アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
結弦の墓 4
-
その大きな瞳は波留の心を見透かしているようにも思えた
「…お前には解っちゃうのかな……」
「にゃーぉ?」
首を傾げて波留を見ると、その猫を抱き上げてみる
「…大人しいね。…ねぇ、聞いてくれる?」
服が汚れることなど気にもせず、猫の身体を抱き寄せると波留は語りだした
「俺ね…このお墓に寝てる友達を…殺しちゃったんだ。俺が結弦を殺したの…。…どうして結弦が死ななきゃいけなかったのかってずっと考えてた。結弦じゃなくて俺が死んでれば結弦は助かったかもしれないのに…、俺に出会わなければこんな事には…ならなかったかも、…しれないのに」
止まっていた涙がまた、堰を切ったようにドンドンと流れ出る
「…昔から…そうだった、俺が兄さんに襲われたり…しなければ、もっと…兄さんの事を考えていたら…母さんは出て行く事なんか…なかったんだ…父さんだって…父さんだって、俺が無理させなければ事故で死ぬことだってなかった…ぅぅ…どうして…皆を不幸にすることしかできないんだろぅ……」
自分が自分でイヤになる
「結弦に、会えないのが…今でも信じられないし…あの先輩達に事件の事を詰め寄る勇気もない。…俺って本当にいていいのかな…。」
本音をぶつけた波留は、情けない笑みを猫に向けた
「……何言ってるんだろうね。…でも、そんな俺でも良いって、好きだって思ってくれる人がいるんだ…」
波留は清と猇の姿を思い出しながら付け足す
「みゃーん」
猫はそんな波留の頬をざらりとした舌で舐めだした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
246 / 557