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アルバムをなぞる指先の決断20
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今の神さんは、体は30歳でも、中身は18歳未経験。
前屈みでソファーに引っ付いて、必死に隠してるけど、僕にはぜーんぶお見通し♪
マキ「ねぇ♪、僕の体、女の子より綺麗だったでしょ?♪」
百目鬼「うっさい!んな如何わしいもん大量に付けてやがってッ!」
真っ赤な顔を覆って僕を視界に入れないように必死な神さんに近づき、隣にしゃがんで目線を合わせたけど、神さんとはちっともこっちを見ない。
なんだか可愛い反応に、うずうずイタズラしたくなっちゃう。
マキ「えー…、これ全部神さんが付けたんだよ」
百目鬼「!!」
マキ「僕と神さんは恋人だから」
百目鬼「煩い!煩い!煩いッ!!テメーなんか知らないんだよ!!〝俺は〟!お前なんか知らないッ!!〝俺は〟男なんか好きじゃないッ!!」
…。
冷水ぶっかけらみたいにキツイお言葉。
記憶が無いって分かってたつもりだけど、余りに18歳の神さんが可愛いから撫でくりまわしたら噛みつかれちゃった。
失敗失敗。
まぁ、これで分かった。
18歳の神さんは、まだ、自分がゲイだと認めたくない段階だった訳だ。
マキ「…、男とか女とか関係ないよ。ねぇ。何をそんなに怖がってるの?」
百目鬼「怖がる?!〝俺は〟怒ってるんだ!!」
マキ「そんな捨てられた子犬みたいな目をして吠えたって、僕はちっとも怖くないよ?」
百目鬼「はあ!?怖いだろ!俺の顔見て逃げない奴はいないんだぞ!強がってんじゃねぇよ!〝俺は〟お前の知ってる〝神さん〟じゃねぇ!!」
ギロリと僕を睨む神さん。
いや、この子は神さんじゃない。
18歳の百目鬼神さん。
彼にとって僕は知らない人間。
2人になったら冷静に話をしなきゃなんて思ってたのに、自分でも分からないくらい焦ってた。可愛い反応だなんてからかって…、彼にとっては一番気づかれたくないことペラペラ言われて、しかもそれが知らない奴でなんて、酷い話だよね。
一度深呼吸をして気持ちをリセットし、改めて18歳の彼の目をまっすぐ見つめた。
マキ「うん、ごめんね。思い出してほしくて焦っちゃった。大変な思いしてるのはキミだよね。ごめんね」
百目鬼「ッ!?」
マキ「もう一回仕切り直させて」
百目鬼「…」
マキ「僕は茉爲宮優絆。30歳の百目鬼神さんと付き合って同棲中で、僕は神さんのこと大大大好きでなんでも知ってる♪」
百目鬼「ッ」
マキ「神さんと僕のことは、神さんの家族には内緒だけど、百目鬼事務所のみんなと、賢史さんは知ってる。みんな神さんの味方だよ」
百目鬼「ぇ…、知ってる?…ってか、俺…、いや、30歳の神さんの家族〝には〟って?…」
マキ「……僕の家族は、神さんとの事は話してるんだ」
百目鬼「は?言ったの!?家族にッ!?」
マキ「……神さんが…、30歳の神さんが、僕と一緒にいてくれるって。家族になろうって。僕の家族に、養子縁組したいって話をして…」
百目鬼「養子縁組ッ!!……、信じらんねぇ…。ぁ…、それで、結婚?…、でも、あんた茉爲宮って名乗ったよな、ってことはまだなんだよな?」
マキ「…うん。まだだよ。…今月の29日に書類を出す予定だったんだ」
百目鬼「29日…」
カレンダーを探して眺める彼は、2月の29日に付けられた赤い丸を複雑そうに見つめる。
マキ「僕の自己紹介はそんな感じなんだけど、ところで、君のことなんて呼んでいい?」
百目鬼「は?…って言うか、いい加減服を着ろッ!」
マキ「…。そんな嫌だった?…胸は無いけどさ、色白で柔らかそうで女の子みたいってよく言われるんだよ。男っぽいムキムキじゃ無いし、綺麗だねってモデルにならないってスカウトもされるしスタイルには自信あったんだけどな…そんな好みじゃなかった?気持ち悪い?」
百目鬼「馬鹿じゃねぇの!」
マキ「ごめん…」
神さんの好みは修二だもんな、やっぱ惚れ薬無しで出会い直したら、僕なんか好きになってもらえる訳なかったか…。裸見て反応してくれたみたいだからちょっと期待しちゃったけど、ゲイの神さんが男の裸見て反応するのは当たり前のことか…。こんなことなら別の人の裸見て貰ってから確かめればよかった…。
神さんの記憶がなくなったと知った時。
絶望感の中に、小さなイタズラ心が芽生えた。
神さんが僕のことを覚えていないなら、初めて僕と出会ったら、どんな反応をするのか…
神さんは、僕を見るなり顔を赤くして恥ずかしがってるように見えた。
僕のこと、可愛いって思ってくれたのかなって…
病室で、おばあちゃんに「こんな綺麗な人が俺の相手な訳無い」って言った時。綺麗だって思ってもらえてるんだって自惚れた。
惚れ薬と媚薬を使って神さんに僕を好きになるように刷り込んだ過去があるから、それがなかったらどんな出会いだったのかって、前は考えてばかりいた。
でも最近は、そんなの考える余裕が無いくらい神さんに好きだって甘やかされて、その事を忘れかけてた…
僕と神さんが普通に出会ってたら、きっと、僕の片思いで終わってたんだろうな…
事故にあった神さんの事を優先しよう、自分の感情は後回しだとか言いながら、結局、自分の欲を優先して神さんを傷つけた…。
深く反省……。
百目鬼「おい!」
マキ「ごめんね…」
百目鬼「おい!」
マキ「ごめんね…今服を着るから…」
ちょっと立ち直るのに時間が欲しい、忘れられたショックと、神さんを傷つけた自己嫌悪で頭のパソコン立ち上げ直すから…
百目鬼「な、泣くことないだろ!」
マキ「…ぁ…、へへっ、なんか垂れてるけど気にしないで…」
百目鬼「ッ!!」
マキ「僕が悪いから…、僕があなたの気持ち無視して変なもの見せたりするからいけないの、自業自得」
百目鬼「…そこまで…言ってないだろ…」
マキ「ごめんね」
百目鬼「ッ…」
いけないいけない、神さんの目が醒めるまで泣いちゃダメって思ってた反動かな?なんか、神さん起きたら涙ばっかりでちゃって…、いけないいけない、今後は神さんおうちに居るんだから、もう家でも気を緩めちゃダメだった…。
百目鬼「…クソッ…、だーもー!悪かった、俺が悪かったよ!」
マキ「?」
百目鬼「気持ち悪いなんて嘘だよッ!ってか、気持ち悪いのは俺自身でお前のことじゃない!お前はどっちかっていうと……綺麗だ」
マキ「ぇ?」
百目鬼「ッ…、お前は綺麗で美人だよ!」
マキ「…慰めてくれてるの?」
百目鬼「ちげーよ!」
マキ「……顔真っ赤」
百目鬼「うっさい!お前も真っ赤だよ!!恥ずいから黙って訊けよ!」
マキ「……はい///」
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