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3年後のソーダキャンディー*
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「夏希ー!アンタにお客さんよー!」
季節はまた夏。
母さんの声に俺はガバッと身体を起こし玄関へ急いだ。
お客さん、だなんて言い方しなくても普通に名前で言えばいいのに。
母さんも久しぶりに会うから緊張しているのかもしれないな。
そうおもうとなんだか可笑しくて、俺は思わず小さく笑みを漏らした。
「………久しぶり、航太。」
「よう、夏希。元気にしてたか?」
俺の家の玄関の前で立っている航太は、大分大人っぽくなっていて、でもあの頃と変わらない俺の大好きな笑顔をこちらに向けていた。
あれから航太は高校卒業後、有名企業の娘と籍を入れた。
大学に行きながら、義父の会社の手伝いをしているらしい。
そんな忙しい生活を送る航太が、今回こっちに訪ねてきたのは、大学も夏休みで会社も今はあまり忙しくないらしくたまたま暇ができたからで。
俺の母さんの提案で、今日から3日間航太は俺の家に泊まることになっていた。
1週間前にそのことについて電話を貰うまで、航太とはまったく連絡を取り合っていなかったから俺はかなり驚いた。
ちなみに、俺は隣町にある大学に通っている。
隣町といっても家から通える距離だし、俺は未だに実家暮らしだ。
「適当にくつろいでて。」
航太を居間に通し、俺は台所へ一番に向かった。
今日のために買っておいたものを渡すために。
俺はソレを2つ、冷凍庫から取り出すと居間でテレビを見ている航太にそろりと近付き、航太の両頬をソレで挟んだ。
「つめたっ?!」
ビクッと肩をびくつかせる航太。
俺はその姿にニヤリと笑った。
「へへ。お前のためにこれ買っておいたんだよ。」
驚いている航太の目の前にソレを差し出す。
それはあの駄菓子屋のソーダ味のアイスキャンディーだ。
「……それ。」
「……3年前は、お前に奢ってもらったからな。今回は俺が奢ってやる。」
俺は航太にソーダキャンディーを手渡した。
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