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ダーツ 3
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波留もつられてそれを見ると、丁度会長が矢を放つ瞬間だった
(……わぁ。格好良いな)
しなやかな動きと、真剣な表情に思わず目を囚われてしまう
トスッと矢がボードに刺さりすぐさま得点を明かされる
「うわ、ダブルブルだ。」
それに周りの組の人達は悔しそうに声を上げた
「ダブルブル…?」
ダーツのやり方が解らない波留は渡されたグラスを飲みながら首を傾げる
「ダブルブルって言うのはな、ゲームとかでよくある真ん中の円の事だ。ダーツの場合はその円が二重になっているから、内側の赤い円の事を“ダブルブル”って呼んでるんだ」
波留の素朴な質問に答えてくれたのは向かいからやってきた真尋だった
「ま、真尋さん‼」
思わず驚き、上ずった声を上げてしまう
「よっ。…今日はダーツか。あいつ等も懲りずに挑むな」
波留の横に腰掛けると、彼はマスターに注文をする
「あら真尋、てっきり参加してるものだっと思ってたのに」
「俺はダーツはパス。…あの会長に勝てっこないだろ」
真尋はカウンターに肘をつき顎を撫でると苦そうに笑った
「会長、そんなに強いんですか?」
波留は飲み干してしまったグラスの縁をなぞりながら彼に聞くと、真尋は大笑いで波留を見て言う
「そっかそっか、お前は知らないんだったな‼ 会長はな、ビリヤードとダーツが大の得意だ。特にダーツは勝てないったらありゃしない。」
グイッと顔を寄せて話す彼に紫乃が溜息をつく
「真尋、そんな脅すように言わないの。波留くんが困ってるでしょ」
「ごめんごめん。…でも、言ってる事に間違いはないからな」
波留の頭を落ち着かせるように優しく撫でると、マスターから酒を受け取り飲みだす
「…あ、もう一杯同じのお願いしてもいいですか?」
飲み終わったグラスをマスターに渡すと、カウンター越しの彼はにこりと微笑んで波留の空になったグラスを受け取ってくれた
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