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アルバムをなぞる指先の決断27
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【side奏一】
まさか、こんなことになろうとは…。
マキの事はもちろん、百目鬼の事も心配だが…、まさか、彩さんとマキが会うことになるとは…。
彩さんから告白れて、気持ちには答えられないと断ってからあと少しで1年。
彩さんが俺に告白したことは、彩さんと俺、それから何故か彩さんにつられて俺に告白してきた羚凰の三人しか知らない。
だけど、俺の経営する店にイタズラがあった時、たまたま会った百目鬼に解決を依頼した時再開したマキとたまたま話す機会があった時、何故かマキに、俺が男に告白されてどうしていいか悩んでるのを見抜かれ。マキは、相手が彩さんだって知らないけど、俺が男に告白されたのは知ってるし、その後ついうっかり「あやしゃん」って口を滑らせたのをマキは聞き逃さなかったから、この後、彩さんをマキに紹介したら全部バレるんだろうと思うと複雑だ…
それに
彩さんは、可愛くて綺麗で健気なマキを見たら、どう思うんだろうって思ってた。男と恋愛はちょっと…って思う俺からしても、マキは見た目は綺麗なハーフの女の子みたいだし、考えも知的で大人びてて、健気に一途なところとか見せられると、なんかあり得るんじゃないかって思えてしまうくらい可愛くて守ってあげたくなる存在だ。
俺ですらそう感じるんだから、男と恋愛出来る彩さんだったら、やっぱ好きになったりしちゃうんじゃないかなぁって考えが薄っすらあった。
まぁ、マキには、百目鬼って恋人がいるから、彩さんがマキを好きになっても片思いになっちゃうんだけど…。でも、あんな乱暴でポンコツな百目鬼と彩さんだったら、断然彩さんの方が頼りになるし紳士的だし気が効くし、甘え下手なマキでも上手に甘えさせてもらえるはずだから、マキだって…彩さんに惹かれたりしちゃうかも…。
マキと彩さんだったら、美男美女的に綺麗同士だし…
…。
いや、よそう。
今は百目鬼の事故のことの方が重要だ。
俺ってば動揺しすぎて百目鬼の容態を詳しく聞きそびれた。
今記憶が無いところとあるところがあって、マキのことはすっかり覚えてない。18歳までの記憶しかなくて、だいぶ混乱してるっていうのは聞いたが…。
百目鬼も確かに大変だろうが、大変なのはマキもだろ。夏に別れた時、あんなボロボロになってメシもろくに食えなくて、なのに、今度は記憶喪失だと?、あのバカどんだけマキを泣かせりゃ気がすむんだ。
マキは平気だってヘラヘラしてたが、電話で誤魔化されるもんか、俺は普段から修二って頑固もんの甘え下手な奴と生活してたんだぞ、今更マキの強がりに騙されるわけねぇだろ。
まぁ、それがわかってたから、マキは俺に百目鬼の事故を話さなかったんだろうけど…
そういえば、最近緋色が頻繁に、偶然が重なってマキに会えるんだと浮かれてたが…、あいつも知ってたんじゃないか?百目鬼のことはマキが言わないだろうけど、マキの様子がおかしいことくらいは知ってたんじゃないか?だから最近やたらとマキの話を俺にしてたんじゃ…
あー、しくったぁ…。
後で緋色にも話を聞こう。
マキは修二より手強いのは分かってる。
情報は1つでも多いい方がいい。
果たしてマキは何処まで本音を話してくれるか…
百目鬼が記憶がなくなって悲しいはずなのに、百目鬼の気持ちが大事だからって、無理に記憶を取り戻してって騒ぎたくないから、百目鬼の…18歳の百目鬼の気持ちを優先したいって…、完全に百目鬼を守るために臨戦態勢のあの子に、自分を大事にしろって、百目鬼に思い出してもらえるようにしろっつっても聞かないだろうし…
…だけど…、マキは確かに賢いし、人の心理を見抜いて口で負かすのは得意だろうけど…、今回は彩さんがいる。彩さんはマキが目指してる分野のプロだ。現役の彩さんが、卵のマキに負けるわけはない…
彩さんがいれば、マキのことも元気にしてやれるし、百目鬼のこともなんとかしてくれるかもしれない…
ただ…
彩さんが今回のことどう思ってるのかはちょっと複雑な気がするし…、かといって、2人が出会ったら出会ったで、何か起こりそうな気がする……
もしかしたら2人が…ってこともあり得るし…
はたまた、2人の気が合って、マキが彩さんの味方になってなんてことも…あり得るかも……
なんて考えていたら、あっという間に40分経ってて…。
想像してたのより、はるかに可愛くて綺麗なマキと、才色兼備で大人で紳士な男性の彩さんの2人の並んだ絵を想像して、なんだか2人を直視できない…
マキ「お休みだったのにごめんなさい」
百目鬼事務所の前の通りに車で来た俺たちに、マキは申し訳なさそうなに深々頭を下げた。
その顔は平然を装ってるが、疲れた顔をしていた。
俺は思わず車から飛び出して、謝ってばかりのマキを抱きしめて頭を撫でてた。
奏一「ほらみろ、全然平気じゃない」
腕の中にすっぽり包んでぎゅーっときつく抱きしめると、マキは苦しそうに身をよじり、へらりと笑って見せた。
マキ「奏一さん心配性、僕は平気だってば」
奏一「俺が誤魔化されると思ってるのか?鏡見ろ、やつれた顔してるぞ」
ちょっと怒り気味に言うと、マキは困った顔して大きな瞳で俺を見つめながら肩をすくめる。
マキ「違うんだよ。百目鬼さん、2週間くらい福島に入院してて、行く時間作るために睡眠時間削って課題やったり、長時間の移動とかちょっと慣れない事続きだったから…、百目鬼さんの記憶がないせいとかじゃないし、今は退院したから、ちゃんとベッドで寝れてるよ」
マキの言ってる事は本当かもしれない。だけど、俺はそうは思わない。
奏一「あのねマキ…」
マキ「それより奏一さん、あちらの方は?」
露骨に話題を変えられたけど、うっかりしてました。
彩さんを紹介するのを忘れ………
…。
る、どころか…、今、俺は、彩さんの前でマキを抱きしめたままだった…。
奏一「あっ!…、あのな、マキ。こちら忽那さん、俺の友達で、修二の通ってた高校の保健医さん」
動揺して思わず声が裏返った。
慌てたがなんとか彩さんを紹介したら、マキは車の運転席にいる彩さんに目線を合わせ、軽く会釈して自己紹介をした。
マキ「初めまして、マキです。こんな遅くにご迷惑お掛けしてごめんなさい」
マキが自己紹介したところで気がついた。
さっきは思わず〝彩さん〟を〝忽那さん〟と紹介してごまかしてしまったが、彩さんが自己紹介しちゃったらお終いだった。
忽那「初めまして、忽那です。気にしないで、君の事は、奏一から何度も聞いていたから。可愛い後輩がいるって」
優しい笑顔で答える彩さん。
彩さんは俺の動揺に気が付いたんだろうか、フルネームは名乗らなかった。
いや、動揺に気が付いたからって、マキに彩さんとの関係がバレそうだからって理由までは予想出来ないはず…。
彩さんの優しい笑顔に安心したのか、マキは嬉しそうに笑って…
俺の驚く事を口にした。
マキ「僕も聞いてます。奏一さんがとても頼りにしてる方だって、あなたが彩さんですよね?」
エッ¨!!!!!!!?!?!?
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