ってくれた?」
照れてるんだか自信満々なんだか、首のあたりを痒がりながら聞いてくる緋色は、子供みたいにキラキラした瞳で、次の作品も指さす。
緋色「こっちも俺が描いたやつ」
今度はまた違った意味の神秘的なもの。
こちらは霧雨のような超細い点をモチーフに、一輪の淡い花と妖精のような不思議な美しい存在が描かれていた。さっきの深いブルーと違い、こっちは淡いピンクやオレンジやホワイトが中心の柔らかな色合いが使われている。
思わず見入ってしまい、俺もマキも緋色の作品に釘付けにされた。
賢史「…大したもんだなぁ」
緋色「ありがとうございます。でも、一番の自信作は次の絵なんです」
三枚目のその絵は、あらゆる白を使った油絵で描かれた真っ白な翼を広げたユニコーンの絵だった。
緋色「見て、マキ、こうゆうの好きでしょ」
マキ「うわぁー…、綺麗…」
マキの瞳がキラキラ輝いて、その真っ白なユニコーンに惚れ惚れするように近づいた。
キリリとしたユニコーンの表情、躍動感あふれる圧巻の迫力と、今にも羽ばたき嘶きそうで…
さっきまで迷惑そうだったはずのマキは、その絵にぞっこんって感じで…
緋色「この絵好きだろ?」
マキ「うん、でも、三枚とも素敵だよ」
緋色「もっと見たいと思わない?」
マキ「見たい見たい♪」
緋色「この馬の絵はシリーズでね、俺が気に入った人のイメージなんだ」
マキ「へぇー、モデルがいるんだね」
緋色「次の作品は、マキをモデルにしたいんだ」
マキ「えっ!」
はぁ?!
緋色「頼むよ!」
ガバッとマキの両手を握りしめ、抱きつきそうな勢いでその手を引いてお願いする緋色、その手の力が余りにも強くて頑丈で、マキはその手を振り解けず焦ってるが、緋色は止まらない。
緋色「君の絵を描きたい、もう、イメージは決まってるんだ」
近い近い!!
マキ「あっ、それは、前も断ったじゃないですか」
前も?
…うわぁ…、やらかしてんな女王様。
この場に神が…いなくて良かったぁ。
緋色「俺の絵気に入ってくれたろ?マキのこともっと綺麗に描くから、マキなら絶対凄い綺麗な絵になるから」
マキ「あの…」
緋色「椅子に座ってくれてるだけで良いから、マキのココを描かせて」
熱く情熱的で見据えた緋色の瞳は、マキの両手を右手で包むように握りなおしてから、左手をマキの胸に伸ばして触れた。
マキ「っ…!?…え?」
緋色「複雑で綺麗で深い君を、僕の手で描かせて」
神くぅーん!!
早く帰ってきてぇー!!
危ない肉食獣にロックオンされてるよー!!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
78 / 170