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そんなの、聞いてない*2
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「……母さん。航太が、どうしたって……?」
俺は恐る恐る聞く。
心臓がドクンドクンってうるさい。
返ってきたのは俺が思いも寄らないことだった。
「航太くん、明日東京へ引っ越すんでしょ?」
喉からヒュッて音がなる。
俺は浅い息を繰り返した。
母さんが「知らなかったの?」なんて俺に聞くけど、返事をする余裕など今の俺にはなくて。
とにかく自分の部屋に急いで戻った。
バタンと自分の部屋の扉を閉める。
その瞬間、堰(セキ)を切ったように俺の目からは涙が流れた。
……なんなんだよ。
航太が東京に引っ越す?
それって、もう会えないってこと?
「…………意味わかんねぇ。」
俺はボソッと呟いた。
昨日まではいつもみたいに、俺の隣で笑っていたじゃねぇか。
これからも一緒に高校へ行って卒業して大人になっていくと思っていたのに。
そう思っていたのは俺だけだったのか?
『バカだなぁ、昔の俺。航太が俺のこと置いていくわけないのに。』
……バカなのは今の俺だ。
ずっと一緒なんてありえなかった。
航太は明日俺から離れていってしまう。
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