アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
アルバムをなぞる指先の決断33
-
.
いったい俺は何をやってるんだろう。
目が覚めたら12年後で…
事故に遭ってて、身体中痛くて足を骨折してて
知らないやつだらけでただでさえ混乱してるのに…
男の恋人が現れて…
それがビックリするぐらい美形で華奢なハーフで…
ばあちゃんに迷惑かけたくねぇから30歳の俺が住んでるという男の恋人と同棲してる自宅に帰って来たが…
30歳の俺の暮らしは、18歳の俺からは想像もつかない暮らしぶりだった…
猫や犬なんか飼ってるし、枕元にぬいぐるみは並んでるし、ベッドが一個しかねぇから男と寝なきゃなんねぇーし、探偵事務所なんか作ってて、仲間が居て…、みんな30歳の俺を慕ってて心配してくれて、めちゃくちゃ美人の男の恋人は30歳の俺を大好きで…、めちゃめちゃ尽くしてて…、笑顔がまぶして…、至れり尽くせりで…、真っ白で細っこいくせに…、近づいたら折れちまいそうなのに、全然俺にビビんねぇーし、なんかやたらたまんねぇ顔で見上げてくるし…
わけわかんねー…
ただでさえわけわかんねーのに…
百目鬼「はあッ?!。お前、何その格好」
マキ「うふ♪、可愛い♪?」
訳のわからない事ばかりもたらす茉爲宮優絆は、やっぱわけわかんねー奴だ。
デートに行くとぬかした茉爲宮は、出掛ける直前、意味の分からない姿で現れた。
ふわふわの襟のついた真っ白な可愛らしいコートの中に、淡い桃色のケーブル編みニットのワンピース。
「可愛い♪?」ッじゃねーだろ!
似合いすぎてキモいわッ!
百目鬼「ふざけんな!」
マキ「ちゃんと中身もレディースだよ見る?♪♪」
悪戯っぽく笑ったマキがスカートの裾に手を伸ばしやがった。
百目鬼「見るわけねぇーだろッ!!」
怒鳴った俺に、なぜか茉爲宮は嬉しそうに笑った。
マキ「あは♪やっぱ反応は一緒♪」
百目鬼「はあ?」
マキ「ごめんごめん。ちゃんとタイツ履いてるから見えないよ♪♪」
百目鬼「そういう問題じゃッ…」
マキ「さぁ♡行こ♪♪」
百目鬼「わッ」
グイッと俺を引っ張った腕が、意外と力強くて驚いた。細っこい腕が、俺のごつい腕を嬉しそうに引っ張って、直視できないほどキラキラした瞳の笑顔が眩しい。
マキ「〝私〟昨日からずっと今日になるのが楽しみ過ぎてワクワクしっぱなし♪♪」
あー…こいつはどうして
こんな表情出来るんだ…
俺がずっと羨ましかった表情
俺がずっと見たかった表情
やっぱ綺麗でかわ……ッ…
ッぶねぇー。
だめだだめだ。
惑わされるな、いくら可愛くても、こいつは男だ。
俺は普通なんだ…。
マキ「あはは♪眉間のシワ可愛い♪」
訳のわからない茉爲宮は、俺の睨みつけるような表情を見て、そんなことをぬかして楽しそうに笑う。
マキ「神の考えてる事なんかぜーんぶお見通し♪ねぇ、もっと肩の力抜いて考えなよ♪。神の思ってる事望んでる事、誰も否定なんかしない。だってさ、今の神の見た目は高校生じゃなくて、30歳の大人、お酒もタバコもしたいならしたい放題だし、お金もあるから買いたいものもやりたい事も全部出来るんだよ♪」
まるで異世界に案内する案内人みたいな怪しい台詞を言いながら、キラキラした瞳と眩しい笑顔で俺を引っ張って連れ出した。
訪れたゲーセンは、ココが12年後の世界だと俺に思い知らせる。ついこないだも来たばかりなのに、店内に並ぶ機種が見渡す限り知らないものだらけだった。
マキ「わぁあ♡凄い凄い♪可愛いのがいっぱいあるぅ♪ゲーセンって凄いんだね♪オモチャ箱みたい♪」
入口入ってすぐのUFOキャチャーをに張り付いて、キラキラした子供みたいな瞳でぬいぐるみを見つめる茉爲宮。
百目鬼「!。もしかして、枕元のぬいぐるみは全部お前のか!」
マキ「あはは♪あれは神さんのだよ♪。神さんが連れてってくれた所のおみあげ♪」
百目鬼「おみあげ?、連れてって?」
マキ「神にもおみあげあげるね♪、どれにしようかなぁ…」
と言いながら、茉爲宮が選ぶのはどれも可愛らしいぬいぐるみの入ってるUFOキャチャーの台ばかり。
なんでぬいぐるみ?!他にもっとあんだろう!お菓子のやつとか!おもちゃ入ってるやつとか!なんでそんな俺にありえなさそうな可愛らしいのチョイスしてんだよ!
百目鬼「冗談だろ」
マキ「きゃー♡見て見て♪可愛い♪これがいい♪コレに決めた♪」
話を全く聞いてない茉爲宮が選んだのは、ハット帽の中から子犬が顔を出してる可愛らしいぬいぐるみ。
その中でもハット帽に噛み付く不細工な顔したふわふわの黒い犬。
百目鬼「はあ?!それのどこが可愛い?!」
マキ「えっ?、すっごい可愛いじゃん♪」
ってか、なんて犬の種類かも分からない黒いもじゃもじゃ犬。しかも帽子に噛み付いて不細工極まりない顔してやがる。
百目鬼「お前趣味悪くないか?普通こっちのポメラニアンとか、ゴールドレトリバーとかの方を可愛いと思うだろ」
つぶらな瞳のポメラニアン、毛並みの綺麗なゴールデンレトリバー。だけど、茉爲宮はキョトンとした顔してた。
マキ「なんで?」
百目鬼「なんでって、この中であの黒いの一番不細工だろ」
マキ「私はあの子が一番可愛いと思ったの、あの子を取るって決めたの」
茉爲宮は真っ直ぐな瞳でそう言うと、早速お金を入れてUFOキャチャーをやりだしたのだが…
マキ「あーん、取れなぁい…」
アームが激弱で全く持ち上がらない。
マキ「私のクロリンがぁ…」
もう名前付けてやがる…
百目鬼「諦めろ、このアームじゃ無理だ」
マキ「えー、クロリンはもううちの子にするって決めたんだもん」
百目鬼「何も店の入り口で決めなくても、奥に行けばもっと可愛いのあるかもしれないだろ」
マキ「やだー、クロリンを神にプレゼントするんだもん」
百目鬼「いや、いらねぇーし」
うるうるした瞳で剥れる茉爲宮は、さらに財布からお金を出そうとしやがるから財布を取り上げて、ゲーセンの奥の適当な機種を指差し「懐かしいのあるからあっち行こうぜ」って嘘ついたら、茉爲宮はパッと表情がキラキラ笑顔に戻った。
マキ「えっ♪どれどれ?」
はぁー、疲れる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
139 / 170