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アルバムをなぞる指先の決断29
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…クツナ…アヤ…
一瞬で分かった。
この人には勝てない…
奏一さんの前だから隠してたみたいだけど、僕は人を見る目だけはある。この人は僕の出会ってきた人のどの人とも違う。物凄い気高いオーラを纏ってる…まるで法王みたいな…
この人以外で1人だけ似た空気を持つ人がいた。
忽那彩の持つ空気は、僕を助けてくれた先生と似た空気を持ってる。僕が一度も勝つことができず、僕を子供扱いしてしまう人物。忽那彩の持つ空気はそれに似ているし、何より…鋭い洞察力を持ち、安心感を与えるような優しさと気持ちが引き締まる厳しさを兼ね備えた瞳。
あれが、奏一さんの言ってた「あやしゃん」で…
奏一さんに告白した相手…
だとしたら…
奏一さんは物凄い厄介な相手に好かれたな…
あの人は…彩さんは、奏一さんを諦めてないし諦める気はないみたい…。ってか、奏一さん、あの人に騙されてすでに食われちゃってたりしないんだろうか?…。
奏一さんは強いけど、修二と同じか、それ以上にピュアだからな…。なんか簡単に騙されちゃいそうなんだけど…。
…奏一さん的には…どうしたいんだろう。
断ってはいるみたいだけど、未だに一緒にいる。
しかも2人で…。
でも、正月に羚凰さんが言ってたんだけどな…「夏さんだから譲った」って…。でも、夏さんとも奏一さんは付き合ってはいないっぽいし…
もしかして、僕が頼ったりしたから、百目鬼さんの記憶喪失に詳しそうな彩さんに頼らざる得なくなって?だとしたら…ものすごく悪いことをしちゃったかも…。
まぁ、奏一さんのことだから、告白を断ったからって今までどうりにしなかったり、友達やめるなんて良くないことだとか思ってそうだし。
人間なんだから、嫌だと思う人とは疎遠になるのは普通なのに、それを男同士を軽蔑してるんじゃないかって考えちゃって、考え過ぎてんだろうな…。
奏一さんがそうなった原因の1つに百目鬼さんが関係あるんだと思うと…、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる…。
百目鬼「茉爲宮なにやってだ?」
神くんにコンビに行くと言って、奏一さんと彩さんに会って、2人のことを考えて、つい、玄関でぼーっとしてたら、神くんに怪訝な顔された。
マキ「あはは…、食べたいのが売り切れてて…」
百目鬼「つーか、あんだけお代わりしてまだ食うつもりだったのかよ」
マキ「神くんの作るものぜーんぶ美味しいんだもん♪残さずぜーんぶ食べたいし、それはそれ。甘いものは別腹だよ♪」
眉をしかめた神君は、耳を真っ赤にしながら怒る。
百目鬼「また君付けしやがって気持ち悪りぃなぁ。ってか甘いもん別腹って女かお前は!」
マキ「あはっ♪照れない照れない、ご飯がどれも美味しいのは本当だよ♪」
百目鬼「ッ!、お前ちっとも会話が噛み合わねぇんだよ!」
マキ「えー?、噛み合ってるよ。『褒めて機嫌とろうなんて思うなよ』って顔してたもん」
百目鬼「!!」
マキ「ふふっ♪当たりでしょう?」
百目鬼「お前の相手は疲れんだよ!俺はもう寝る!」
マキ「僕も寝るぅー♪」
百目鬼「気色悪い顔すんな!ベッドで俺に触んじゃねぇーぞ」
マキ「ハイハイ。もぉ、だから何度も言ってるのに、僕は襲う側じゃないから食べられる心配はしなくていいって」
百目鬼「ッ!?へ、ッ、変なことばっか言うなッ!!変態野郎!」
あはっ♪顔真っ赤っか♪
なんて初心なんでしょう♪♪
もう、乗っかっちゃいたいくらいゾクゾクしてあそこがキュンキュンしちゃう♪
僕と再会したばっかの百目鬼さんも、僕に迫られて「淫乱野郎!」って怒ってばかりいたけど、本当は照れまくってたってことなのかな?ちょっとは僕の色気に照れたりしてくれたのかなっては思ったけど、元の神さんが、神君なら、全身沸騰したみたいに真っ赤っかになっちゃうくらい、性に対してシャイなら、百目鬼さんがいつも怒鳴ってるのは、照れ半分僕への怒り半分かと思ってたけど、照れマックス過ぎて、怒ってるように見えてたっていうのが正しいのかな?
神さんが今までずっと僕に怒ったりしたほとんどが、神さんがシャイで、お色気事を破廉恥だって思うからなのかな?
もしかして、前にすっごい怒られたアニマルコスプレも、可愛すぎるから怒ったとかだったりするのかな?
今の素直すぎる神君に、アニマルコスプレ見せたてみたら、怒るだけか…、それとも、真っ赤になって照れてキレまくるか…。
…。
神さんはどうして、僕に過去の自分と会わせたくないって言ったのかな?
こんなに可愛くて素直なのに…。
僕なら、絶対この頃の神さんに会っても好きになったのになぁ…。
忘れられたのは悲しいけど…
アルバムの中の神さんと会えて
ちょっと楽しんでる自分もいる。
可愛くて初心な神くん。
確かに言葉は乱暴だけど…
思ってること全部顔に出てるし
神さんより分かりやすいんだけどな…
そして翌日、夕方に谷崎さんと神くんが会うことになった。
神くんの希望で、僕は同席しなかった。
いったい2人はどんな話をしたのか…
そして、それがきっかけで、何かを思い出すのか…
それも気になるけど…
もう1つ大きな問題が…
僕の目の前に、忽那彩さんが居る。
忽那「そんな複雑そうな顔しないでくださいよ。なにも貴方を診察しようとしてるわけじゃありませんから」
神くんが谷崎さんと出掛けた直後に、何故か神さんの自宅に僕を訪ねてきた。
彩さんはこう言ってるが、彩さんは初対面の僕の考えを簡単に当てた。
僕って人物を観察してるのは間違えない。
それに、奏一さんのこともあるし…
マキ「奏一さんに、僕の事頼まれたのかもしれませんが、何度も言いますけど僕は大丈夫ですから♪」
それに、僕は奏一さんは好きだけど、どうこうなろうなんて考えた事もないから、僕を敵視するだけ無駄な時間だから…
忽那「奏一には、物凄く強く君の事をお願いされてますので、こっちで勝手にやりますので気にしないで下さい」
彩さんのニコニコしてる笑顔の下が、善意か嫉妬か…
マキ「だから、僕はちゃんと診てもらうところで診てもらってるし、奏一さんに迷惑かけるような事はしませんから」
忽那「奏一がこの場にいたら君は今ごろ三時間は説教されてますよ」
マキ「…」
忽那「それに、百目鬼さんの記憶が戻った時、君の今の顔を見た百目鬼さんがなんて思うか考えたらどうです?」
マキ「バレるようなヘマはしませんから♪」
忽那「…、なるほど。奏一がゾッコンなわけだ」
マキ「!?。奏一さんのことは僕より詳しい貴方ならわかるでしょ?そういうのは無いですから」
忽那「奏一の事は貴方より詳しいですから分かりますよ。君は、やっぱり奏一の説教コース決定ですし、私は別に疑ってはいませんよ」
マキ「でも、今でも奏一さんが好きで、僕に嫉妬してますよね?」
忽那「…、ふふ、嫉妬なんかしてませんよ。ところで本題に入りますが…」
今でも好きなのは否定しないのね。
話も露骨にそらしちゃって…
忽那「私の知り合いに記憶喪失に詳しい人がいて、百目鬼さんを見てくれるそうです」
マキ「え!本当ですか!?」
忽那「ですが、元々人気のある名医なので、予約を取ってもかなり先の話になります」
マキ「…いえ、先でも構いません。ありがとうございます。
…先なら先で少し時間をおいたほうが都合がいいかもしれません、今の百目鬼さんは、記憶の無い自分がココに居ちゃいけないような錯覚に囚われてます。だから、記憶を取り戻すための治療だなんて知ったら…、病院に行ってくれないかも…」
忽那「それは違います」
マキ「えっ?」
忽那「確かに、貴方が感じる通り。18歳の百目鬼さんは、12年後の世界に放り出された混乱と恐怖でいっぱいな上に、30歳の百目鬼を周りに求められるたびに自分とは違う人間の事を求められるようで不快で、自分はここに居るのに、自分を通して別の誰かを見られてる悲しみに襲われてる。だから、思い出すための治療は嫌がるかもしれません。でも、貴方も何度も言っているでしょう。今の彼を尊重したいと。だから、18歳の彼の話を聞くんです。いきなり12年後の世界に放り出されたのですから、彼の不安や恐怖や戸惑いを軽くしてあげるための通院です」
マキ「あっ…」
忽那「そのために、彼の診断書を用意してほしんですが、出来ますか?」
マキ「できます!」
忽那「それと、事故後の彼の様子を出来るだけ聞いておきたいので、貴方にその話をしてもらいたいのと、百目鬼さんが落ち着いたらで構いませんので、私も彼に会って話しても構いませんか?」
マキ「はい、お願いします」
忽那「それはよかった。知り合いの先生も診察は順番待ちですが、相談は聞いてくれるそうなので」
マキ「ありがとうございます」
彩さんは、先生と同じ優しくて頼もしい笑顔で笑いかける。
僕が先生と初めて出会った時も、こんな風に、光を見たような気持ちになった。
思い出すな…
こんな風に救われた気がして、その後頑固で面倒くさい僕と向き合って全部救い上げてもらった。
あの時、こんな人になりたいって思って今の大学を専攻したけど…、少しは近づいてる気になってたけど…
忽那「では、時間の許す限り教えてください。百目鬼さんの様子と君の事を」
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