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全員が黒峰様呼びをしている訳じゃないと分かっただけでも十分気が軽くなる。
「でもあん時は確かにかっけーと思ったよ」
ぽつりと呟く声が聞こえて視線を向ける。
「弱い奴庇って、クラス全員に向かってあんな堂々とした態度で言い切ってさ。何つーか、すげーなって思った」
不良らしくない純粋な笑みを浮かべる美作に、自然と俺も口元が緩む。
オレンジ色のキラキラした頭をそっと撫でる。
「……サンキュ」
「……っ…」
照れたのかカッと顔を赤く染める美作を見て、碧が猫ならこいつは犬だな、と思った。
それから寮に着き、一旦着替えると言った美作と別れて自室に入る。
ガチャ、と音を立てて扉を開ければ、それに気付いたシロが寝室から叫ぶ。
「クロー!おかえりー!」
「おう、ただいま」
ネクタイを緩めながら寝室を覗けば、そこには目をキラキラと輝かせたシロ。
「俺1人で超つまんなかったんですけど!」
まだ思う様に動けないのかベッドに寝たまま文句を言うシロの頭をくしゃりと撫でる。
「はいはい、頑張ったな。そのまま良くなるまで大人しくしとけ」
制服を脱ぎ、私服に着替える。
その様子を見て、シロが不思議そうに見上げてきた。
「…どっか行くの?」
「ああ、梅田に美作の勉強教えるように頼まれてな」
「美作の?!」
驚いたように声を荒げるシロに驚いて思わず視線を向ける。
「美作って美作 虎太郎?あの不良の?」
「見た目は不良っぽいけど全然怖くねえよ。あいつ犬みたいな性格だな」
「クロの目にはあれがわんこに見えるんだ…」
驚愕した様子のシロを尻目に、そそくさと着替えた俺は制服をハンガーに掛けて鞄の中を整理する。
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