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疑問の夜 5<清、猇視点>
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波留が俺の部屋に眠りに行った頃
リビングにいた俺は猇が出てくるのを待っていた
「おっせー……。長風呂かよ」
大分乾いた髪を弄りながら、ビールを片手にキッチンの隣にあるテーブルに腰掛ける
冷たいビールを喉に通すと、ガチャリと音を立てて猇がリビングへと入ってきた
「やっと来た。…遅いわぼけ。」
「どっかの誰かさんが風呂場に入ってくるのがわりぃんだろ。」
痛い所を突かれ、俺は押し黙る
ビールを冷蔵庫から出し、俺の前に座る猇を見てふと思う
降ろされた前髪に、タッパのがっちりとした体格
男の俺から見ても恰好良いと言える容姿だ
猇は…多分黙っていれば普通にモテるはず
(いや、喋ってもバリトンが聞いた声してるし…って何話してるんだろ。)
「で、しめてきたの?鹿島組の事」
「ん?あぁ、しめてはきたぞ。」
ビールを美味しそうに飲みながら猇が答えてくれる
「それと、ついでに聞いてきてやった。」
「あ、昼間言ってた件?」
「あぁ、羽柴の親父が丁度居たから直で聞いてきたんだが…、どうも和嶋会が関わってくるのは本当らしい。」
「紫乃が言ってたことか……。」
俺達はビールを飲む手を止め、向かい合った
「去年の事件で、和嶋会が関わった殺人事件があったらしい…。」
「殺人事件…?」
俺はある事が引っかかった
「詳しい事は羽柴の親父も知らないらしいんだが…、殺したのは天原結弦(あまはら ゆづる)って男らしい。」
「でもなんでそんな事で和嶋会が?」
「それは紫乃が帰って来てからの情報網を使うしかないだろ。…しっかしまー、波留の言ってる事と被ってて胸騒ぎがするんだよな」
それは俺も同じだった。
「何でもないといいけど……。」
「ま、羽柴の親父の情報はそんな所だ。お前も飲んだら寝ろよ。」
猇はグイッと一気飲みをすると、ビール缶をごみ箱に捨てて部屋から出て行く
一人なったリビングで俺は波留の事と関係がない事を祈りビールを一気に飲み干した
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