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悪癖を治そうとすると違う悪癖を生む①
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マキ「みんな、言いたい放題言うんだ…」
『素直に甘えろよ』
マキ「賢史さんも、泉も、つよしもむつや華南まで…。みんなして本当の気持ちを言えばいいとか甘えろとか簡単に…、そういうんじゃないんだ…。なのに、そう出来ないのは百目鬼さんを信じてないのかとか言うし…、違うのに…、そういうんじゃないのに…。…違うんだ…。修二なら分かってくれたかな…、修二に話せたら…。…でも、…修二もみんなとはちょっと違う言い方だったけど、僕に素直になれって…。修二は、なんかますます子供に言うみたいに優しい目をして僕の頭なんか撫でるし…。…違うのになぁ…僕は…ちゃんと良い子にしてるのに…」
今は、何もかもが包み込まれてる…
幸せな気持ち。
幸せな時間。
あの頃憧れていたもの。
夢のような時間。
小さな僕が縋った願い…
時々思い出す…。
あの頃の幸せ、あの頃の温もり、偽りだらけの中に本当の愛情もあった。
『優絆はどんどん綺麗になるね、賢くて優しくてとても良い子で、私の自慢の息子だよ』
優しい掌がいつも撫でて抱きしめてくれた。
『偉いね、よく出来てる。でもほどほどにね』
求めたら求めた分だけ愛してくれた。
『愛してるよ、〝マリア〟』
良い子でいれば良い子でいた分喜んでくれた。
それは、僕の望んだこと…
その仮面を被っていれば、僕は僕の欲しいものを手に入れることができたから…
だけど…今は…
仮面を被る事は許されない…
僕自身を見てくれる人がいる…
僕が望んでたこと…
だけどそれは…
とても幸せなのに…とても…『・・・』
ぬくぬくの布団、腕の中のフサフサのホワイトライオン、そのどちらより僕を満たすのは、僕を撫でる大きなゴツい掌。
僕を独占してくれるこの腕がたまらなく愛おしい。
もっともっとと欲張る気持ちは増えるばかり…
狂った過去を悔み優しい人になりたいと願う貴方と
優しくなろうと努力する貴方が愛しくて、狂うほど愛されたいと欲張る僕…
『もっと素直になれば?』
『我儘言えば良いのに…』
『本当の気持ちを言えよ、あいつなら叶えてくれる』
本当のことを言ったら、ダメなんだ。
素直になれないとかじゃない。
これは、僕の病気だから…
あの人を信じてないわけじゃない
疑ってるわけでもない…
今が幸せなのは嘘じゃない
怖い気持ちはあるけど、これはあの人のせいじゃない。
『俺のものだ、全部欲しい、お前の全部だ』
本当に嬉しい、全部あげたい…
あげたいけど…
僕はね…
マキ『長期出張?』
百目鬼『すまないマキ、仕事で…。高霧が事務所に加わったら時間を作る約束だったが、断れない仕事なんだ。すまないが…最低10日程家を空けなけることになる』
マキ『そうなんだ。僕なら平気だよ♪。お仕事頑張ってね♪』
百目鬼『…。怒って良いんだぞ』
マキ『怒る?なんで?』
百目鬼『…。時間作る約束したろ』
マキ『うん。時間作れたらって約束だから、時間が出来た時守ってくれるでしょう♪』
百目鬼『はぁ〜、お前ってやつは…、だから嫌なんだ』
マキ『…。10日以上なんて遠いいところなんだね。お土産買ってきてね♪』
百目鬼『……、青森だ。潜入もしなきゃならないから、悪いがお前からの連絡には答えられない』
マキ『そうなんだ。分かった。メールも電話も我慢するね♪』
百目鬼『…他に言うことないのか』
マキ『えっ、…じゃあ、今晩10日分いっぱいしようね♪』
百目鬼『違うだろ!ってか馬鹿が!明日大学だろ!』
マキ『えー、じゃあ、出張中テレホンSEXしてくれる?』
百目鬼『アホか!』
百目鬼さんが出張に出掛けた…
今までも出張に出掛けた事はあったけど、今回の出張はいつもと違っていた……
今回の依頼に、百目鬼さんは緊張してるように見えた。
依頼内容を隠し、僕を関わらないようにしているようだった。
百目鬼さんがいつも依頼内容を僕に話すわけじゃないし、僕を事件性のある仕事から遠ざけようとしているのはいつもの事だけど、…なんだかいつもと違った気がしたんだ。
なんだかとっても危ない事をしているような…
百目鬼さんが出張に出掛けてから、東北は断続的に降る雪で真っ白になった。
仕事は難航し、身動きが上手く取れない百目鬼さんは、本当に10日帰ってこないし、まだ青森から帰ってこれない…
百目鬼さんが、出張で予定より長く掛かるのはこれが初めてのことだった…
真っ暗な冬の冷え切った空気は、肌に刺すように厳しく、そのうち雪でも降るんじゃないかと思うほどで、息をするにもマフラー越しでないと痛いくらい凍てついていた。
時間とともに白んできた、薄暗い空に、ゆっくりと朝日が昇り始めた頃。
マキは一人、締め切った暗い寝室のベッドに横たわっていた。
外から帰ってきてそのままの、上着とマフラーをしたままで、暖房も付いてない冷え切った部屋の中で、腕の中に百目鬼からもらったホワイトライオンをキツく抱きしめていた…
マキ「………」
家の中は、なんの音もしない。
いつもだったら居る猫のミケも、ゲージを飛び越えようとする犬のキングも、今はペットホテルに泊まってる。
マキの様子がおかしい事に気が付いた水森泉が、マキを連れ出すために、ミケとキングを預けたのだ。
マキの様子がおかしいと言っても、これは彼の病気みたいなもので、悪癖。
『神は、昼頃に一度帰ってくるぞ』
神さんが帰ってくる…
一度って事は、仕事が終わってないんだ。賢史さんの言い方を考えると、賢史さんが神さんになんか言ったんだ。だから、仕事の途中で帰ってくるんだ。だって僕が連絡した時は、そんなこと言ってなかった…。
でもどおして?太郎さんのこと、賢史さんは神さんに言ってなかったみたいだった。僕はちゃんと話はしてたから、…まぁ、怒ってはいたけど、勝手に動いたわけじゃないし、僕が話した時は、仕事がまだかかる風なこと言ってたのに…
また…、僕のせいかな…
賢史さんがなんか言って、神さんがキレちゃったのかな…。
…神さん怒ってるんだろうなぁ…
…お風呂に入っておいた方がいいかな…
あっ、でも、後ろ準備しちゃったら、お仕置きSEX期待してたんだろうって益々怒っちゃうなぁ…。
でも、神さんいない間、一回も弄ってないし、もし、帰ってきて顔合わせた瞬間ブチ切れて猛獣さんだったら、きっと神さんのおっきいのいきなり突っ込まれたら怪我しちゃうし、一回済んで冷静になった神さんが血なんか見ちゃったら、もう二度とSEXしないとか言いそうだし…。
それは困るし…
僕はもっとしたいのに…、神さんはしたくない…
そんなこと分かってるのに、僕の淫乱な体は、ずっとずっと神さんを求めてばかりで…
上手く調節できない…
マキ「……神さん……」
ホワイトライオンにマキが顔を埋めてギュッと抱きしめても、微かに百目鬼のコロンの香りのするふわふわなぬいぐるみは寒さは凌いでくれるけど、抱きしめ返してはくれない。
マキ「……神さ…ん……」
名前を呼ぶたびに募るのは、愛しいだけの綺麗な感情じゃなくて、その雄々しい温もりを想像して熱を帯びる。
マキ「ァ…、じ…んさぁん…」
禁じられた一人遊び。
ダメだと思うのに、真っ白な綺麗な思い出の詰まったホワイトライオンを抱きしめて、百目鬼に抱かれてるのを想像してしまう。溢れる欲望は熱くなるばかりで、抑えきれずに切なく悶える。
マキ「神…さぁん…」
今日の昼。それは後7時間後のこと…
だけど今すぐ抱きしめて欲しい
今すぐ声が聞きたい
とっくに、マキの限界は超えていた…
それでも良い子でいると約束した。
なのに、愛しいはずの百目鬼は、この後きっとマキと再会した瞬間怒鳴って叱るだろう。
マキはそれがちょっと悲しかった。
会えるのは嬉しいし、お仕置きでも抱いてもらえるなら嬉しい、仕事の途中なのだから、きっとすぐに青森に戻ってしまうだろうが、数時間でも良い、ギュッと抱きしめてもらえる事が嬉しくて仕方ない。
だけど
その喜びは全部欲になる。
百目鬼にあった瞬間、いや、会うことを想像する今から体は熱を帯びて、触らなくても分かるくらい硬くなったものから嫌らしい汁が滲んでる。一人で慰めれば良いのに、伸びるのは、前ではなくて後ろの疼きっぱなしの小さな蕾。今すぐ服を脱いで、百目鬼のモノを想像してグチャグチャにしてしまいたい。
マキ「ンッ…はぁ…、神さん…欲しぃ…」
だけど、許されない。
オモチャは全て捨ててしまった。
指で弄ることはできるけど、怒って帰ってくる百目鬼を前に、ここを弄ってローションまみれにしたら、益々火に油を注ぐことになる。
『準備万端で待ってましたってかこの淫乱!』
いつもだったら、流せる言葉だが、今のマキはちょっと違う。
今のマキは、今までとも、いつものマキともちょっと違う。
それに、水森泉は気が付いた。だから連れ出したのだが…
百目鬼は、そんなマキに気付かないだろう。
マキ「んんっ…ダメ…ダメなのに…、神さん…」
服の上から擦る様に揉んでも、欲しいのは奥の奥、百目鬼の大きいものでしか届かない様な、ずっと奥の疼きをどうにもできず、悶えて切なげに啼く。
マキ「神さん…ァん…、神さん…ンッ…ァ、お願い…もっとギュッてして、…もっと欲しい…ァ…神さん…」
荒げる吐息の先にあるのは、無機質なプラスチックの瞳。ホワイトライオンのぬいぐるみはマキの体温で温かさは感じるが、抱きしめてくれない、キスもしてくれない…
ただただ、発情するマキを、無機質に見つめるだけ…
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