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寮
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「和綴君、そろそろ私達は失礼する。邪魔をしたな。」
いつの間にか私達の周りに群がる男子高校生達は、私と愛黎が歩き出すと後ろからついてきた。だが、その距離も段々縮まって来て、そのうちの1人が愛黎とぶつかった。
「わっ…あ…」
愛黎に視線を向け、空気に力を加えた。
愛黎が傾いた瞬間、私が気付かなかったら愛黎は怪我をしていたかもしれない。
「私と愛黎には大切な用事が在る。すまないが、後をつけるのはやめてくれないか?」
私が振り返って、彼等に言うと信じられない物を見た顔で帰っていった。
「すまなかったな、愛黎。大丈夫か?」
「し、しぇんぱ…足、床付かなぁっ…どなって…」
愛黎は宙に浮いている。そのため、涙目で混乱した様子だ。
「愛黎…大丈夫だ。」
愛黎はストンと床に着地した。
「せんぱ、僕今どうなって…」
「お前は知らなくても良い。」
「そんなこ…」
「さあ、行くか。」
愛黎を遮って先に進む。
愛黎はワンテンポ遅れて追ってくる。
「先輩?行くってどこにですか?」
「決まっておろう。私の部屋だ。」
「えっ、僕、特別寮に行けるんですか!」
途端に、愛黎の顔がパァっと輝いた。
「僕、特別寮初めてなんです!僕、普通寮だから、どこがどう違うのかずっと気になっていたんですよっ!」
きゃっきゃっと騒ぐ愛黎は本当に可愛い。
「ありがとうございます!先輩!」
なんて私に微笑むからこちらは脳内で爆発が起きている。
「あまり変わらないと思うがな?」
「え…そうなんですか?」
「特別寮には各部屋にシャワールームがあるが…普通寮にはなかったのだったな。」
「シャワールーム…かっこいい…」
ちらっと愛黎の顔を伺うと目をキラキラさせていた。
「それと、こちらはキングサイズのベッドが2台ある。1台にする事もシングルにする事も可能だが、そちらは2段ベッドだったな…」
「そうなんです!2段ベッドの下の段の取り合いですよ!夏は上の段暑くて暑くて!」
唇を突き出して嫌そうな顔をする。
「ふふっ…冷房を付けても暑いのか?」
「え!?クーラーなんて付いてないですよ!扇風機が2台渡されるだけです!」
「な、なん…だと…」
「だから…僕達は真夏日、死に物狂いで乗り切るんです。明日も、明後日も…そう考えると…ああっもう辛過ぎて生きて行けない…」
「それなら、愛黎の部屋に私の冷房一台あげよう。」
「え、何台あるんですか。」
「2台だ。しかし、一台しか使わないからあげるぞ。」
「レベルの違いはこういうところにもあるのか…」
ふむふむと頷いている愛黎は何やら納得しているようだった。
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