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カフェ 4
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「…そう。そんな事があったの」
紫乃に説明し終えると、波留は下を向いてぎこちなく微笑んだ
「…男なのに、情けないですよね。守ってもらうなんて…」
「そんなにくよくよしないの。…でも、波留くんにも家族はいるでしょ?」
“家族”
「家族は……バラバラです。…兄は病院にいて、母は俺を捨てて何処かへ行ってしまいました。…父は、事故で一昨年に他界してます。」
波留のそんな話を聞いて、紫乃も些かいけない事を聞いたと思い、謝ってくる
「…ごめんなさい。いけない事を聞いちゃったわね。」
「いえ、…でも、今は楽しいです。皆とっても優しいから…」
「じゃあ、私も波留くんに少しだけ話そうかしら…昔の事」
そう言って、紫乃は波留を真っ直ぐに見つめてきた
「私や真尋やキヨ達も波留くんと同じ様に家族がいなかったの。…そうね、孤児院育ちって言った方がいいのかしら。そんな所に現れて私達を引き取ってくれたのが、羽柴の親父って呼ばれてる羽柴会長なの。あの人、私達にこれからは俺がお前等の父親だーって言ってここまで育ててくれたわ。…まぁ、おかげで組入りさせられちゃったけどね?」
「……。」
「あの人は親のいない子供とか見放された子供がいると放っておけない性分みたいで、私達もその影響をバッチリ受けちゃったみたいで…私の組にいる女の子達も殆ど皆1人ぼっちだったり、帰る場所がない子達なの。」
自分の事を話す彼女は少しだけ寂しそうで、でも何処か楽しそうだった
「だから、キヨも猇も波留くんの事を放っておけなかったんじゃないかしら?…居場所を作らない波留くんに居場所を作ってあげたかったんだと思うわよ。…特に猇はお兄さんぶってるけど、そういうのには1番弱いから。」
「あの、猇が……?」
波留は紫乃の顔を驚いた表情で見ると、彼女はこくりと頷いた
「そうよー。小さい頃はもう少し可愛かったんだけどねー…あ、この話2人にはしちゃダメよっ‼︎波留くんと私のヒミツね」
口元に指を持っていき子供みたいにはにかむ紫乃に、波留もつられて笑ってしまう
「内緒にしておきます。」
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