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アルバムをなぞる指先の決断7
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神さんは……
翌日になっても意識を取り戻すことはなかった…。
家族意外面会謝絶のまま、僕は神さんの顔を見ることができず…、午前中のうちに福島から百目鬼事務所に帰ることになった…。
マキ「戻りました」
百目鬼事務所のドアを開けると、百目鬼さんを心配するみんなが僕を待っていた。
杏子さん、檸檬さん、矢田さん、それに賢史さんに菫ママ。
杏子「マキちゃん!おかえりなさい、大丈夫?」
帰ってきた僕を、杏子さんと菫ママが飛んできて抱きしめ心配してくれた。
マキ「僕は平気だよ。杏子さんの方が顔色悪いよ。大丈夫?」
いつもクールな杏子さんも、昨夜は泣いたのか、腫ぼったい目元に、髪の毛も少し乱れて疲れた顔をしてた。
杏子さんだけじゃ無い、いつもオシャレな檸檬さんも、いつも綺麗にお化粧してる菫ママも泣いてボロボロで、賢史さんも今はいつもみたいにふざけたりしない。
マキ「みんなごめんね、百目鬼さんの様子を聞いてくるって言ったのに…、百目鬼さんまだ意識がなくて、会えなかった。でも、僕、妹の蘭さんと連絡先交換したから、なんかあったら教えてもらえるから」
僕は笑って話してるのに、そこにいるみんな僕になんて言っていいか分からないと悲しそうな顔してる。
マキ「僕、もう一度福島に戻るね。百目鬼さんの着替えとか届けてくる」
賢史「マキ、俺も一緒に行く」
賢史さんの言葉に、誰も驚かなかった。
全員が僕を見つめてて、僕が来るまでに全員で話し合ってるようだった。
マキ「でも、まだ百目鬼さんに会えるか分からないよ」
賢史「俺の妹が、蘭と仲がいいんだ。上手く話をして、お前が神に会えるように…」
マキ「ダメだよ。…、今は蘭さんだってショックをうけてるし。百目鬼さんのおばあちゃんが結構まいっちゃっててそのフォローも大変なんだ」
賢史「そこは配慮する。それに、蘭だって2日前から気を張ってて疲れるだろ。妹なら気を許せるから一時でも休めるはずだ。妹は純粋に蘭を心配してるんだ」
マキ「……そっか、ごめん」
賢史「謝るな。お前少し休め」
マキ「ううん。僕、百目鬼さんの洋服準備したら行かなくちゃ」
賢史「マキ、だから俺と妹も一緒に行くから」
賢史さんに押されるように、僕は賢史さんの車に同乗することになった。
賢史さんは出発する時、百目鬼さんの荷物を引ったくるように取ってから、「あれもってこい!」って言った。意味が汲み取れなくて首をかしげると
賢史「あれだよあれ!神がプレゼントしたとかいう白いでっかいぬいぐるみだよ!」
マキ「あぁ、百目鬼さんがくれたホワイトライオン?」
賢史「そうだ、持ってこい」
マキ「なんで?」
賢史「つべこべ言わずに持ってこい」
なんだかピリピリしてる賢史さんは、ホワイトライオンを持ってきた僕を連れて、車の後部座席に押し込み、百目鬼さんの服の入ったカバンの上にホワイトライオンを置いて、そこに僕の頭を押し付けるように寝かせて毛布を被せてきた。
賢史「寝れないならそれでもいいから横になっとけ、途中で妹拾うが、寝てればいい」
マキ「賢史さん、僕はなんともないよ。賢史さんの方が疲れた顔してる」
賢史「黙れ頑固者、ライオンと戯れてろ」
マキ「…ねぇ、僕は大丈夫だよ」
賢史「煩い、これ被ってろ」
賢史さんが僕の顔まで覆うようにモーフを被せ、運転席に乗り込む。
賢史さんだって百目鬼さんのこと心配で心配で仕方ないのに…僕に気を使ったりして…
マキ「ねぇ、賢史さん」
賢史「あ?」
マキ「このモーフタバコ臭い」
賢史「……お前ってやつは…」
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