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まだまだ遠いい……。
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ー同時刻
賢史「ったく!あの珍獣女王様はどこまでアホなんだ!」
怒れる俺は、マキを追いかけてタクシーに乗り込んでいた。
賢史「せっかく神に顔見せるように言ってやったのに!明日になりゃ会えたのに、ホント大人しくできない馬鹿女王が…」
ユリ「落ち着きなさいよ酔っ払い」
タクシーの中でイラつく俺に、ユリが冷ややかな言葉を浴びせ、腕組みして隣から睨んでくるが、こいつも酔っ払いだ。下手したら、俺より飲んでるだろ…。
賢史「俺は酔っ払うほど飲んでない、ってか、あいつ、おちょくりやがって…」
苛立ち握りしめた携帯には、《こんな時間にどこほっつきあるってんだ!》というメールの問いに対して、マキのヘラヘラおちゃらけた口調が想像できる回答が返ってきてた。
《やだぁ〜♪賢史さんってば最近ストーカーみたい♪♪僕のこと大好きなのは分かるけど♪、僕はもう百目鬼さんのもの♪だ♡か♡ら♡♪♪ごめーんね♪♪賢史さんだいぶ酔ってるみたいだから酔っ払いは早く寝なさーい♪♪間違ってもつよしとかユリちゃんいきなり襲っちゃダメだよ♪ちゃんと口説いてからにしなねぇー♪♪》
《んふ♡》
クソガキ!
何がストーカーだ!
何が僕は百目鬼さんのものだ!
何が口説いてからだ!口説いたら襲っていいのか!お前の友達が俺に喰われていいのか!
って!
今はそれどころじゃない!
マキが怪我でもして、太郎の事件に首突っ込んでんの神にバレたら、またあいつら面倒くさいことになんだろ!
ってか!
なんでユリがついてくんだ!!
賢史「ってか、なんでお前が居るの?」
ユリ「やーねー、狼さんからマキちゃんを守るためよ」
狼って俺か!?
ってか、狼より危険な猛獣が今青森からこっちに向かってるんだよ。
ユリ「友達と会うくらいで何カリカリしてるの?マキちゃんだってもうすぐ20歳になる大人よ」
賢史「友達?友達じゃねぇー、あいつが今居るのは狼の巣窟だ」
ユリ「…、賢史さんて…、ホント、マキちゃんに対して過保護よね」
賢史「過保護とかじゃねーよ、あいつがすぐフラフラ危ないことに首突っ込むから…」
俺が過保護なんじゃねー!
あいつの後ろには過保護で独占欲の固まりの嫉妬獰猛犬がいるんだよ!そいつ怒らせたら泣くのはマキなんだよ!ってか、神が怒らないなんて無いんだよ!
マキは、〝泣かされ確〟なんだよ
ユリ「…賢史さんてさ、やっぱりマキちゃんが好きなんでしょ」
賢史「はぁ!?」
誰があんな珍獣女王様相手に?!
俺が、獰猛な猛獣の神と争うなんてあるわけないだろ!面倒くせえ!!
賢史「…ってか、こないだもそんなこと言ってたな。…さては、嫉妬か?お前俺が好きなんだろ」
ユリ「はああ!?…ッ!あり得ない!誰がセクハラ変態のあんたなんかを好きになるってーのよ!!」
ここがタクシーの車内だというのをすっかり忘れたユリが、顔を真っ赤にして絶叫したが、そこまで全力で否定されると、逆に怪しいし、ユリを弄るのはすこぶる楽しい俺のマイブームだ。
賢史「そう照れるなよ、俺みたいなイケメンに惚れるのは当たり前だ」
チャラケてユリの肩を抱いたら、ユリは俺の脇腹に男らしいグーパンを炸裂させたくせに、乙女のようにキャーキャーか弱いアピール。
ユリ「キャー変態!触んないでよ!そうやって直ぐ誰でもかれでも手を出して!わ、私の体は私のダーリンのモノなんだから!」
賢史「イテッ…、て、お前ダーリンいないだろ」
ユリ「ッ!、み、未来のダーリンだもん」
賢史「遠い未来過ぎて体が干からびちまうぜ」
ユリ「それはあんたでしょ!私!超モテるんだから!」
賢史「まぁ、ユリは綺麗だからな」
ユリ「!?」
賢史「でも、跳び蹴りかます超人じゃん」
ニヤリと笑いながら言う俺に、ユリは俺との出会いを思い出し、真っ赤になりながら羞恥に震える手で俺の頭にチョップかましてきやがる。
ユリ「あ、あれは、お、弟を守ろうとして…」
赤面するユリがバシバシ叩いてくるが、羞恥が勝ってるのかさほど痛くないし、喜怒哀楽が割と素直なユリの反応は可愛らしい。
今、ユリに〝可愛い奴だなぁ〟とか言ったら、確実に沸騰して倒れちまうな。
ったく、マキもこれくらい喜怒哀楽が素直なら、神だって苦労しないのに…。
素直…、無理だろうなぁ…
ユリ「ちょっと!賢史さん聞いてる!?」
賢史「聞いてる聞いてる、俺がカッコ良すぎて惚れ惚れしちゃうって話だろ?」
ユリ「は?…ち…」
賢史「イケメンすぎるって罪だよな、毎日モテモテで相手に困ったことないし」
ユリ「その顔でナルシストなこと言わないでよキモい!、ってか、どうせ一夜の相手でしょ!モテモテだっていうなら、そういう不誠実なのやめて一人に決めなさいよ」
賢史「バーカ、俺が誰か一人のものになったら、世界で戦争が起こるぞ。みんな俺を取り合ってな」
ユリ「寒〜い、セクハラ親父の妄想。どこがイケメンなのよ!無精髭生やして、髪の毛だってボサボサで清潔感ないし、服だってヨレヨレ」
賢史「はぁ?髭も髪もちゃんとセットしてるぞ、野生の男の無造作ヘアーってやつだよ」
ユリ「いやいや、ボサボサだから、刑事なんだからもっと清潔感持ちなさいよ」
ブツブツ文句垂れるユリが煩いので、タクシーの窓を使って横からやんわり壁ドンして耳元で囁くと、ユリはビクッと、赤い顔をさらに赤くして硬直。
賢史「近くで見てみろよ、髭も味があっていいだろ?ん?ユリ」
ユリ「!!!」
賢史「…はっ、やっぱ反応がいちいち可愛らしいね、ユリちゃんは。…マキもこんくらい分かりやすければ、神も苦労しないのに…」
ユリ「…」
ユリから離れてやると、真っ赤だったユリの頬の赤みが引いて、代わりにむすっとブチャイクなふくれっ面の涙目。
ユリ「…賢史さんだってそうじゃない」
賢史「は?俺?俺は欲望のままに素直だぜ」
ユリ「…賢史さんその場のノリでふざけてばっかりじゃない」
賢史「ノリの雰囲気と勢いは大事だぞ」
ユリ「ほら、そうやって直ぐ茶化す。女はね、そうゆうの分かるんだから、自分をちゃんと見てくれてるか、本気で向き合ってくれてるか、信頼されてるか。分かるんだから」
少し真剣な目をして拗ねたユリが、痛い所をついてくるが、俺は彼女になった女には、それなりにちゃんと向き合ってきたつもりだし、大事にしてた。
まぁ、職業柄一緒に居られる時間は短いがな…
ユリ「賢史さん、いっつも女の子に別れたいって言われるって言うけど、確かに刑事さんは忙しいし休みもろくに休めてないみたいだけど。ノリで誤魔化してばかりいたら、誰だって信じられないし、寂しいじゃない」
…。
賢史「…あれ?、ユリちゃん俺のこと慰めてくれてんの?」
ユリ「…、馬鹿じゃないの!誰が慰めてんのよ!
私はただ、早くあんたが彼女作って結婚してくれれば、つよしが汚されなくて済むからに決まってんでしょ!」
賢史「…じゃ、真剣に誠実につよしを口説いてこよう」
ユリ「バッ!…ダメに決まってんでしょ!」
賢史「あはは、そんな嫉妬すんなよ」
ユリ「はあ!?、誰が!誰によ!。
……はぁ…また誤魔化して…、だから…、マキちゃんに弄られるんじゃん」
賢史「は?」
ユリ「マキちゃんに相手見つけてもらいなよ。マキちゃん賢史さんの事いつもニヤニヤ話してるから、いい相手見てけてキューピッドになってくれるわよ」
賢史「は!?、いつもニヤニヤ話してるって何をだよ!」
ユリ「……。教えてあげなぁーい」
賢史「ユリ、教えないと犯すぞ」
ユリ「やだぁー、刑事さんが脅してくるー通報しよー」
賢史「ユリ!」
ユリ「キャー、刑事さんがか弱い私に言い寄ってくるんですけどぉー」
賢史「ユリ!!」
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