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「…ところで、その黒峰様って呼び方、やめないか?」
「……何で?ぴったり」
「…………」
様付けがぴったりって、どんな印象持たれてんだ俺。
「様とか別に付けなくて良いから」
「……でも、飼い主だから」
そう言うと、鳴瀬…いや、碧はぶつぶつと呟きながら悩み始めてしまった。
「……黒峰様…飼い主様…ご主人様…主様」
…おいおい、悪化する一方じゃねえか。
「わかったわかった。じゃあ百歩譲って、せめてクロ様とかにしてくれ」
「……クロ様」
ああ、そっちの方がまだマシだ。
何故自分から様付けの呼び方を提案しなければならないのか。
只の言葉遊びのつもりが、新しい呼び方が誕生してしまった。
しかも、様付け。
不意に、予鈴のチャイムが鳴る。
俺はゆっくりと立ち上がり、中庭を後にしようと歩き出すが、碧が動かない事に気付いて振り返る。
「…どうした?来ないのか」
「……一緒に、行っても…良いの?」
過去に何かあったのだろうか。
そう思う程碧の警戒心は強く、顔も体も強張っている。
警戒心が強い事は、不安が大きい事を意味する。
猫が毛を逆立て、後退る様子にそっくりだ。
「……碧、おいで」
なるべく優しい声色で囁やけば、碧は強張った表情を和らげ近付いてくる。
伸ばした俺の手をそっと握ったのを確認して、歩き出した。
一応、誤解の無いように言っておこう。
俺は別に碧に対して特別な感情があるから優しくしている訳ではなく、動物が好きなのだ。
特に犬と猫は良い、最大の癒やしだ。
撫でくり回したくなる。
教室に戻り、自分の席に座る。
碧も自分の席に戻って行った。
「ちょ、ちょっと、クロ!」
「…何だよ」
席について早々騒がしい声を出すシロに僅かに眉を寄せる。
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