アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2.押し倒せ!
-
ーーガタタタガタッ
「おいおいおいおいおいおい何してんだよ後輩どうした気でも狂ったか大丈夫か、頭か?頭をやったのか?だったらそうだな今すぐ手近な病院に」
「何急に焦ってるんですかさっきまで俺に怒鳴ってたくせに目泳がせちゃって」
「いやいやいやいやいやいや乗るなよ俺を床に倒すなよ顔を近づけてくるなよ!!!」
「あはは、焦りすぎですよ先輩」
「あ、焦るわバカこら!!!あぁん!?何してんだてめーは意味わかんねぇな!!さっき俺に何した俺の唇に何か当たったぞ…!!」
「先輩…馬、鹿、…なんですか?そんなの、ーーキ・ス・に、決まってるじゃないですか」
「ああーーーーーっっ!!聞こえないーーーっ!俺は何も聞こえないーーっ!!聞いてないーーーっ!!」
「…本当大人気ない」
「うっせぇ何とでも言え…!」
「あぁそうですか、じゃあ勝手にいろいろしますけど」
「ーおい!!何でもしろとは言ってねぇぞ……!」
「まぁまぁ少し落ち着いて下さいよ。そんなに怒鳴ってたら血管切れちゃいますよ?」
「ー誰が切れさそうとしてんだッッ余計なお世話だっつーの!!つーかこの状況で落ち着けるやつがあるかボケ!」
「元気だなぁ、本当に弱ってるんですか?」
「ったり前だろ…!、独り身の孤独感といったらないんだぞ馬鹿!!」
「それなら俺が一緒に暮らしてあげますよ。それで問題解決ですね」
「するか馬鹿…!」
「あれ、不服ですか?」
「当たり前だッッ!何で俺がお前と、男と同居なんか…!!」
「可愛い後輩を泊めてやると思って、どうですか?」
「どこが可愛いんじゃ…!!」
「えー、だって今日とか先輩の2時間にも及ぶ愚痴を聞いてたんですよ俺。先輩はそういうとこ、可愛いとか思わないんですか?」
「部下なんだからそれくらいして普通なんだよっ」
「うーわぁー、それなんですか?何その亭主関白みたいなの。だから後輩に嫌われるんですよ、だから逃げられたんですよ、奥さんに」
「ーて…めぇ、まじ殴るぞ…!!」
「殴れるものならどうぞご勝手に。ですが今のあなたはお酒でいつもより力が半減してる、加えて俺にお腹の上に乗られてるから更に力は今出ない、」
「何が言いたい…!」
「要するに、無駄な悪足掻きはやめて大人しくしてくださいって言ってるんです」
「誰が…そんな後輩の命令…っ!、」
「じゃあ殴ってみてくださいよ、ほら」
「…っの!!」
「……何ですかそれ?」
「…っ、ん…っ!」
「……可愛いパンチですね」
「〜〜〜てめぇまじで殺る…!表出ろやっ!!」
「あー、こらこらそんな暴れないで下さいよ無駄なエネルギーを体力的にも消費しますよ」
「うるさい黙れ…!!涼しい顔して上司を上から見下ろして…」
「気分はいかがですか?」
「最悪だよ…!」
「そんな即答しなくても。ちょっとネクタイ借りますね」
「っちょ、…っか、返せよ!!何で俺のネクタイ…」
「力ないって分かってるけど、一応、念のためです」
「ーちょっ……なに、…ぇっ、なに、枷…っ?、…痛ぃ…っっ」
「…良い格好ですね。両手を拘束された気持ちは?」
「…っ、お前…っ、何考えてっ…!」
「そんな下から睨まれても怖くないなぁ。後輩の1人も退けずに手上に上げて体倒して、…情けないですね?上司の顔丸つぶれだ」
「〜…っっ」
「あれ、何ですか?まだ何か言いたいことでもありますか?」
「、あるに決まってんだろてめぇ…!!」
「うわ、こわ」
「怖いと思うならさっさとこの手首の解け…!それでさっさと俺の上から退…」
「そうはいきませんね」
「っ、ーんだと…!!」
「…ようやくこんなチャンスが巡ってきたんだから、そうやすやすと睨まれたくらいで上から退くわけにはいきませんよ」
「…チャンスって、何の話だ」
「先輩が奥さんと別れて、独り身になって、弱って、ヤケ酒して、家にこうやって押し入れて、先輩を今ここで押し倒せているこの…チャンス、ですよ」
「はぁ……っ!?ーーん……?!」
唐突にまた唇に触れるその柔らかな感触に、俺は近い場所にある後輩の頭を凝視して目を見開く。
同じ男の、しかも自分より少し背高めの、しかも自分より体格の良い後輩に覆い被さられ、加えて手も動かせなかった俺は、顔を横にぶんぶんと振った。
けれどそれは、後輩の片手によって顎をぐいっと力強く固定されてしまい、俺は口内に舌が侵入するのが分かった。
ぬるぬるとした舌が俺の舌に絡んで、俺は上にいる後輩をキッと睨んだ。
「……っ、の…っ、……ん、ーっ」
「ー!いった、」
後輩の舌をギリッと噛むと、枷は、途端に俺から口を離した。
「…何するんですか」
こちらを見て不機嫌な顔をする後輩に、俺ははっと笑った。
「何するんだはこっちのセリフだっつーの、…上司押し倒して、しかもこんなことして、しかも男に…」
「それが何か?」
「…、お前…いっつも完璧だし、容姿も評判も良いし、…だから、なんかあると思ってたんだよ、…俺らには知り得るわけのないすげぇ裏があるんじゃないかって…そうな」
「…それはわざわざ、分析してくださってありがとうございます」
「ーだけどやっぱりその通りだった…っ!!お前、…ホモだな?だからこんなことするんだな?」
「ホモって…まあそうですけど」
「認めたなこの野郎…っ!!」
「えぇ。でも、ホモはホモですけど別に男なら誰でもってわけじゃありませんよ」
「嘘つけ…!ホモは男好きなんだから誰でも良いに決まってる!!」
「……あのねぇ、…だったら何で同じ職場のしかも自分の上司に俺がこんなことするんですか、誰でも良かったらネットでも何でもしてそこら辺にいる男引っ掛けて毎日楽しくヤりまくってますよ」
「最低だろお前ぇ…!」
「だから誰でも良かったら、です」
「はぁっ?じゃあお前はそうじゃないって…」
「だから……そう何度も言っているでしょう?あなたと話していると話が全く前に進まないんですが」
「はぁ!?、知るか!!何でお前がちょっとイラついてんだよ俺は被害者だ…!」
「イラつきもしますねぇ…、人の舌思い切り噛んでおいて…」
ビク、
瞬間刺すような目を上から向けられて、俺はたかが枷相手に臆病に心臓を鳴らした。
そうして枷は、不意に俺の上に乗ったまま自分のポケットをゴソゴソしたかと思うと、そこから携帯を取り出して、それからそれを俺に向けて、パシャッという機械音を出した。
それに、え……と嫌な汗を掻く俺33歳……。
「か、…かせ、…今、何を」
「先輩どうしても言うこと聞きたくないみたいなんで、手頭の上にして手首ネクタイで縛られて家の床に仰向けに倒れて寝てるとこ今撮影しました」
「…、……な、…なんてことを……」
「ーこれ、会社に一斉送信しようかなぁ?」
「、は?」
「先輩言うこと聞かないし、暴れるし、口答えばっかりするし」
「そ、れはお前が…、」
「そうですよね、これくらいの写真、送られたって別に何ともないですよね」
「え、いいいいいや違」
「ーよし、じゃあ早速そうし」
「ーーー分かった分かった分かった分かった…!!お前の言うこと聞く!舌も噛まないッ暴れない口答えしない…!!」
「……ほう?」
「………だから、送信しないでくれ」
「言いましたね?」
「…え?、」
「口答えしない、暴れない、舌も噛まない、……俺の言うこと聞く。そう言いましたね?」
「…ぇ、う、いや…」
「ー言いましたね?」
「、い、言った、」
「……じゃあ、自分で言ったことちゃんと守って下さいね、先輩」
「…な、…なにす」
「もし破ったら、この画像」
「ぎゃっ!こっち見せんな!見たくもない!!」
「そうですか?俺は、可愛いと思いますけど」
「お前おかしんじゃね…」
「ー送信しよう」
「っすみませんごめんなさい嘘です冗談ですすみません」
「…クス。こんな写真一枚で急に態度変えちゃって、……可愛いなぁ?先輩」
ヒタ、と頬に触れるその携帯の冷たさに俺はビクリと体を揺らした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 88