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ハイヤーがホテルに到着する前に、恭司は意を決し、リストランテでしたら御一緒したいと思いましたが、部屋ではご一緒するのは致しかねますと耀子伝えた。
耀子の顔が見る見る強張り、恭司に詰め寄る。
「何故ですの?理由をお聞かせ願えるかしら。」
「仕事なら未しも、先程仰られた様に、これがプライベートだとするのならば、女性の中津川社長と2人きりでホテルの部屋へというのは、少々憚られると思いますので。」
「何の問題がありますの?私も高嶺専務も、独身でいい大人です。例え何かあったとしても、特に問題は無いように思いますけど?」
恭司は引かない耀子にその胸の内を言うしか無いかと暫し考える。以前、昴には耀子の気を引き、好意を持たせ続けろと言われていたが、そもそも了承はしていないし、昴がそれを了承と捉えていたとしても、調印も済ませ、事が動き出してる今、もう時効だろうと考えた。
「...プライベートを余りお話するつもりはありませんが、大切に想っている人が居ります。ですので、中津川社長とプライベートでホテルの部屋へ行くということは憚られます。」
はっきりと告げた恭司に、耀子は尚も詰め寄る。
「そうでしたの、高嶺専務にはそういう方が居らしたんですね。けれど、仕事、だと言ったらホテルの部屋だとしても、御一緒して戴けるんですよね?」
然も当たり前の様に仕事を引き合い出してきた
耀子に恭司は少し苛立ち思案する。
部屋へ誘うだけの口実だろうが...。
「仕事と言いますと、どの様な?」
恭司は耀子の返答次第で事を決めようと思った。
「新たに商談のお話しを。御安心下さい、御社にとって利益にはなっても不利益になる事は御座いませんわ。...これ以上をここでお話するつもりは御座いません。...どうしますか?高嶺専務。」
商談と言われれば断るのは容易ではない。
恭司は商社の重役で耀子は会社社長。機密性の高い商談なら、ホテルで行う事も多々ある。
明らかに自分に好意を向ける耀子と商談とはいえ、ホテルで2人きりというのは些か考えものな気もするが、このプライドの高い女が部屋へ誘い出すだけの口実で、実は商談は有りません等と後々言う筈がない。ここはこの誘いに乗るのが得策か。
「わかりました。では御一緒させて戴きます。」
「嬉しいわ。話しは部屋へ行ってからゆっくりと。」
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