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ぎゅー… 1
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外の空気を吸いに出た波留は石畳の階段に腰掛けて座っていた
(…兄さんが退院。)
頭の中はそればっかりがぐるぐると渦巻く様に繰り返され波留の周りはどんよりとした空気を作り出す
兄は昔から精神が不安定の病気でよく波留や両親に強くあたったり、怖いくらい優しくしてきたりする事があった
でも、精神安定剤や適度なカウンセリングでなんとか高校まで辿り着いて都内の高校に兄は通い始めた
波留と両親は都内から遠く離れた場所に住んでいたため、兄は一人暮らしをしていた。病状も安定してたし、きっと大丈夫だと自分の中で勝手に決めつけていた
ある日波留は中2の夏休み後半辺りに、兄さんが住んでいるアパートを訪れた
母から頼まれた仕送りの一部を渡す事と、兄の病院の検査結果の受け取りを頼まれ…あとは自分が個人的に会いに行きたかったから電車を乗り継いで兄のいるアパートを目指した
アパートに辿り着いた波留は呼び鈴を押して兄さんが出て来るのを外で静かに待った
だが、扉を開けて出てきた兄は、波留の知ってる兄なんかじゃなかった…。
怖くて、逃げ出せなかった。
後で母から聞いた話によると兄は精神病院の患者として運ばれたらしい
あの時の事を思い出すだけで身の毛がよだつ
「…どうしよう。」
助けてくれる家族はいない
波留は長いため息を着いて頭を抱え込む
「…はーる?どうしたのさ、ため息なんか着いちゃって。」
抱え込んでいた頭をあげると、目の前には綺麗な金色の髪を揺らしながら優しく微笑む清がいた
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