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バイト先 4
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波留がマスターから話を聞き終えると、老人は笑顔で波留を抱き寄せた
「……波留くん、もっと私達を頼ってくれて構わなかったんだよ?…1人で抱え込む必要なんて何処にもない。辛い時は辛いって言っていいんだよ」
優しく、包む様に波留を抱きしめてくれるマスターに涙が出そうになる
「……俺、ここにいる先輩がマスターが優しいから…迷惑なんて…かけたく、なかった…皆に、笑ってて…欲しかったんです」
「そう言ってくれる波留くんが皆大好きなんだ。…でもね、時には言ってほしい、話してほしい事だってあるんだよ。」
「………ごめんなさい。」
マスターの制服をギュッと握り震えた声で謝ると、彼は優しく背中をさすってくれた
「いいんだよ。…でも、これからは話してくれるかな?」
「……はい。」
何度も頷く波留に、マスターは嬉しそうに顔を綻ばせる
「…あと、お父さんと友達のお墓参り、きちんと行くんだよ。きっと波留くんの事を待ってるはずだから」
「……はい。」
マスターが波留を離すと、少し屈んで流れてる涙を胸ポケットに入っている綺麗な布で拭いてくれた
「……ほら、もう行きなさい。店内に君を迎えに来てる人がいるはずだから」
「マスター、迷惑かけてごめんなさい。この店は俺も守りたいです。だから…少しの間、お休みさせていただきますね。終わったら精一杯働かせてもらいますので‼︎」
波留はマスターの手をきつく握り締めそう言うと、厨房を後にした
「……あの子がこんなにも強い子だとはね。」
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