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アルバム絵本
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電話に出た神さんは〝らん〟という女性と少し真剣に話し込んでた。
…〝らん〟って、どっかで聞いた気がしたんだけど。
仕事関係だったか…、プライベートだったか…
うーん…
神さんは電話が終わると、少し困った顔しながら、僕をお風呂で洗ってくれた。
マキ「なんかあったの?」
聞いたら、神さんはさらに眉間にシワを寄せながら
百目鬼「夕方に出かけてくるから、留守番してもらって良いか」
マキ「うん、キングとミケと待ってるね」
ってニッコリ答えておいた、神さんは悪いなって申し訳なさそうなさそうな顔して僕の頭を撫でる。
きっと神さんは〝らんって誰?〟って聞いたら教えてくれると思うけど、なんか、そんないちいちあからさまに詮索するのも良くないなって思ったから聞かないでおいた。
だって、神さんはゲイだから、女の人とどうこうとかないし…
ハッ!!
ま、まさか、ユリちゃんみたいにオネエだったりするのかな!?だったら有りになっちゃうのかな!?
んー、むぅーー。
気にしないようにしようとすると、かえって気になっちゃうだよなぁ。
やっと出来た休み、正月休み明けまでずっとずっと一緒に居られるって思ってたけど。夕方数時間出掛けるって聞かされてこんな風に落ち込むなんて…
僕は、どんだけ神さんを独占すれば気がすむんだろう。
側にいられるだけでよかったのに…
神さんが甘やかすし我儘になれとか言うから…
今までに無い僕が現れ、僕らしくない感情が僕を支配する…
今までこんな風にごちゃごちゃ考えたり期待したり欲張ったりしなかったのに…
神さん相手だと上手くコントロール出来ない…
僕も、神さんを監禁してベッドに縛りつけたいって思ったことあるって言ったら、神さん流石に引くよね…
神さんに全部面倒見てもらってるから、全部僕が返したい…、神さんベッドに縛って、朝食から全部僕が作って「あーん」してあげて、お風呂でも洗ってあげたいし、疲れた体にマッサージしてあげて、僕の腕枕でヨシヨシ寝かせて甘やかしてあげたい…
毎日頑張ってる神さんを、僕の手で癒してあげたいだけのにな…
お風呂から上がった僕と神さんは、着替えて菫ママの店に向かった。
菫ママもみんなも待ってましたって大騒ぎ。
今年も菫ママのお手製おせちを食べ、僕と百目鬼さん以外は新年に飲めや歌えの大騒ぎ。
神さんもお酒を勧められたけど、夕方から出掛けるからとお酒を控えてた。
そんな神さんに、独り身で寂しい賢史さんが散々絡んできてたけど、いつも通り言い合いながら2人はイチャイチャ。
マキ「本当に、百目鬼さんと賢史さんは仲良しさんでラブラブですねぇ♪♪」
菫ママのおせちを堪能しながらジュースを飲んでのんびりしてる僕は、菫ママとお話ししてたんだけど、いつまでも賢史さんとイチャイチャする百目鬼さんをからかったら、気色悪いと賢史さんと2人ですぐさま否定してきた。
百目鬼「ふざけんなマキ!」
賢史「そうだぞマキ!こんな変態と一緒にすんな!」
百目鬼「賢史!貴様なぜマキを呼び捨てにする!」
賢史「うわー、変態呼ばわりしたのはどうでもよくて、可愛い可愛いマキを呼び捨てにした方が気になるのかよ」
だいぶ酔ってる賢史さんはなんかご機嫌斜め。結局言い合ってはいるけど、はたから見たら痴話喧嘩みたいなもんで、結局息ピッタリの仲良しさんなんだよね。
菫「もぉ、神も賢史ちゃんも子供みたいなんだからぁ、ねぇ、マキちゃん」
マキ「ふふ♪まるで兄弟みたい♪学生の頃からこんな仲良しなのかな」
菫「ンフフフ♪♪」
〝兄弟みたい〟、それを聞いた菫ママは意味深に笑い出した。
菫「神がこうなったのは、マキちゃんと付き合ったからなのよぉ」
マキ「え?」
菫ママは楽しそうに嬉しそうに微笑んで、僕の耳にコソッと内緒話をした。
菫「賢史ちゃん、あんなふざけてるけど、本当は凄く喜んでるんだから」
マキ「喜んでる?」
菫「神が、あんな風にリラックスした素直な表情を出すようになったのは最近。賢史ちゃんがどんなに叩いても引っ張ってもビクともしなかったのに、マキちゃんと付き合って神は変わった。雁字搦めだった自分を解放して、ああしてガキみたいな独占欲丸出しにして、マキちゃんと一緒に居られて本当に幸せそうな困ったちゃんになってくれた」
マキ「…幸せそうな〝困ったちゃん〟?」
菫「アハッ♪、悪い意味じゃないのよ。マキちゃんみたいな美人で可愛くて素敵な子は、神には勿体無いじゃない、美女と野獣よ。私たちも最初はどうなるかと思ったけどね。面倒見は良いけど、神みたいな不器用でガサツで鈍感で乱暴な発言ばかりする乙女心の欠片も分からないようなブキブキブッキーな野獣じゃ、マキちゃん泣かせて傷つけて、上手く出来ない自分にまた苛立って傷ついて、神もまた悲しい思いするんじゃないかって…。
でも、そんなの最初だけ…」
菫ママが僕の両手を両手で握りしめ、涙を浮かべ始め
菫「ありがとうねマキちゃん。あの不器用馬鹿を、馬鹿にしてくれて」
マキ「…菫ママ…」
菫「マキちゃんは、本当に強くて綺麗で、神には勿体無いけど、神自身がそれを一番よく分かってる。あいつは不器用だけど不器用なりに必死にマキちゃんと向き合って、マキちゃんを誰より大事にしたいとしてるから、モテモテでみんなのアイドルマキちゃんに好かれたくて必死に頑張ってるから、どうしたら良いかって眉間にシワ寄せてばっかりで気の利いたことなんかちっともできないけど、許してあげて」
マキ「………菫ママ、それは違うよ。神さんはとっても可愛くて頑張り屋で優しい人だよ。僕なんかには勿体無いくらい」
菫「……マキちゃん…」
マキ「僕と出会って神さんが良い方向に変わってくれたなら嬉しいけど、神さんと出会って変わったのは、僕の方だから」
菫「…それは、誰も信じないわよ。神ったらマキちゃんにデレデレなんだから、もう人生180度変わっちゃったんだから」
マキ「ふふっ♪、僕も、神さんにデレデレだし、人生180度変わったし、僕なんか、この先神さん無しじゃ生きられないよ♪」
菫「まぁ羨ましい!マキちゃんみたいな美人にこんなこと言われるなんて、神のやつには本当に勿体無い!」
マキ「あはは♪」
菫「マキちゃんは本当に〝いい子〟ね」
マキ「んふふッ♪、僕は〝いい子〟なんかじゃないよ♪我儘だし、神さん困らせてばかりだし」
菫「やーねマキちゃん、神なんて困らせてやればいいのよ、もっともっと困らせて、迷惑も面倒もぜーんぶ掛けて頼って、…もっと甘えなさいよ」
マキ「…………」
ニヤリと笑った菫ママが、それを言いたかったみたいに声を落とした。
菫ママが何を言おうとしてるのか分かって凄く驚いた。
何もかも察してる菫ママの瞳は、驚いてパチクルする僕をからかうように笑って優しく微笑む。
…菫ママは、僕を見てる。
取り繕った
僕の内側を真っ直ぐ見つめて…
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