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楓の部屋 3
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「かっ‼︎彼女っ⁉︎」
あまりの驚きで、波留は餌を求める鯉の様に口を開閉させてしまった
「うん。彼女」
さも普通に聞いてくる楓に波留は思いっきり首を横に振って否定する
「いないいないっ‼︎」
すると、楓は少し安心したようにホッと息をついた
「…そっかー、でも、波留兄ぃに彼女って感じはないよね。」
きっぱりとした物言いにサクッと心に突き刺さる物を感じる
(…そ、それはそれで傷つくかな。)
「どっちかって言うと……波留兄ぃが彼女って感じ?ほら、清さんとか猇さんの‼︎」
「っ‼︎‼︎」
楓の言葉に冷めていた顔が再び赤くなりだす
「…もしかして、図星?」
真っ赤になった顔を両手で覆うと彼女は勢い良くこちらに走ってき、波留の両手を退ける
「波留兄ぃ、どっちのなのっ⁉︎」
目を逸らそうと視線を動かすが、無理やり合わせられマジマジと見つめ合う形になった
(か、彼女って訳ではない…けどさ)
あそこまで関係が進んでいると自分でも何て言ったらいいのか全く解らない
「楓ちゃん、まずは落ち着いて。」
「私は落ち着いてるよ。」
即答の返事に此方が困ってしまう
「ほら、早く吐いた方が気が楽になるよ」
「べ、別にキヨと猇とはそういう関係じゃないっていうか…一緒に同棲はしてるし、優しくしてくれてるけどさ…」
(きっと、2人が優しいから俺が勝手にそう思ってるだけなんだ…好きだなんて…)
困った笑顔を楓に向けると、彼女は波留から手を離し部屋を出て行こうとする
「え、ちょっと…楓ちゃん?」
「波留兄ぃが答えないならあの2人に直接聞いてくる。…あと、波留兄ぃにその服あげる、返しちゃダメだからね」
先程まで波留が着ていたルームウェアを指差すと彼女は部屋を後にした
「相変わらず嵐みたいだな…楓ちゃん」
出て行った扉をぼんやり眺めながら思う
(2人に聞いてどうするつもりなんだろう…)
波留は一人取り残された楓の部屋で首を傾げながらあげると言われたルームウェアとにらめっこを始めた
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