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走る
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あのあと、何故かしつこく昼飯を一緒に食べようと言ってくる八嶋さんから逃げるように、八嶋さんの自宅を離れ、見知らぬ土地に迷いながらも、なんとか俺とアキラの住むマンションの近くまでたどり着いた。
ふと、携帯を開くと、メールが数件と着信が入っていた。初めて見る着信の多さに唖然として、確認すると全てがアキラからで。
近くの公園に入り、ベンチに腰かける。昼前の日射しはキツかったが、あまり気にならなかった。
意を決して、アキラからのメールを開く。
『こんな朝早くからどこ行ってるの?』
『もしかして、バイトから帰らなかったとか?』
『誰と一緒にいる、すぐに帰ってこい』
『頼むから、電話に出て』
『リョウ、電話に出てくれ』
頭が混乱して、意味をなかなか理解できない。
一つ、確かにわかったのは、昨日の俺と同じようにアキラも苦しんだのだということ。
まさか、俺がいないだけでアキラを苦しめることになるなんて。どんな気持ちでメールを打ったのだろう。どんな気持ちで電話を掛けてきたのだろう。
消音モードにしていたから、気づかなかった。そう言ったら信じて安心してくれるだろうか。
早く、帰ろう。どんなに苦しくたっていい。どんなに傷つけられたって、まだ俺は、アキラを好きだ。アキラが苦しんでるなら少しでも助けたい。
早歩きで家に向かうが、気持ちが焦ってとうとう走り出す。
まだ、アキラは家で俺を待ってる、そんな確信があった。
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