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悪癖を治そうとすると違う悪癖を生む⑨
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恐る恐る打ったメール…
それは…
12時間後、僕へのダメージとなって返ってきた。
《覚えてないのか。アレはお前が欲しがったんだぞ。酔ったお前が、寂しいから我慢できないと泣いて頼んできたんだぞ。ー百目鬼神ー》
グハッ!?
ぼ、ぼ、ぼ、僕が?!
泣いて頼んだ!?
コレを?!
百目鬼さんの形の手作りバイブを!?
《それより飯食ったのか!ちゃんと寝てんのか!》
あれれ?僕の方が心配されちゃてる?
しかもすっごい怒ってるぅ。
えっと…
〈食べたし、ちゃんと寝たよ。
すっごく美味しかったありがとう♪〉
送信っと。
送ったメールは食い気味の返信で更に追い討ちしてきた。
ービロン♪
《嘘ついたら直ぐわかるんだぞ。帰ったら水森泉が全部教えてくれる約束だからな》
百目鬼さんの言葉に恐る恐る泉に聞いてみた。
泉「ええ、百目鬼さんからはマキの面倒を見るようバイト代を頂きましたので、百目鬼さんが帰るまでマキは私の目の届く所にいてもらいますよ」
キラリと眼鏡を光らせ怖い顔した泉は、すでに百目鬼さんに買収されていた。
えー…
イズミン僕の味方じゃないのぉ〜…
ってか、僕と泉は友達じゃん…
一緒に居るのにバイト代もらうなんて
えーん。
ーピロン♪
《明後日帰るから覚悟しとけ》
ふぎゃー!?
な、なんで?!
なんでなんで!?
なんか凄い怒ってらっしゃる?!
酔った僕!一体百目鬼さんに何言ったんだ!!
修二の事を知らないふりしてフォローを入れようとしたのに、なんだか、僕が怒られてるし!
も、もしかして、修二に僕がなんか聞いてると思ってるのかな?
…っていうか…
もっと素っ気なく避けられるかと思ったのに…
ーピロン♪
《それまでオモチャ以外で遊ぶな。外出禁止だ。野良猫の面倒を見に行きたいなら俺が帰ってからにしろ。俺は仕事に戻る》
最後のメールに目玉と心臓が飛び出した。
オモチャにすら嫉妬して全捨てさせた、あの、百目鬼さんが、僕にオモチャで遊べって言った!!
しかも野良猫!?
それって太郎の事だよね…
野良猫って神さん酷い…
やっぱ怒ってるんだ…
…。
マキは、百目鬼から来たメールを見返して、そして修二の言葉を思い出していた。
いつも通りに見える百目鬼に、なんだか不安が募る。
携帯を握りしめ、その画面に表示された日付を見つめながら、明後日までが酷く長いと感じていた。
マキ「やっぱ直接顔見てじゃないと無理だなぁ…」
マキがついつい口にした言葉に、水森泉はチラッとマキの顔を見る。マキのうつむいた視線を見て察したのか、聞かなかったように振る舞った。
泉「喉が渇いたのでカフェオレ作りますがマキもいりますか?」
マキ「うん、砂糖多めにして♪」
泉「はいはい」
泉はマキと長い付き合いの中で知っていた。
マキは、人に踏み込まれるのを好まない。
マキの悩みを心配するものであればあるほどマキはそれをかわして閉め出す。
修二に電話した後から、マキの様子が変わったのに気づいていた。
変わったと言っても、変なわけではない。
わずかな違いだが、今のマキを知った泉にとっては明白な違いだ。
マキが、百目鬼と知り合う前の、学生時代によく見た目の色に戻ってる。
泉「…しかし驚きですね」
マキ「何が?」
泉「百目鬼さんは料理がお上手なんですね」
カフェオレと一緒にマキの前に持って行ったのは、冷蔵庫の中に用意されていた、百目鬼お手製の四角いバッドに入って冷やされたプリン。
それを見た瞬間マキの目が輝いた。
マキ「プリン!!」
泉「デザートにって、冷蔵庫の入ってましたよ。時間がなかったから小分けには出来ないから、直接食べていいって」
冷蔵庫の中には、あの強面の百目鬼からは想像できない料理の数がタッパーやジップロックに入って綺麗に整頓されて入っている。
泉「まるでレストランですね」
マキ「百目鬼さんの実家が定食屋さんで、百目鬼さん昔手伝ってたんだって」
泉「…昔?」
泉は、百目鬼が朱雀でやんちゃしてたのを知ってるから、益々不思議そうな顔した。
マキ「うん。小学生の時から」
泉「小学生?!」
マキ「百目鬼さん、小学生入った時おばあちゃんと同居して、それからずっとお店のお手伝いしてたんだって。おじいさんがね、『働かざるもの食うべからず』とか言ったらしいよ♪あはは♪」
泉「あぁ…、百目鬼さんの所は、確か父子家庭で、しかも父親が不在がちだったんでしたっけ」
百目鬼さんのアルバムを見せてもらうようになってからは、僕のお気に入りの写真は携帯で写メして持ち歩いてる。泉にも見せびらかして写真の百目鬼さんがいつの時で、どんな事してるのか聞かせるから、百目鬼さんのこと泉は嫌でも詳しくなっちゃった。
マキ「うん、百目鬼さんが高校生になってお父さんが再婚するまでは、百目鬼さん一人っ子だから、おばあちゃんおじいちゃんと普段は3人だけ。今では兄弟7人の甥っ子姪っ子に囲まれる大家族だけどね♪フフッ♪神さん甥っ子姪っ子に大人気なんだよ♪みんな神さんがおむつ替えたりミルクあげたりしたんだぁ♪」
泉「だから、マキの面倒くさい面倒も甲斐甲斐しく見れるんですねぇ」
マキ「ええー!イズミンひど〜い」
泉「事実面倒くさいじゃないですか。自分の事は後回し、直ぐに他人の面倒ごとに首突っ込んで」
マキ「面倒ならもう帰っていいよー、1人で平気だもん」
泉「ほらそうやって」
マキ「体だってもう動かせるし」
泉「よく言いますよ。ぶっ倒れないだけでいつも限界まで我慢して」
マキ「自分の事はちゃんと分かってるもん。倒れるなんてヘマしないよ」
泉「いっそ倒れてしまえばいいのに」
マキ「なんか泉、酷くない?」
泉「倒れて百目鬼さんを泣かせないと貴方はきっと反省しないんでしょうね」
マキ「へ?」
泉「貴方が倒れたら、百目鬼さんは号泣して自分のせいだと責めるでしょうね」
マキ「ちょっと、物騒なこと言わないでよ、百目鬼さんが号泣とかないから、やめてよ」
泉「フッ。本当にそう思いますか?」
ニヤリと笑った泉の目はマジで、冗談で済ませる気は無いみたい。
マキ「僕って頑丈だから、そんなことにはならないよ」
泉「丈夫すぎて百目鬼さんを泣かせそうですね」
マキ「泉…、怒ってるの?」
泉「おや、やっと気づきましたか?」
泉は、普段の僕を真似するように、にっこり笑った。
その笑顔の怖いこと怖いこと。
マキ「ごめんって。でも太郎のことは百目鬼さんにもちゃんと話して協力してもらったし…」
泉「やっぱり百目鬼さんは泣く羽目になりそうですね」
マキ「だから泣かないってば!、僕いい子にしてるもん。百目鬼さんの悲しむことはしないもん。百目鬼さんと約束したんだもん」
泣かせない、悲しませない。怒らせないはちょっと無理だけど、百目鬼さんが優しい顔して笑ってられるようにする。
苦労して苦しい思いばかりしてた神さんが、笑顔で居られるように。
だから、僕は絶対倒れない、壊れない。
神さんが甘えて頼れる男でいるために。
だから、早く帰ってきて。
帰ってきたらいっぱい甘やかしてあげるから、修二の事、悲しまなくていいっていっぱい抱きしめてあげるんだ。
泉「まぁでも、百目鬼さんが帰ってきたら泣く羽目になるのはマキでしょうね」
マキ「…」
泉「百目鬼さんが嫉妬深すぎて、この10日オナ禁でもされたんですか?だからたった一回で動けなくなっちゃったんですか?、全部捨てさせたオモチャなのに、今度は型取りした自分のものをオモチャにするなんて…」
マキ「ちょっと泉のエッチ!百目鬼さんの見ないでよ」
泉「それはオモチャじゃなくて凶器だと思いますが…」
百目鬼さんのくれたバイブの入った箱をジトッと呆れた顔してみる泉。
いくらオモチャでも、あれは、本物の百目鬼さんの型取りのものだから、あまり見てほしくはない。
マキ「凶器じゃないよ♪おっきくてすっごい気持ちいいんだから!」
泉「はぁ…。頼むから、私の見えない所で使ってくださいね」
目の届かないところには居るなっていったくせに。
マキ「え?やだぁ♪羨ましいの♪」
泉「さてと、百目鬼さんにマキの様子を報告しときましょう。悪い子でしたって」
マキ「やっ、ちょっっ!泉待って待ってぇー!」
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