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大学4年の就職活動中、宛先書いて送るだけで格好いいかも!
と、ある日本有数の大手企業に能天気丸出しに履歴書を送ったことが、彼をドタバタのラブロマンスへと誘う最初の一歩となった。
殆んど冗談で履歴書を送ったのに、書類選考を通り、あろうことか集団面接まで通る。
一流どころか二流にも劣る大学に通っている自分がなぜ?と頭の中を疑問が駆け巡る。
...はっ!まさかここに辿り着くまでに人生全部の運を使い果たしているのでは...?
ここに入社したくて小さな頃から、コツコツ努力している人ばかりが受ける様な会社なのに、半ば冷やかしで履歴書送ったから罰が当たったのかなと、大手企業に入社出来るかもしれないというのに、この時は選考を通れば通る程不安になっていった。
それでも最終面接のこの日、先日までの不安はどこ吹く風、ウキウキで面接会場へと足を運んでいた。
ここまで来ただけでもかなりの自慢。別の会社の内定も貰ってるし楽しまなきゃ損だなと、同じ会場で面接を待つ人達とは誰の目にも明らかな程、緊張感なく個人面接中も終止にこにこと満面の笑みを浮かべてた。
「忘れ物ない?初日なんだから、しゃんとしなきゃダメ!...何か、こっちの方が緊張するわ...」
慌ただし朝、周りをチョロチョロする母を苦笑ぎみに見やり身支度をする。もう子供じゃないのにと思うけど、言われた通り念の為頭の中で持ち物チェック。
「大丈夫。昨日のうちに準備も整えたし、社員証も定期も持ちました。」
そんなハラハラしながら見られるとこっちまで緊張しちゃうよと内心愚痴る。
「ならいいけど...。初日が肝心よ!笑顔でね!」
真似をしろと言わんばかりの満面の笑みを称えた母に、少しばかり勇気を貰えた。
「わかった。少し早いけど出るね!行ってきます!」
まさかまさかの採用通知に、両親は諸手を上げて喜んだ。それでも当の本人は喜びよりも疑問が膨らむ。なぜ自分が採用されたのかさっぱり解らなかった。最終面接時の面接官は恐ろしいほど辛辣だったし、余りの手応えの無さに、まぁ楽しかったし良い記念になったなと思っていたので、初出社の今日、本当に採用されたのだなとようやくの実感。緊張もしてるけどわくわくもして、足取りは軽かった。
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