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夢
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『波留って言うのか』
『うん。君は?』
『天原結弦って言うんだ。…皆は俺の事結弦って呼ぶからお前もそう呼んでくれよな‼』
自己紹介を済ませるとニッカリとお日様のように笑う彼
彼は波留に様々な事をしてくれた
遊びにも連れて行ってくれて、危険な時は助けにも来てくれた…
次第に波留の中で結弦と言う存在が彼と会うたびに大きくなっていた
(俺の大切だった親友……)
そんな彼はいきなり波留の前から消えてしまった
何も言わず……
『…どうして。結弦…。』
殺されたその現場に呆然と立ち尽くした波留は、大粒の涙を流しながらか細い声で呟いた
そしてブルーシートに包まれた彼に向かって必死に叫んだ
『結弦‼ ねぇ結弦‼ 返事してよ‼起きてよ‼死んじゃ、嫌だよ‼…俺を一人にしないでよ…』
波留の叫びは立っていた警官に止められ、届く事は無かった
(結弦が遠くに感じた、もの凄く…)
病院の霊安室で見た結弦の顔にお日様はなかった
真っ白な雪みたいでとても冷たい…
彼のご両親が結弦にしがみついて大泣きをしている姿を、唇をかんで耐える事しかできなかった
波留も彼と二人になった時、声が枯れるほど泣いた、叫んだ、謝った…
『ごめんね結弦…ごめんね…。俺、大好きだったんだよ?結弦の事……。』
波留はそれ以来、誰かを信用する事をやめた
誰かと関われば、その人がつらい思いをする、悲しい思いをする
そんなの見てる事が出来なかった…
辛い思いなら自分が背負えばいい、誰かにこんな悲しい事が起こってなんかほしくない
だから波留は、今の今までそうやって生きてきたのだ……
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