アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
23.お前が好きだよ!
-
「枷ってさ」
「何ですか?」
「何でそんなに何でも出来るんだよ」
「はい?」
「料理も出来るし、頭も良いんだろ?それに顔も良くてスタイルも良くて背も高いし」
「嬉しいですね。まさか先輩にそんなに褒められるなんて思わなかった。どうしたんです急に」
「だって、何でなのかなって…、そこまで完璧じゃ普通に疑問っつーか」
「うわぁ、ひがみ上司とも取れるあなたからそこまで褒められるなんて…」
「なんだよ」
「明日雪でも降るのかなあと」
「悪いな今までひがんでてっ」
「おや、素直に謝るんですね」
「なんだよ…!」
「いえ当時のあなたからは到底考えられない言葉と態度なので」
「…、…悪りぃよ…あの時は色々、…嫉妬してて」
「俺本当辛かったんですからね。何もしてないのにやたらとあなたに付け狙われて」
「…、……すみません…。」
「じゃあ悪いと思うなら態度で示して下さい」
「…は?」
「別に俺に床に顔つけて土下座して謝れなんて言いませんけど」
「…っ、ー当たり前だ!!!」
「でも、だから代わりにほっぺにチューくらいはして欲しいな」
「、ちゅ、ちゅー?…」
「そうです。ちゅーです」
「そんな、簡単なことで良いのか…?」
「ほう?簡単ねぇ。俺にそういうのすることに抵抗全くないんですね?」
「、あ、当たり前だろ…!俺、お前のこと…」
「お前のこと?」
「…、…だ、だって、俺は…いつの間にか、…お前のこと…」
「いつの間にかお前のこと?」
「………」
「何なんですか?続きは?」
「…わ、忘れた…っ!」
「忘れた?」
「あ、あぁそうそうさっきまで喉のとこまできてたんだけどまた胃の辺りまで落ちてった」
「何なんですかその意味の分からない言い訳は」
「何で言い訳だよ、まじだよ!まじで忘れた…っ!」
「へーぇそうですか、」
「何だよ…!てゆーか、どんどんこっちに寄ってくるなよ!!」
「何あなたはソファ座ってクッションなんか抱えてるんですか」
「はぁ…っ?別にいいだろ!安心すんの!」
「とすると甘えたなんですねぇやっぱり」
「ざけんな!やっぱりってなんだやっぱりって…!」
「知らないんですか?抱き枕とか抱えて安心する人って甘えたな性格なんですよ」
「だ、…抱き枕じゃないもんこれ!」
「クッションでもただの枕でも抱き抱えて安心するだなんて同じ意味に決まってます当たり前でしょ」
「ちっげーよ!!俺は別に甘えたりなんかしないし!」
「そうですかー?」
「そうだよ…!!」
「そう言ってる割にほっぺ赤いですね」
「はあ!?」
「良いですよ〜?甘えたいなら好きなだけ俺に抱きつくなりキスするなり何でも。俺は大歓迎です」
「ーー黙れ!しねぇよ…ッッ!」
「はい、さっきのキスしてください」
「、はぁ!?」
「さっきほっぺにキスするって言ったでしょ」
「、わ、分かったよっ、」
「はい」
「〜〜」
チュっ
「ーはい、やったぞ…!」
「偉いですねぇ〜ちゃんとほっぺにキスできましたねぇ〜〜」
「っっざけんなお前……!!頭撫でんな!馬鹿にすんな!!」
「へぇ。じゃあ何ですか?ほっぺにキス以上のことが自分からできると?」
「…っ、」
「できないんですね。良いですよ、別に俺からしますから」
「…なっ、」
「はい、口開けて?」
「…、ちょ…っ!んんっっ」
「先輩そんな赤い顔で俺のこと見ないでよ」
「んんんっ…、だっ…て…、んふっ」
「…もう、そんなに煽られたらキスだけじゃ……抑えられなくなるでしょうーー」
ー
「ーこの野郎…!俺をところ構わず突然襲うな!!」
「すみません。ついまたソファで犯してしまいました」
「〜っもうお前俺に近づくなよ…!」
「何ですか酷いな、さっき先輩も気持ち良さそうにイってたじゃないですか」
「それはそうだけど…っ!」
「じゃあ良いじゃないですか」
「ばっ、何が良いんだよ…!1日に何回もされたら体もたねぇんだよ!」
「頑張って持たせて下さい」
「無理だ!!エッチは1日一回!」
「えー」
「お前は呑気に腰振ってるだけだから良いだろうけどなッ俺はお前のでかいの挿れられて突かれて体力の消費量半端ねぇんだよ…!」
「はい?俺だって先輩の腰持って突くの相当体力消費してますよ」
「だったら1日に何度もすんな!」
「だって先輩が誘うからじゃないですか」
「誘ってねぇ!」
「無自覚なんですね〜ええ分かっていますよ、先輩がそういう人だとはもうずっと一緒にいれば分かることです」
「何だよてめぇはうぜぇな…!」
「でもそんな俺が、す?」
「は、?」
「さっき言いかけた言葉の続きは?胃から上に上がってきましたか?」
「、…ぁ……生憎、その言葉の続きはまだ胃の中だ」
「ーそんなわけないじゃないですか、さっきあんなに俺に激しく突かれて揺さぶられてたんですから、絶対上に上がってきてるはずです」
「それをまた持ち出すなよ!上がるかこの野郎!!」
「さっきは俺のこと褒めてたのに、何ですかその変わり様は」
「はあ?」
「頭も良くて料理もできてって褒めてたくせに」
「それは今カンケーねぇだろが!」
「そういうことは素直に言えるのに、こういう大事な言葉は言えないんだなっと思って」
「〜うっせぇよ…ッ!」
ーーーーーーーーー
ーーーーー
「先輩、夕飯できましたよ」
「おー」
「今日はカレーライスです」
「ワーイっ俺カレーライス好きだ」
「そうですか、良かったですね」
「おう」
「美味しいですか?」
「おぅ、まあまあだ」
「そうですか」
「おう」
「お昼の、何でもできるとか言ってた話ですけど」
「え?あぁ」
「俺は別に、故意で料理が上手くなったりしたわけではありませんよ。勉強は元々好きだったし」
「へ〜マジかよ」
「ええ。俺、両親基本いなかったから、自然と料理の腕は身についたんですよね」
「ー、…え。両親って…何で?」
「俺のとこ、親放任主義だったから」
「……へ、へぇ…」
「だから、無駄に自分で料理してなんか上手くなっちゃって、でも反面何だか虚しかったりしてましたかね。」
「……」
「1人で、自分で作ったもの食べて、洗って、また明日が来て、本当に虚しかった。料理なんて、美味しくなかった、何の味もしなかった、だってそんなの、当たり前でしょう?」
「……、ぅ、うん」
「でも、今はこうやって、先輩が俺の作ったの美味しそうに食べてくれるから、やっぱり料理作れて良かったなって、今は思ってますよ」
「ー…」
「すみません、ちょっと暗かったですね。こんなこと話すつもりなかったんですけど、先輩、気遣わずに食べて下さい」
「……」
「……先輩?」
「……き、だよ」
「はい?」
「、…す、きだよ」
「え?」
「ー好きだよっ!」
「……え?」
「ぉ…、お前の料理、美味しいしっ、いっつも、すごく、美味しいし…っ!ぉ、俺にはこんなの、無理だし、男でこんな作れるとか、本当にすごいと思うし、……だから、」
「…」
「…だから、……俺は、…」
「…」
「お前の料理……、………すげぇ……好き、…だよ……」
「………先輩」
「…、」
「…そっちですか?」
「、……」
「そんなこと、…言われなくても、先輩の様子見てたら俺の料理好きなことくらい分かりますよ」
「……」
「…そんな顔赤くさせて言わなくても、…大丈夫ですよ。俺のこと励まそうとしたんですか?」
「…」
「良いんですよ。先輩は、ただこうして、一緒にいて、食べてくれるだけで、…それだけで、俺は十分励ましになってるから」
「…」
「だからー」
ガタッ
ちゅっ
「ー」
………
後輩は、近いその俺の距離に、らしくもなく目を開いて驚いた顔をした。
触れるだけの唇に俺がゆっくり顔を離すと、後輩は俺を見て、目を瞬かせていた。
……
「…………ごめん、…なんか、したかったから」
「……………え?」
「…、…だ、…だから…………なんか、キス…したくなったんだ…」
「……………」
「………………」
「……………せん」
ガタッ!
「ーあ、あぁ!そ、そういえば、あれだ、あれなんだっ、ど、ドラマが、7時だっ、あ、リモコン何処に置い」
「夕飯残して席を立つんですね」
「ー、…あっ、いや……そうだ、違った、……と、トイレに、俺はトイレに行こうとして、だからちょっと」
ガタッ
「リモコン探そうとしてたんじゃないんですかあなたは?」
「そ、…そうだったんだけど、そ、そう、そうだったんだけど、急に、トイレに行きたいな、とか、思ったような、思わないような、いや思うような、全然思わないような、」
スタスタスタスタ
「どっちなんですか、自分の言ってることさっきから分かってますか?全く意味が分かりませんが」
「な、ななななな何でだよ馬鹿全然すげぇわかんだろ馬鹿じゃねお前実は頭悪りぃのか知らなかった実は頭悪かったなんて知らなかったな知らなかったな初知りだぜビックリだぜ何だそれ意味わかんね」
「…あなたさっきから何言ってるんですか?」
「さ、さあな知らねぇな俺の言ってることなんてお前はお前でちゃんと理解しろよ馬ー」
グイ
「、なな何だよ腕を掴むな俺はトイレにー」
「ーそんな顔真っ赤にしてトイレに行って何する気ですか」
「………っ、……ぁ、…………赤くなんか……な」
ちゅうう
「……、……な………なんてこと……するんだ、……おま」
「お返しですよ?あなたのキスの」
「ーッ、…へ、へえそりゃどうもっ、」
ちゅうー
「ー、………っな!、…ちょ、」
ちゅうっ
ちゅっ、ちゅう、
「……や、………めろよ…………馬鹿………、……顔に、…キス、…すんな…………」
「………あなたって、本当意味分かんない」
「……わ、…悪かったな意味分かんなくて!」
「……俺のこと、こんなふうにさせて………」
「………、…」
「…………先輩、……」
「…………、…な、なに……」
「…………俺………先輩が好き…」
「………し、……知ってるし…、…」
「先輩は………?」
「……………」
「…………先輩は?………」
廊下で、後輩の手によって、その顔を上げさせられて、俺はもう、逃げ場を失った。
こちらをじっと見つめる、その後輩の視線に、俺は金縛りにあったかのように体が動かなくなって
俺は、その唇をふるふると震わせた。
俺は両手を、唇を、ぎゅっと噛んで、それから後輩の顔を見つめた。
伝える言葉なんて、本当はずっと前からあって、なのにこうして見られると聞かれると、途端に言葉を呑んでしまう。
後輩の真剣な目に、昼間のような返しなどできないと思った。
……言える……言えるよ…、
俺だってー………
言えるに決まってんだろ…、
俺にだって………ー
目に、何故か浮かびだす涙に俺は眉を寄せて、頬を真っ赤に染めて、
そして俺は、
「ー……、……す…………き、………だよ…………お前……の………こと………」
ー目の端に溜まった涙に視界を歪まし、今にも消え入りそうななんとも情けないその小さな声で、そう言った。
後輩は、そんな俺に少しだけ笑って、片手を、俺の頬にやって、それから指で、涙の溜まった目元を拭った。
その手は柔らかく、温かく、怖いくらいに優しくて、俺は心臓の速さが加速するのが分かった。
俺は思った。
もうきっと逃げられないと。
こう言ってしまったら、こうなってしまったら、
もう俺は、この手から、この後輩から、きっと、
もう二度と
逃げられないんだと。
「………………先輩…………ー」
抱き締められるその腕の中で、俺は下ろしていた両手をゆっくりとその大きな後輩の、その背中に、俺は気づけば無意識に伸ばしていた。
ぎゅっと背中の服を掴むように手をまわすと、後輩は微かに体を揺らしたような気がした。
俺はそれから聞こえる、後輩の胸にある自分よりも少しだけ速いその、心臓の音に、
ー俺はまた紅潮する頬を更に赤に染めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 88