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「黒峰」
「……何すか」
案の定、名前を呼ばれる。
嫌々ながらも返事をすれば、にっこりと満面の笑みを浮かべる梅田。
「お前、勉強教えてやれ」
…言うと思った。
「……何で俺が」
「お前奨学生だろ。頭良いんだから教えてやれ」
はい決定、いやー良かった良かった、なんて早々に話を切り上げて授業に入ろうとする梅田を見て深い溜め息が洩れる。
何でこいつは毎回毎回俺に面倒事ばかり押し付けるんだ。
まあ、きっと断った所で更に面倒な事を言ってくるに違いないんだろう。
俺はもう一度、深い溜め息を吐き出した。
そして放課後。
俺は仕方無く帰り支度をする美作に近付いた。
「美作」
「……あ」
俺の声に振り向いた美作が、俺の顔を見て忘れてたと言わんばかりの表情を浮かべて声を上げる。
「お互い非常に不本意だろうが、仕方無い。勉強するぞ」
「あー…うん、無駄だと思うけど頼むわ」
言外に教えたくはないという意志を込めて言うと、苦笑を浮かべつつ意外にも素直な言葉が返ってきた。
案外、不良らしい不良では無いのかもしれない。
勉強は寮でする事になり、そのまま流れで帰路を共にする。
「そういえばさあ、昨日のあれ凄かったよな」
「…何が」
不意に美作が口を開いて、俺もそれに返事を返す。
「黒峰様誕生の瞬間」
「…………」
けろっとした表情で答えた美作に心無しか頭が鈍く痛んだ。
「美作も黒峰様とか言ってんのか」
「え?いや、別に。俺あいつ等みてえにドMじゃねえし」
「なら良かった。正直、あの黒峰様呼びは結構きついんだよな」
ほ、と安堵の息を洩らして肩の力を抜く。
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