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まだまだ遠い……
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太郎「まッ、待って下さい!!」
震える声で叫んだのは、戸惑って怯えた表情の太郎。
男「あ?」
マキに覆いかぶさる男が不機嫌に振り返ると、太郎はその鋭い視線にビクッと肩を強張らせ、唇を震わせ声を出した。
太郎「ひ…酷いことはしないで…く、下さい…」
男「なんだと?、誰が酷いことしてる、借金返済の手助けしてるんだろ」
太郎「で、でも、…マ、マキさんは、弁償代払えるって…」
男「そんなの嘘に決まってんだろ、邪魔すんじゃねぇよ」
怯える太郎を邪険に扱い、黙ってないとテメーもやんぞと威嚇するが、苛立つ男の下で、マキが平然と反論した。
マキ「嘘じゃないよ、1000万位なら、僕の口座に入ってるよ」
男「はあ?ガキの口座に1000万なんてあるわけねーだろ!」
マキ「そんなの口座を見れば分かることだよ」
男「逃げるための口実だろ、騙されるわけねーだろ」
マキ「だったら、電話して聞いてみればいいよ」
男「電話?、ハッ、誰にだよ」
マキ「茉爲宮商事社長、茉爲宮清史郎さんに♪♪」
「「茉爲宮商事!!?」」
その場にいた全員が目を見開いて驚いた。
茉爲宮商事といえば、かなり有名な会社で、数ヶ月前に就任したばかりの社長子息がいたが、経営が悪化、立場を追われて新しい社長に交代したことでニュースになったことで記憶に新しい。
男「あんな大会社の社長に電話って、お前、何者なんだ?」
男2「確か、あそこは一人息子がいるが、テレビで見た若社長はお前みたいな細っこいハーフじゃなかったぞ。それに、他に若いので継がせるのがいないから、元々の社長の兄が継いだって…ニュースでやって…」
男「じゃ、そいつの子供とか?」
男2「…」
男たちが慌てる中。
太郎は唖然とマキを見つめていた。
この子お金持ちなんだ…、1000万持ってるくらいお金持ちなんだ…と、自分は毎日毎日バイトとAV撮影で、月の給料は彼氏の借金返済に消えて、生活費を引いたら、毎月全部無くなってしまう。そんな生活の太郎には、1000万なんて気が遠くなるような金額を持ってるなんて、全く現実味のない事。
男2「ヤバいんじゃないか?」
男「バカ、好都合だろ、撮るもん撮ってネタにすれば、金になる」
男2「相手はあの茉爲宮商事だぞ、こいつが誰かも分かってないのに」
男「後でゆっくり聞きゃいいだろ、兎に角剥いちまおうぜ」
男たちが目の色を変えて揉め出し、マキを金に変えようと話している。
マキがお金持ちなんだと現実味なく唖然としていた太郎は、だんだんと現実世界に引き戻され、男たちの話してる内容に恐ろしさを感じ始めた。
太郎「これって犯罪じゃ…」
ポツリと漏れた太郎の心の声に、男たちが一斉に振り返る。
男「なんだと」
太郎「…あの、ごめんなさい…、でも…」
男「でももくそもあるか、こっちは撮影邪魔されて損害が出てるんだよ、その金弁償させようってんだろ!?お前程度の顔でも金になるように撮ってやって返済の手助けしてやってる俺たちを犯罪者扱いか?」
男が太郎の胸ぐらを掴んで怒り任せに一発、二発と殴り出すと、もう1人の男が止めに入った。
男2「顔はやめろ、使えなくなるだろ」
太郎「ッ…ごめんなさいッ…ごめん…なさいッ」
男「あぁ…悪りぃ。おい!誰かこいつ隣の部屋に閉じ込めとけ、撮影の邪魔だ」
取り巻きの男たちの1人が、震えてうずくまる太郎を引きずるように部屋から出ようと無駄に頑丈なドアの鍵を回して開けた。
その瞬間、
ーバァァン!!
ドガが外からの力で大きな音を立てて勢いよく開け放たれた。
「マキちゃんみーっけ」
ドアの前に立っていた人物は、マキの姿を確認すると、周りの男達を睨み付けた。
?「ねぇねぇあんた達さぁ、俺の友達を連れ込んでこんな部屋で何してくれちゃってんのかな」
ちゃらけて喋ってるが、その目は今にも全員殺すぞと言わんばかりに殺気立ち、その腕っ節を示すように拳を手のひらに当てて軽いミット打ちのように、男達見せつける。
現れたその人物に、予想外過ぎて、マキは驚いていた。
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