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アルバムをなぞる指先の決断47
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!?
僕が??
奏一さんを恋愛対象として…
好き???
マキ「あはっあはははっ♪。ないないッ♪そんなのあるわけないじゃん♪」
僕が奏一さんを恋愛対象として好き?
確かに奏一さんは惚れ惚れするような人だけど…
緋色「笑うなよ。笑って誤魔化すな」
真剣な瞳でムスッとした緋色さんに、僕は誤魔化したわけでもなんでもない。
ただ、緋色さんの真意が今ひとつ掴めなくて緋色さんを観察しながらだったから、誤魔化したみたいに聞こえたのかも。
緋色さんの真剣な質問だったんだから、笑ったのは僕が悪い。
マキ「ごめんなさい。ふふっ。誤魔化したんじゃなくて、〝ありえない〟こと言うから。だって、僕に彼氏がいるの緋色さん知ってるじゃん」
緋色「彼氏がいるかは関係ないだろ。後から出会ったってだけで、惹かれてるんじゃないのか?」
緋色さん、なんだか複雑な顔でむくれちゃって…
何が言いたいんだろう。
なんだか、僕が奏一さんを好きなんだろって他にも言いたいことがあるように見える。
マキ「出会う順番が逆だったら、奏一さんをとったんじゃないかって?」
緋色「そう…」
マキ「無いね」
爽やかなくらいキッパリ言い切った僕に、緋色さんは驚いて、何故って顔して眉をしかめた。
マキ「奏一さんのことは、人として凄い好きだし尊敬してる。奏一さんがお兄ちゃんならどんなに良いだろうって思ってるのも本当。でも、恋愛は無い」
緋色「…なんで」
マキ「奏一さんは、男の僕とSEX出来ない」
緋色「ッ!?」
マキ「僕は、恋愛=SEXってくらいSEXが必須だから、体の関係無しのプラトニックな関係では恋愛にならない」
緋色「ッ、ッ…。待てよ、なんで奏一さんがマキちゃんと出来ないって断言するんだ。奏一さんは修二たちの事も理解してるし…」
マキ「理解があるのと、本人が男と恋愛できるかは全く違うよ」
緋色「でも…、奏一さんは…」
ん?「奏一さん〝は〟」?
奏一さん〝は〟ってどういうこと?
…えっ?!もしかして、緋色さんは、奏一さんが僕のこと好きだとでも思ってるの?
マキ「奏一さんが僕なんかを好きになる訳ないじゃん。そもそも奏一さんノンケだし…」
まだ、トラウマが治ったわけじゃない…
緋色「〝なんか〟ってなんだよ。マキちゃん自己評価低すぎだよ。マキは好かれてるよ、奏一さんにだって俺にだって」
えっ!?
緋色「それに、なんだよ、プラトニックな関係は無理って。じゃあマキは彼氏さんとSEX出来なかったら好きじゃなくなるの?」
マキ「…ちが…」
ええ?
今サラッと緋色さん僕を好いてるって言った?
えっ?どっちの意味?
ってか緋色さん男好きなの?
緋色「だったら奏一さんにも可能性あるじゃん」
マキ「待って待って!ちょっと待ってよ!。何が言いたいのか分からない。奏一さんが僕を好きかは緋色さんが言うことじゃないし。僕は奏一さんに恋愛感情はない。緋色さんは何が言いたいの?」
緋色「……、マジで奏一さんのこと好きじゃないの?」
マキ「恋愛感情はマジで無いよ。奏一さんのことは大好きだけど、お兄ちゃんとしてだもん」
緋色「だろ?大好きだろ?、だったらそれが発展するかもじゃん」
マキ「だから無いし。どうして僕と奏一さんをくっつけようとするの?」
緋色「……、くっつけようってんじゃないけど、奏一さんなら納得だし、奏一さんにとってもマキちゃんなら有りだと思ってたのに、マキちゃんが彩さんのことばっか聞いてくるから気になってんのかなって思って…」
はぁ!?
緋色「彩さんはスパダリだから。奏一さんはめちゃめちゃかっこいいんだけど、相手が彩さんだとやっぱ分が悪いかと…」
マキ「違う違う!彩さんの事色々聞いたのは、今僕が彩さんにお世話になってて、どんな人なのか知っておきたかっただけだよ」
彩さんが奏一さん狙ってるから偵察したかったなんて言えない…。
緋色「…でも、こないだ彩さんに会ったけど、マキちゃんの話してたよ。マキちゃんのこと可愛いって言ってた」
うぇっ!?
何故ッ!?
マキ「いやいや、深い意味はないんじゃないかな。僕が可愛らしいから、単純に見た目が可愛いねって話でしょ?」
緋色「確かにマキちゃんは物凄く可愛いけどさ、だからこそ一目で恋しちゃったんじゃないかな」
いやいやいや、そこ肯定するとこじゃないから!
マキ「ないないない!絶対無いよ。彩さんは僕の彼氏のことで色々相談に乗ってくれてるんだよ。それこそ、僕と彼氏の関係はどんなだったか1から10まで説明して相談に乗ってくれてるし、彩さんは僕なんか興味無いよ。それに、なんか緋色さん忘れてない?彩さんも僕も奏一さんも男だよ。偏見ないのはありがたいけど、みんながみんな男を好きになったりしないから」
緋色「関係ないだろ。奏一さんも彩さんも人としてすげー人だし、マキちゃんだって人として凄い心広いし色んな人に好かれてるし。そういう尊敬できるもの持ってる人たちなんだから、男女問わず好かれて当然だし。
ノーマルとか男とか関係ないよ。
俺は、男のマキ好きだぜ。俺だって好きなんだから、マキを大切にして過保護になってる奏一さんはもっとマキが好きだよ」
えっ!?
またサラッとなんか言ってきた!!
緋色「奏一さんにさえ敵わないのに、彩さんまで出てきたら俺勝ち目ないし。出来れば彩さんには取られたくないな。あの人底が見えないから敵にしたらこえーし」
えっ?
何言ってんの?
マキ「…えっと…」
なんて言えば緋色さんのとんでもない考えを止められるんだろう。
彩さんは奏一さんのことが好きだなんて言えないし。
奏一さんが男にトラウマあるとも言えないし…
緋色「マキはさ…」
いつの間にか呼び捨て…
緋色「いつも疲れた顔してる」
!?
緋色「彼氏のこと好きなんだろうし、今彼氏が大変なの分かるけど。もし、彼氏が事故に遭ってなくて元気だったとしても、今と同じ目をしてたと思う」
マキ「え?」
さっきまでの複雑な瞳とは違う。
強い意志を宿した瞳が僕を射抜く。
緋色「マキ、お前、好きな人の側にいられればそれだけで幸せって思うタイプだろ」
マキ「…、それのどこがいけないの?」
緋色「奏一さんならそんな風に思わせない」
マキ「奏一さんはそういうんじゃないし、緋色さんが言うのは違うでしょ…」
優しく諭しても厳しく言い聞かせても、緋色さんは僕の言ってることが分かってない。
僕のしてる会話と、緋色さんのしている会話がずれてるんだ。遠廻しも、腹の探り合いも嫌だと言っていたのに、緋色さん本人が話を整理できてない。
どう収拾つけようかと次の言葉を選んでいたら、緋色さんが僕の腕を掴んで強引に引き倒した。
倒れた拍子にフェネットが逃げてテーブルの下にもぐりむ。
緋色「じゃあ言わせてもらうけど」
斜めに覆いかぶさるように僕を見下ろす緋色さんは、僕の手に指を絡めて握りしめた。
今まで飄々としていた色のわからないオーラから、一瞬に匂い立つようなオーラに変わる。
緋色「自覚ないのか?今のマキ、辛くて辛くて倒れそうって顔してる。それに、自分で言ってたから言っちゃうけど、今相当キてるだろ。試合前のボクサーと同じ顔してっぞ。飢えてて苦しくてめちゃめちゃ溜まってる顔」
!!?
緋色「俺なら、そんな風に思わせない。
そんな、三歩後ろ歩きながら手を繋げるのを夢見るような気持ちにさせない。一緒にいたいのに、電話で声聞けたから十分なんて悲しい思いさせない。泣きたい時に泣けないような、作り笑いで固めた笑顔はさせない。心から笑えるように、そんな目はさせない」
爪も牙も見当たらなかった穏やかそうな動物が、正体を露わにした瞬間。
ただ…、彼の場合は、今までの凶暴な肉食獣とは違う。僕を喰らおうとする欲望まみれの牙でも、僕に言うことを聞かせようとする爪でもない。血生臭い醜さも、欲情した欲望も見えない綺麗な獣。
緋色「辛い恋ばかり追いかけるな、俺にしとけよ」
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