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まだまだ遠いい……
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ー同日
ーマキのいるライブバー…
マキは、太郎が隠している事を、まるで見てきたように語る。
太郎はただただ震え、そこには、恐怖と後悔と安堵、そして悲しみがあった。
マキの暴く言葉は、太郎を見透かしたように、太郎自身も認められずにもがき苦しんでいた事ばかり。
何もかも無駄だと悟った太郎は、がっくりと体から力が抜けたようになり、ただただうつむいて震えるしかなかった。
マキ「…大丈夫、今までの事は僕がなんとかするから、だから、本当の気持ちを教えて。
僕は、君の味方だから」
マキは太郎の手を握りしめ、優しく微笑む。
太郎は、その暖かい手に瞳を潤ませ、唇を噛み締めた。
太郎「ッ…ごめんなさい」
マキ「大丈夫。もう、悪夢は終わるから」
太郎「…僕…、本当は…」
太郎が震える唇を開いた瞬間、マキと太郎の周りに、わずかにあった明かりが遮られて影になった。
マキが、ゆっくり振り返ると、そこには…
カウンターに座るマキと太郎の周りを囲むように、柄の悪そうな髪色が派手で筋肉質な若いイケメン達が4人。ニヤニヤしながら立っていた。
青ざめる太郎と、まるでこの男たちが誰で、どんな目的があるのか分かってるように、意味深に色気たっぷりで妖艶に微笑むマキ。
マキ「ふふ♪今デート中なんだけど♪」
カウンターに頬杖ついて余裕そうに微笑むマキに、男たちは「へー、これが…」と愉快そうに笑う。
4人の男の中の一人が、太郎とマキに向かってニヤニヤ話しかける。
「ったく、いつまでかかってんだよ。
あんたが噂の…マキ様だっけ?いくらあんたでもそいつを誑かすのは無理だぜ」
太郎を顎で示しながら、愉快そうにニヤつく男に。
太郎は俯いて肩を縮める。
そんな太郎を、マキは優しく見つめながら、太郎の膝で震える手をそっと握り締め、ニヤつく男にニヤリと笑って返す。
マキ「聞こえなかった?僕と太郎さんはラブラブデート中だから♪どっかいってくんない?」
マキの言葉を聞いて、突然男たちが笑い出した。
「あはは!太郎って誰だよ」
太郎「ッ…」
マキ「…」
男たちの笑い声に、尋常じゃないほど怯えるように震える太郎。
マキは太郎を落ち着かせようと「大丈夫だよ」と声をかけたが、俯いてた太郎がゆっくりと顔を上げた時、その怯えた瞳は、マキを見つめて震えてた。
その怯えた瞳の理由を、男たちは知っていた。
「そいつの名前は太郎じゃないぜ」
マキ「…」
男達がケラケラ笑いながらバラしたが、マキは表情を崩すどころか、「だから?」とでも言うように余裕の笑みを崩さない。
その表情に、男たちが一瞬不愉快そうに顔を歪ませたが、マキが強がってるんだろうと哀れんでニヤついた。
「騙されてたのを理解できないほど馬鹿なのか?」
マキ「…ふふっ♪。知ってるよ♪、
太郎さんの名前が本名じゃない事も、あなた達にどんな目に遭わされてるのかも。太郎さんの彼氏が借金まみれで、その返済のために太郎さんを使ってAV撮って売りさばいてる事も。
こないだ僕が邪魔した撮影の損害を、太郎さんのせいにして、僕をAVに出演させるように太郎さんを脅してるのも、全部ね♪」
マキの言葉に男達が全員太郎を睨むが、マキが庇うように間に立ち、その視線をマキに戻させた。
マキ「彼は何も喋ってないよ。僕たちを見張ってたなら、分かるでしょ?」
動じないマキの姿に、4人は辺りを見渡した。
マキの味方が誰か一緒に来てるんじゃないかと疑ったからだ。
男達は少し慌ただしくなり、太郎に苛立ちをぶつける。
「おい!さっさと奥にマキを連れてけ、彼氏が待ってるぜ」
男が奥のVIPルームのある方を指差すと、太郎はビクッと背筋を伸ばしVIPルームのある方に振り返る。
さっきまで、マキの言葉に傾きかけていた太郎の瞳が、また苦悩に瞳が濁り、マキが握ってくれていた手を強引に握り返した。
太郎「…。マキ、お願い、僕の味方をしてくれるなら…、お願いだから僕と一緒に来て…」
VIPルームの方に向かって腕を引くが、マキはその場から動かず、太郎を真っ直ぐ見つめて優しく笑いかける。
マキ「…太郎さん、僕と一緒に帰ろう♪。必ず、悪夢を終わらせてあげるから♪」
太郎「…」
太郎の瞳が一瞬迷いに揺らいだが、その瞳は悲しそうに崩れた。
太郎「ごめん…、できない…、できないんだ…、僕だけ逃げるなんて…できないんだッ…」
太郎の悲しい瞳を嘲笑うように、男達が次々と手を伸ばしてきて、マキと太郎の身体を拘束し、部屋の奥へ引きずり込む。
太郎「ごめん…、ごめん…」
マキ「…」
男達に引き摺られながら謝り続ける太郎は、今にも壊れそうなほど切羽詰まっていて、マキは、太郎が握るその手を、振りほどきはしなかった…
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