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まだまだ遠いい……
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女王様は、やっぱり俺の手には負えない。
かと言って、人の手にも負えないが…
あいつの瞳は嘘つきの瞳だ。
笑って、見透かして、企んで…
いつまでも自ら光を持とうとしない月みたいに…
太陽の光を受けて怪しく光、夜には輝く数々の星たちを蹴散らして君臨するのに、暗闇にその身を隠す事もする。
同じ闇人種の神には、なる別近づけたくないヤワラなんだが…
神には、昼間の世界に連れ出してくれる暖かな奴が居て欲しいと…、ずっと願ってんだがなぁ…
神君頑固だし…
マキ様はマキ様で、あの瞳が変化した瞬間を垣間見た時から、ヤバいもん見ちまったと思ったんだ…
マキ『神さん…行かないで…』
壊れたみたいに表情なく涙を溢れさせたかと思ったら、神と別れたくないと慟哭と共に仮面が崩壊した…。現れた素のマキは…可哀想なくらい子供で、哀れなくらい自分を偽ってたのが良くわかった…
分かりたくは無かったが…
今までずっと神を見てきた俺には…
その本当のマキを知ってしまって…
昔の神が、隠して苦しんで己と戦って本能に争って自分を作り変えようとしていた姿を思い出しちまった…
…だから、時間が必要なのは分かる…
マキが変わるには時間が必要だって…
だが…
いちいちムカつくんだよ…
生意気だし心配はかけるし頼りにしねーしヘラヘラと
まぁ、最初から分かってた。
こいつは俺の手には負えないし
一般人の手にも負えない
ましてや恋愛偏差値小学生以下の神君じゃどうにもならないってな…
まぁ、
仕方ない…好きになっちまったんだ
フェロモンだだ漏れのヤンチャで頑固女王様の、一応飼い主なんだから、神に責任がある。
あいつは一体青森で何をチンタラやってんだ。
そう言ってやりたいが、女王様に見つかると面倒なのでコッソリ隠れて小声で電話。
賢史「……もしもし、神?」
なんで俺が、ユリの家のトイレでコソコソ神に電話しなきゃならないんだか。
チクってるところを、マキに悟られないように声を潜めて神に電話したから、神は察して眉間にしわを寄せ困ったように不機嫌で低い声を出す。
百目鬼『…マキがなんかしたのか?』
流石、神君。
俺の声色で緊急性がどのくらいかまで察してくれちゃってるみたい。
賢史「お前いつ帰ってくんの?」
百目鬼『マキには1週間後だと言ってある』
賢史「実際は?」
百目鬼『すぐに帰れるようにしたいが、まだ目的のものが確保できない』
1週間も女王様放置なんかしたら、絶対ヤバいだろ。
賢史「お前さ、なんかヤバイのに手ェ出してるだろ。年越したら事件関係は減らして、自分の手があくように人員増やしたんじゃないのか?」
神は、一般の探偵業務が軌道に乗ったから、危ない橋を渡るのを止める予定だった。
今では人手が足らないくらい、普通の安全な仕事が山ほどある…、昔みたいに、人がやらない案件を扱って探偵業務所の矢田や杏子や檸檬を養う必要は無くなったはずだ。
百目鬼『…マキに絶対言うなよ。溝呂木を檻に突っ込むために上の力を借りた。その時の恩を会長に返すための仕事だ。危ない仕事はこれで最後だ。』
溝呂木…。神が朱雀の時から神を逆恨みして邪魔ばかりして、神に勝てないからって、やっとできた神の〝恋人〟を八つ裂きにしようと企んでた男。
賢史「なんで俺に言わなかった、言ってくれたら協力したのに」
百目鬼『…マキに秘密にするためだ』
賢史「は?俺に話しても秘密に出来るだろ」
百目鬼『…お前は、マキと繋がってるだろ』
賢史「あ?そんなわけ…」
百目鬼『あるだろ、マキと二人で俺に嘘ついた事』
賢史「あー…、じーん君ごめーんね☆」
百目鬼『…』
賢史「怒っちゃ嫌だぁ」
百目鬼『気色悪い』
賢史「で?内容は何な訳?」
百目鬼『…』
賢史「言わないと女王様にバラしちゃうぞ」
百目鬼『…色に狂って組の金を持ち逃げしたやつを探してる』
賢史「うわっ、面倒くさ!」
百目鬼『アホだが馬鹿ではないらしい、足取りを誤魔化して組の奴らには追えないお手上げ状態にしたらしい。だから俺が呼ばれたんだが…、雪で閉鎖された所に逃げ込まれた。籠城だな』
賢史「…マジかよ。それまで女王様野放し?」
百目鬼『……、マキがまたなんかやってるのか』
賢史「やってるもやってる、あの女王様だぜ?大人しくしてる訳ないじゃんか。今なんか修二と水森泉とイチャラブだぜ?それに変な虫は寄ってきてるし」
百目鬼『…』
賢史「……。ってかよ、単純に寂しいだよお前がいなくて」
百目鬼『マキがそう言ったのか?』
賢史「言う訳ないだろ!女王様だぜ」
百目鬼『だな…言う訳ないな』
賢史「え?え?神君、言わないだけで。女王様は凄く寂しいって思いしてるのは本当の事だぞ。まさか、言わないから思ってないとか思ってないよな」
百目鬼『…』
賢史「えー、否定してよ。神君の代わりに白いライオン持ち歩いてるんだからさぁ…」
百目鬼『………。言わないから思ってないとは思ってない。あいつはムカつくくらい言わない奴だ。…分かった、一度そっちに戻る』
賢史「え?来れんの?」
百目鬼『依頼人に途中経過を報告する。こっちには人を呼ぶからなんとかなる』
おっ、これで寂しん坊の女王様も少し大人しくなるだろう。
やっと女王様のお守りから解放され…
百目鬼『で?…、どこのどいつだ、その虫とやらは』
あっ、ヤバッ…
百目鬼『詳しく聞かせろ』
どうしよう…、その虫が高霧緋色ですなんて口が裂けても言えない…
やっとお守りから解放されるかと思ったのに、新たな悩みの種を作っただけだった…
俺って可哀想。
ユリ「賢史さんトイレ長ッ!レディーの家で信じらんない!」
疲労困憊でトイレから出てきたら、今度はユリが噛みていてきやがる。
大便してると勘違いされてるし…トホホ
つよし「ユ、ユリちゃん落ち着いて。け、賢史さん、手を洗ったらリビングで座ってて下さい、今コーヒー淹れますから」
賢史「あー、やっぱつよし君可愛いねぇ、癒されるなぁ」
つよし「ッ…、ケ、ケケケーキがあるので、賢史さんもどーぞ!」
賢史「顔真っ赤。俺はケーキより可愛いつよし君が食べたいなぁ」
つよし「ッ!!」
真っ赤なつよしの顔が、さらに赤く茹だって、もう本当、こんな純粋な反応可愛いよなぁ。
ユリ「弟に触んな変態!」
つよしの頭をヨシヨシして、飛んできたユリの右ストレートを軽くかわしてリビングの方に振り返ると、何故かそこには、修二と水森泉しかいなかった。
賢史「あれ?…マキと白いライオンは?」
つよし「あ、あの、マキさんは、お友達から電話があって、出掛けました」
は!?
出掛けた!?
賢史「え!?今?!」
外は真っ暗、時計は22時半を過ぎてる。
雪が降りそうに冷えたこんな夜中に友達?!
つよし「は、はい、夜遅いからってユリちゃんが止めたんですけど…、そ、相談したい事があるって言われたから心配だからって…」
おいおい勘弁してくれよ!
その友達って誰だ?!
まさか高霧緋色じゃないだろうな!
いや、今のタイミングならこないだ助けた太郎もあり得る…
どっちにしても面倒なのは変わらない
せっかく神君が帰ってくるって言ってたのに
神君激オコになっちゃうよ!
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