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アルバムをなぞる指先の決断8
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賢史さんの車で福島へ向かう時、賢史さんの妹さんを迎えに行ってから福島へ向かった。
初めて見る賢史さんの妹さんは、むさい賢史さんの妹とは思えないほど可愛らしい人だった。
栞「初めまして、妹の栞(しおり)と言います」
栞さんは黒髪のロングで、清楚な白いワンピースが似合いそうな絵に描いたような美少女って感じだった。
賢史さんと兄弟にはとても見えない。芸能人で言うなら橋○環奈さんの10年後って感じ…。
まぁ、賢史さんも無精髭剃ったら元は良さそうだけど…、まぁ、確かにアルバムで見た学生時代の真面目で優等生だった賢史さんからなら、こんな妹も想像できるけど…
もしかして、賢史さんに恋人ができないのは、妹がレベル高いから?
マキ「初めまして、茉爲宮優絆と言います。みんなにはマキと呼ばれてます」
賢史さんは、僕のことを妹の栞さんになんて説明してるのか。全然分からないけど、栞さんは僕について何も聞かない。
僕たちは、簡単に自己紹介してから、賢史さんの車で福島へと急いだ。
しかし……
神さんの意識が回復するどころか、神さんのおばあちゃんが体調を崩してしまっていて、それでも神さんから離れたがらず、それに付き添ってる家族も疲労が滲んでいて、栞さんが到着した時には、蘭さんは泣き崩れてしまった。
…神さんの家族の力にもなれず…
…神さんの側にもいられない…
僕は…
神さんの家族じゃないから…
男だから…
賢史「大丈夫だマキ、なんとか神に会えるように…」
マキ「…」
賢史さんはせめて僕だけでもと言ってくれたけど、僕は静かに首を横に振った。
今、何より優先するのは、神さんの家族を勇気づけることだ。
それが、神さんを守ることに繋がる。
マキ「賢史さん、僕、新幹線で帰るね」
賢史「は?」
マキ「賢史さんと栞さんは、神さんの家族と仲がいいんでしょ、今は、蘭さんたちが落ち着くまで側にいてあげて。僕がここにいても、何もしてあげられないから、帰って事務所を手伝ってくる」
賢史「何言ってんだ、すぐ目が覚めるかも、その時はお前がいた方が…」
マキ「目が覚めたらまた来るよ。ここは病院だから、神さんや家族の迷惑にならないように長居はしない方がいいから」
賢史「そんな言い方するな、迷惑だなんて神はな…」
マキ「ふふっ、優しい賢史さんありがとう。でも、そういう意味じゃないよ。ここは病院だから、病院のルールに反するって言ってるの。それに、今は、余計なことを言う時じゃない。蘭さん達家族の気持ちを考えて、百目鬼さんはおばあちゃん子だから、目が覚めた時、おばあちゃんに何かあったら自分を責める」
賢史「っ…、しかし、お前は…」
マキ「僕は大丈夫だって何度も言ってるじゃん、賢史さん心配性だな♪、僕は百目鬼さんが帰ってきた時万全の態勢でお迎えできるように今からやることいっぱいだから、落ち込んでる暇はないんですぅー」
賢史「…」
マキ「じゃあね、神さんの家族を助けてあげて」
駆け出した僕に、何か言わなきゃって賢史さんが手を伸ばしたが、僕はその心配そうな顔に笑顔で返して病院を後にした。
新幹線に乗りながら思うのは…
またしても、何もできずに帰るしかない僕の無力さ…
マキ「あっ…、神さんから貰ったホワイトライオン…賢史さんの車に忘れてきちゃった………」
何もできない…
神さんのピンチに…
神さんの大事な家族のピンチに…
僕は何もできない…
マキ「神さん……ごめん………」
清史郎さんの時は、家族だからこんなことにはならなかった。どんな時も側にいれて、一緒に住んでても誰からも批判されなかった。
家族だから…
でも神さんとは違う。
側にいるにも、一緒に住むにも、何かしらの理由が必要だ。世間に怪しまれないための理由が…
マキ「もうすぐ2月だったのに…」
あと数日で2月で、2月の29日の僕の誕生日には、養子縁組を組んで一緒になれるはずだった…
マキ「……僕を、攫ってくれるって…言ったのに……神さん………」
星空の下
誓ってくれた
どうして…
あの時攫ってくれなかったの…
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