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撫でられる
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男は、一方的に話し始めた。
「キミがさ、ここに入ってきた時から可愛いなって思ってね。話しかける切っ掛け探してたんだよ。そしたら、一人になって寂しそうだったから」
こんな可愛い子一人にするなんて、アキラも酷いね、相変わらず。そう言う、男の言葉に、やっぱりアキラはいろいろ遊んでたんだなと改めて思わされる。
まだ、話は終わらないのだろうか、今の電話もアキラの相手の誰かなのだろうか。
「アキラに、泣かされてるんじゃない?」
一瞬、体がピクリと反応してしまう。
その動きを見逃さなかったのだろう、男が距離を縮めてきた。
「やっぱり、ね。アキラに泣かされた子沢山見てきたからね。・・・リョウ君って言うんだよね?」
沢山・・・その単語が頭を巡り、何も考えられなくなる。
気付けば、男にスッと頬を撫でられていた。
「アキラなんか止めて、僕にしとかない・・・?」
耳元で囁かれ、思わず、鳥肌が立った。逃げたい、と立ち上がろうとした瞬間に、アキラの声が聞こえてきた。
「ナニしてるんですか、神林さん」
この男の名前は神林っていうのか、と頭の隅で思いながら、そんなことよりアキラの声が低くて、アキラが不機嫌なことのほうが重要で。
すぐに俺と神林という男の間に割って入ってくれるアキラを嬉しく感じる。
でも、俺に背を向けてるから、顔が見えないのが怖くて、アキラの袖をそっと摘まんでいた。
「コイツ、オレのなんで近寄らないでもらえますかねえ」
アキラの口調はのんびりとしたものだったが、空気はピリピリとして、怒りの深さを思い知る。
「今日は、アキラが戻ってきちゃったから、またね」
神林ものんびりとした口調で、俺のほうをちらりと見つめ、目が合うとにっこりと微笑み、手を振りながら去っていった。
その姿を見送って、止めていた息をゆっくりと吐き出した。アキラ以外の奴に触られたところから、自分が腐っていくのでは、と思うほどの気持ち悪さを感じていた。
それを知ってか知らずか、アキラが不機嫌な顔のままで、俺の頬をゴシゴシと自分の袖でぬぐう。
「アキラ、ちょっと痛い」
涙目で訴えても聞いてもらえず、更に不機嫌な低い声で、囁かれる。
「今夜、お仕置きだから覚悟しとけよ」
俺が悪いわけじゃないのに、と言いたかったが言えるわけもなく。帰ってからのことを考えると、本当に泣きそうだった。
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