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アルバムをなぞる指先の決断59
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…。
シンッ…
と、静まり返った部屋の中。
なんとも言えない彩さんの怖いくらいの笑顔と、顔が赤いんだか青いんだかパニック状態の奏一さん。
そして、自分の軟弱さに腹立たしく、隠したものを暴かれて馬鹿みたいに泣いてしまった、板挟みの僕。
まさに、カオス。
奏一「ッ…ちッ、違うからッ!ほんとッ!マジで違うからッ!」
青、赤、青、赤…
彩さんを見ては青くなり、僕を見ては赤くなり、ぶんぶん顔を振り続ける奏一さん。
状況は悪化の一途を辿る。
忽那「奏一、私は何も言ってませんよ」
ニコニコしているその笑顔、なんとも思ってますって書いてあるし…
奏一「いやいやッ、言ってる!顔がもう色々言ってる!」
奏一さんは馬鹿じゃないし、勘はいい方だし、2人は長い間一緒にいるから分かるんだろう。彩さんの笑顔の複雑さ…
そして、複雑なはずなのに複雑に見えない〝綺麗な笑顔〟の恐ろしさ…
普通の人ならこんな時、嫉妬的なわざとらしいニコニコなんだろうけど、彩さんのは違う…
もっともっと複雑で含みがあって、なんか色々…周りの人自身が気づいてないようなことまで気づいて、それを踏まえて状況読んでの…ニコニコ…
忽那「ふふっ、大丈夫。奏一が〝言われた〟って思ってるようなことは思ってませんよ。…ただ、やっと合点がいっただけです」
奏一「思ってるじゃん!、ほらッやっぱ、思ってるじゃんッ!だから違うって〝そう〟じゃなくて!」
僕は、1を知ったら10予想する、10知ったら100予想する。
だけど、彩さんはおそらく、1を知ったら10を知り、10を知ったら120%を知れる人。
忽那「〝そう〟じゃないですよ?。ずっと誤魔化されてました。最近、奏一の様子がおかしかった理由がわかっただけです」
ニコッと笑みを深めた彩さんの考えは、正しいのだ。その証拠に、奏一さんは疑問に思うどころか、さらに顔を真っ赤にして沸騰してる。
奏一「えッ?!エッ?!ええッ!?!」
奏一さんといい、修二やむつや華南といい…僕の知らない間に一体何があったんだろう…
なんだかモヤモヤする、…って、人のこと言えないか…
忽那「いいんですよ、言いたくないから言わなかったんでしょ、無理に聞こうなんて思ってません。ただ、察しただけですから、お気になさらず」
奏一「いやッ!気にしてるじゃん!気にする言い方してるじゃん!ってか、何を分かったの?!絶対誤解してる!困る!。ッ…ッ…ってか!彩さん今最高に意地悪なこと言ってるよ!」
忽那「意地悪も誤解もしてませんよ」
奏一「してる!」
ヒートアップする奏一さんをニコニコ冷静にかわす彩さんは、何故か腕の中の僕を抱き寄せて両手で僕の頬に触れてきた。
忽那「私〝も〟、マキさんが可愛くて好きですよ」
奏一「!!」
は?!
マキ「ちょッ!彩さん!離してッ」
この人無茶苦茶だ!
忽那「おっと、逃げるのは無しですよ」
マキ「違う、話が飛び過ぎてる。奏一さんに誤解させて困るのは自分でしょ」
忽那「あなたは深読みし過ぎて複雑に考え過ぎです。誤解もなにもないですよ。私も〝奏一と同じように〟貴方を可愛いと思ってるし、構いたくなるし、好きだと言っただけです」
マキ「だからッ!なんで状況悪くするの!可愛いなんて思ってないでしょ」
忽那「思ってますよ。私は、迷いながらも懸命に進もうとする人の味方をしたくて今の仕事してますから」
マキ「…、ッ…、分かったッ、とにかく離してッ」
僕が分かってもしょうがないじゃん!
こんな会話じゃ奏一さんの誤解は解けない、とにかく彩さんと離れて説明してあげないと!
じゃないと奏一さんが…
「テメーらッ何してる!!」
突然の怒鳴り声とともに、彩さんに押さえつけられてた体が彩さんから引き剥がされて宙に浮いた。
その怒声に、僕は撃ち抜かれたみたいに全身痺れてバクバク心臓が早鐘を鳴らす。
宙に浮いたと思った僕の体は、大きな腕に担がれていた。
百目鬼「茉爲宮泣かしたのはお前らか?」
僕を抱き上げ、彩さんと奏一さん睨み下ろす…
マキ「…神…くん…」
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