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アルバムをなぞる指先の決断19
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〝恋人だけど結婚できない〟
神さんは、意味を察したように驚いて目を見開く。
その瞳は、絶望感にも似た悲痛な色をして、異物を見るように僕に刺さる。
今の神さんは18歳。
神さんは昔、僕に聞いていた。
お前は、性癖について悩んだことはないのか?
…と。
ということは、僕に会わせたくない若い時の神さんが、性癖に悩んで荒れていた可能性がある。
マキ「おばあちゃんたち家族には、〝カミングアウト〟する気はないって神さんは言っていたから、神さんの家族は、神さんの〝秘密〟を知らない。だけど、今回の事故で、僕のこの見た目を見て、おばあちゃんが僕の事を勘違いしたんだ。神さんが先月の正月に実家に帰った時、おばあちゃんに会わせたい人がいると言ってたことと、事故で意識のない間、『マキ』って名前を何度も呼んだことで、僕のことを〝彼女〟だって…」
僕のことを女の子だと思ってた。
まぁ、婚約者だ結婚だって言われたらそう思う。
でも、神さんは中学で親友に恋心を抱いて、高校生の時には自分の恋愛対象が男だと自覚していたはず。
だけど目が覚めた18歳の神さんは、婚約者がいるって聞いて、どこか安心したような、それでいて悲しい目をしてた。
百目鬼「…勘違い…、なら、あんたが恋人ってーのも勘違い?」
それはまるで、そうであってほしいというように、願いのようにも聞こえた。
男の恋人なんかいてほしくないって…
マキ「ごめんね。僕が恋人なのも、同棲してるのも本当」
百目鬼「……」
マキ「それと、僕は、初恋のことも知ってる」
百目鬼「ッ!!!」
みるみる神さんの顔が引きつっていく。
思春期の神さんにいきなりこんな話は酷なんだろな…
恋愛対象が男なだけでもショックなのに、人の泣き顔に欲情するって性癖まで…
でも、1つ確かめなくちゃいけない。
18歳の神さんが〝それ〟をまだ経験してなければ、まだ、神さんを救いようがある。
確か経験したのは18歳の時って言ってた気がする…
将来いつまでも引きずる〝トラウマ〟の1つ。
マキ「大丈夫、そんな怯えた顔しないで。言ったでしょ、神さんは優しい人だって。」
落ち込む神さんの肩に触れようとしたら払いのけられた。
神さんは僕を疑ってる。
拒絶された指が…ジンジンと痛い。
百目鬼「………」
マキ「僕は、神さんが大好きだし、18歳の神さんが怖がってるようなことは起こらない」
ギロリとこちらを睨みつけ、嘘だと言わんばかりの瞳。
知らない世界に放り出され、さらに自分の悩みを知り尽くした人間を前に、18歳の神さんは、爪と牙をむき出しにして警戒してこちらを睨む獣のように荒ぶった逆毛の尻尾が見える。
…怖いんだね…怯えないで大丈夫だから
百目鬼「……ッ、あんたが言ってることが本当かなんて分かんねぇーだろ!」
マキ「何が怖い?何が嫌だった?」
百目鬼「ッ!?、嫌に決まってんだろ!男の恋人がいるとかッ!同棲とかッ!それにあんたみたいに今にも壊れそうに細っこい奴…」
マキ「僕って結構頑丈なんだよ♪体力もあるし♪テクニックもあるよ♪」
百目鬼「テク?……ッ!!?!はあ!!」
マキ「ありゃりゃ、真っ赤っかだね♪。さっきも思ったけど、その初々しい反応を見ると今の神さんは童貞なのかな?」
百目鬼「はああ!?!?ッテメっそんなの関係ないだろ!!」
みるみるうちに、顔だけじゃなくて体全部が真っ赤っかになってしまう可愛らしい神さん。
顔を隠そうとしてる腕も赤くなっちゃってるから、赤面してるの全然隠せてない♪
でもそうか、今の神さんはまだ童貞なんだ♪
マキ「え?関係あるでしょう?、神さんの〝秘密〟は、同性の泣き顔にドキドキしちゃうことでしょ?」
百目鬼「ッ!!」
マキ「そのことなら大丈夫♪、30歳の神さんは、僕の事、すっごい大事に甘やかしてくれて、優しく抱きしめてくれるよ♪」
百目鬼「ッ…、そ、そんなの、な、何とでも言えんだろうが!!」
マキ「あー…、なら証拠見せるよ」
百目鬼「へ?…え?!…ぁ…オイ!バカ!なッ…何やってんだ!!」
神さんの目の前で服を全部脱いで見せた。
神さんは慌てて目を瞑って顔を手で覆って僕を見ないようにしたけど、証拠なら、ここにある。
マキ「神さんの心配は、相手を傷つけて泣かせる性癖かもしれないって事でしょ?ほら見て、僕の体、傷一つないよ♪」
百目鬼「ッ!服を着ろ!」
マキ「なんでー?見てくれなきゃ証明できないじゃん」
百目鬼「うっせー!男の裸なんかキモいんだよ!早く服着ろ!」
マキ「えー、僕、裸には自信があるんだよ、そこらへんの女の子より綺麗だもん」
百目鬼「バカッ!そういう話じゃねぇーんだよ!とにかく服を着ろ!!」
あはは♪この感じ30歳の神さんと同じ♪
マキ「でもさぁ、知りたいでしょ?18歳のあなたの抱える悩みの行く末。自分は泣き顔に欲情する。しかもただ泣いてるのじゃない、自分が泣かせた涙がいい」
百目鬼「ッ!!」
マキ「その衝動が、だんだん抑えられなくなってる。いつか誰かを傷つけるかもしれないって悩みの答えが、目の前にあるんだよ?」
百目鬼「ッ…、……、下は履けよ、体を見るのは上半身だけでいいだろ!!」
マキ「神さんの性格からして、上半身だけ見たら、後々下半身には傷があったかもって疑うでしょ?だから全身見といたほうがいいよ♪」
百目鬼「……ッ」
なんで知ってるんだって思ってんだろう神さんは、諦めたように、でも頑なに「パンツは履けよ!」って恥ずかしがった。
仕方ないのでパンツを履いて、声をかけると、神さんは恐る恐る目を開く…
百目鬼「えっ!?」
そして僕の体を見て一瞬で顔が沸騰してソファーに倒れこんだ。
百目鬼「クソ馬鹿ッ!なんてもん見せんだ!!」
僕はちゃんとパンツ履いてたのに、神さんは赤面してまたまた顔を隠しちゃった。
…ああ…原因はこれか…
マキ「あぁ…コレ?これは傷じゃないよ、全部キスマーク♪♪」
お茶目に笑って見せたが、恥ずかしがる神さんはソファーに顔を突っ伏して吠える吠える。
百目鬼「なお悪いだろ!!気色わりーんだよ!!」
マキ「…顔真っ赤にして言われてもなぁ」
百目鬼「うっさい!これは怒ってなってるんだ!」
マキ「…じゃぁ…、ソレも、怒って興奮してるからって言うの?」
僕の言葉に、神さんがサッと足を閉じて身を縮める。
隠せるとでも思ったんだろうか。
僕の目を、誤魔化せるはずもないのに。
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