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アルバムをなぞる指先の決断55
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、
処方薬…
なんで〝薬〟じゃなくて〝処方薬〟って言った?
僕がこっそり帰って先生から貰ってるの知ってるわけない。ただ、憶測だとしても引っかかる言い方だ。
病院行ってるって証拠は何一つない。薬は厳重に保管してるし、ゴミだって神君にバレないように家の中で捨ててないから見られたってことはない。それに、先生に処方してもらったのを彩さんや奏一さんが知るすべはないし、僕の味方の先生が話すわけない。
…。
あぁ、もう!こうならないために行きたくもない先生様のところに行って診てもらってたのに。奏一さん一人でも厄介なのに、得体の知れない彩さんと二人いっぺんに相手にすんのは相当キツイ…。
…。
ボロは出してない、カマかけてるんだよな…。
証拠は何一つないんだから。
マキ「処方薬って?」
涼しい顔して聞き返した。視線や表情や仕草にも細心の注意を払って。
だけど、変わらない反応をする僕を、ますます気に食わないって怒りを露わにする奏一さん。
奏一「こっちは全部知ってるんだ。修二が泉君からぜーんぶ聞いてるんだからな」
うん♡
しゅーじきゅんブチ犯す♡!!
泉のやろう今回の神さんの件黙ってたの怒ってるんだな。でも、僕の方が怒ってるもんね!
よりによって奏一さんと彩さんに情報流すなんて!!
奏一「隠しても無駄だっつっているのに、素直になる気は無いみたいだな」
僕を抱きしめる奏一さんの目が一層厳しくなって、彩さんは益々優しげに微笑む。
忽那「そのようですね」
この二人、至近距離だとマジで怖いんですけど。
勝てる気がしない…
もう逃す気ないってガッチリ両肩掴んだ奏一さんは、厳しい目付きで僕を睨む。
奏一「うちに連れて帰ってみっちり話し合わなきゃな」
笑わない瞳を細めてにっこり微笑んでる、その顔の恐ろしさったらない。
奏一「逃げられると思うなよ」
奏一さんがおでこをゴチンと当てて首根っこを掴んできた。
ちょっと体温の高い温もりと、やたらと熱い視線に喉の奥が締め付けられる。
奏一さんの優しくも厳しい眼差し…
ちょっと苦手だ…
あの時のことを思い出しちゃう。慰めるつもりが、いつのまにか慰められてた。
僕は、この人に勝てない…
マキ「…」
奏一「いい加減降参しろ」
マキ「…」
奏一「…」
マキ「奏一さん…」
奏一「ん?」
マキ「こんなに近いとなんだか襲われてるみたい、あとほんのちょっとで唇が触れちゃう」
おでこの触れ合う至近距離。
息をするたびに触れる吐息。
困り顔で上目使いしたら、奏一さんの顔が一気に沸騰した。
奏一「!?!!?」
自分で抱きついたくせに、突き飛ばすみたいに離れた奏一さんは、動揺しまくってソファーから転げ落ちそうになった。
マキ「あは♪驚きすぎだし♪顔真っ赤♡」
奏一「おまっッッ!おまえっッッ!」
マキ「あはは♪可愛い♪」
奏一さんが動揺しまくるのを煽るように、可愛らしい顔してニッコリ笑ったら、奏一さんは、半泣きで彩さんに助けを求める。
奏一「彩さん!!」
彩「…そんな涙目で見られても、私もマキさんと同意見ですよ」
奏一「!!」
彩さんが奏一さんいじめて遊んでる。
奏一さん今にも泣きそうだし。
ってかこの二人。
絶対なんかあったでしょ。ってか彩さん癒し系で優しそうな顔の割に、その正体は、優しい牧師様の皮を被った吸血鬼でしたって言い出しそう。
絶対奏一さんに唾つけてそうなんだけどな…
彩「まぁ、冗談は置いといて」
あっ、話を元に戻された…
彩「マキさんは今晩、私たちと来てもらいますからね」
笑わない瞳を細めてにっこり微笑んでる。その顔の怖いこと怖いこと…。
マキ「はぁ…、何をそんなにムキになってるんですか?僕のことはなんともないですから、僕はちゃんとやってるし、夏に奏一さんの手を煩わせた事はちゃんと反省して対策してるから、あんな無様なことにはもうならない」
奏一「はあ?」
マキ「それに!。神さんの記憶後退の原因は、催眠術だってわかったんだから、道具が揃えば解決するって分かったじゃん。だから、もう心配ないよ。あとは道具が揃うまで、神君が混乱しないように…」
忽那「それはどうでしょう」
彩さんの冷静な声が割って入る。
彼だけが、僕の言葉に全くと言っていいほど左右されてくれない。
忽那「あくまで、記憶後退の原因の一つとして催眠が候補に上がってます。ですが、百目鬼さんが事故の後遺症がないか、催眠を解いてみないとわかりません」
マキ「…それなら、なおさら僕じゃなくて百目鬼さんへのケアが…」
忽那「あなたが先程から私たちに向けてる言葉、そっくりそのままお返しします。
『何をそんなにムキになってるの?』」
マキ「…」
忽那「私の対応は普通のことですよ。事故の被害者のケアをしながら、その被害者のフォローをしてる方の話を聞いてアドバイスやケアをするのは」
マキ「だから、僕はなんともないって…」
忽那「…、百目鬼さんが記憶が戻ったら。全てバレてしまうと思いますよ?」
マキ「!??」
忽那「百目鬼さんは、自分のことを一番信用してません。そして、あなたの『大丈夫』も、信じないでしょう。そうなったら、彼は職業柄、全部調べるでしょうね」
ッッ!!
忽那「使えるツテは全部使って、勿論私は全部お話しします。マキさんが『大丈夫、心配ない』とおっしゃっていたことも、私が〝感じたこと〟も全てお話しします」
!!!!!
忽那「『大丈夫』なら、何を百目鬼さんに聞かれても〝大丈夫〟でしょ?」
マキ「…………………」
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