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アルバムをなぞる指先の決断22
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神さんの記憶の中に、奏一さんと修二がいない。
それは…
神さんにとって、人生の分岐点をごっそり無くしたのと一緒。
神さんの人間性が出来る上で、奏一さんと修二の存在は必要不可欠なのに…
神さんにとって…大事な人たちなのに…
…でも、それは同時に、神さんのしてしまった過ちが消えたってこと…
…神さんはずっと苦しんでた、だから、忘れられるなら忘れた方がいい…
だけど…
大切な人を…
神さんが神さんであるのに大きな影響を与えた2人が存在しないのは…神さんの根本に関わる…
…。
2人に会わせたら、何か思い出すかも…
……。
…ッ…。
…どうしよう…、神さんの記憶が戻って欲しい…
その為には、可能性のある事は全てやった方がいいのに…
…僕は……
百目鬼「…茉爲宮?」
…僕は……
…18歳の神さんを…
…修二と奏一さんに会わせたくない…
もしも、2人に会って…、
もう一度、2人を好きになってしまったら…
奏一さんと修二を好きになってしまったら…
…僕は…勝てない…
奏一さんや修二を好きだという神さんの隣にはいられない…
神さんが記憶を取り戻すまでの間の事だったとしても、2人のことを好きになってしまった神さんを見てられない…
だって…、僕じゃ…、僕じゃ…、神さんに好きになってなんかもらえない…
…もしも…
…記憶を取り戻さなかったら…
………ッ………
百目鬼「茉爲宮…、大丈夫か?…顔真っ青だぞ」
…神さんにとって…
…僕は…
…いらない存在になる…
マキ「…ッ、ごめん、なんでもない…」
百目鬼「…。なぁ、そういちとしゅうじって誰だ?」
マキ「…神さんの友達だよ、学生の時知り合ったって聞いてたからもう知り合ってるかなって思ったんだけど、まだだったんだね。気にしないで。ごめんね、あれこれ言って、知らない話色々されて嫌だよね」
…奏一さんと修二には会って欲しくない…
百目鬼「…いや、…」
マキ「お風呂沸かしてくるね。今日はいろいろ疲れたでしょ、早くお風呂入ってゆっくり休んでよ」
百目鬼「……。あぁ」
…奏一や修二に会ってまた好きになっちゃったら?
…2人に会って、2人のことだけ思い出したら?
神さんが僕を好きになってくれたのは最近だ…、
下手に途中まで思い出して…
その先を思い出せなかったら?
…………。
*****************
って…
僕はなんてバカなんだろう…
神さんの後にお風呂に入った。
這い上がってきた不安も、震える指先も、お風呂に入って温まったら冷静になれた。
一瞬でも、奏一さんと修二の事を思い出して欲しくないなんて思った自分が恥ずかしい。
記憶を無くして苦しいのは神さんなんだから、神さんの一番そばで支えるはずの〝僕が〟神さんの記憶が戻るのを妨げるなんて絶対駄目だ…。
お風呂に浸かって温まったら、前向きになれた。
よし!もう、泣いたりなんかしない。
僕は神さんのサポートを全力でやるんだ!。
鏡の中の自分に言い聞かせ、きっちりパジャマを着てからリビングに戻った。
リビングには、ミケにじゃれつかれてどう接していいか困ってる神さんがソファーでミケを睨んでた。
マキ「あはは、ミケに遊んでもらってたの?」
百目鬼「…、こいつ…俺から離れないんだ…」
助けを求めるように僕を見たのに、神さんはその視線をすぐに逸らした。
あれ?目を逸らされた…
なんかおかしなところあったかな?
胸元のボタンはきっちり閉めてるし、ズボンもちゃんと履いてるのにな…
百目鬼「…髪、まだ濡れてるぞ…」
視線を逸らした神さんは、ぶっきらぼうにそう吐き棄てると、心なしか耳が赤くなった。
マキ「…あは♪、色っぽかった?」
百目鬼「チッ!…さっき顔色悪かったろ!ばあちゃんみたいにひょろくて生っ白いから風邪引いたらと思っただけだ!」
マキ「ふふっ♪ありがとう。ちゃんと拭くね♪」
記憶は無いのに、いちいち神さんで、怒鳴って心配してくれて、それだけもクルのに…、18歳の神さんってば、いちいち可愛らしい反応ばかりするんだもん。こっちはずっとキュンキュンドキドキしっ放しで…。恥ずかしいこととか嬉しいことも言ってくれちゃうから、ついついからかうみたいになっちゃうけど、気をつけないと、思春期の神さんに嫌われちゃいそう。
百目鬼「なぁ…、茉爲宮…」
マキ「何?」
18歳の神さんの反応を見続けてて思い出したことがある…。
そういうば…
神さんは…、僕が露出する服を着るのも、アニマルコスプレするのも激怒して怒る、シャイな人だった。
百目鬼「あの…さ…、もしかして、寝るとこって…このぬいぐるみだらけのベッドだけ?」
マキ「うん。このベッドだけ♪」
あは♪
すでにかなり嫌われてそうだけどね♪
全力でサポートするって決めたばかりなのに…
18歳の神さんが、1つしかないベッドを見て顔を真っ赤にしてるとか、濡れ髪見て目をそらすとか…
…あまりにも初心過ぎて…
堪りません。
あぁ…、18歳の初心な童貞神さん…
僕…オオカミさんになっちゃいそう…
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