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見つめ直す
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アキラの考えてることが、全くわからない。
先に、俺を避け始めたのはアキラだろ?
浮気しておいて、別の奴といちゃついて、これでいいって言ったのはアキラだろ?
どうして、俺が、責められるんだよ。
俺に文句をつけたいのなら、それぐらい、俺を煩わしく思っているのなら、どうして放っておいてくれないのか。
黙って放置してくれれば、俺だって何も邪魔しない。
「あの人の方がいいんだろ・・・?」
文句を言いたかったのに、心のなかでは言えるのに、出てきた言葉はそれだけだった。
あーあ、これでおしまいだ。アキラが肯定すれば、俺はもうここに必要ない。終わらせるつもりは、なかったのに。別れたくなんかないのに。
涙がじわりと、滲んでくる。
「アキラの気持ちが、わかんなかったけど、もういいよ。昨日の、あれ見たら全部わかったから」
アキラの表情は涙でぼやける視界の中では、やっぱり何もわからなくて、答えがないのが、答えなのかと思う。
「もう、いいよ、俺」
もう、終わらせよう。アキラを困らせたい訳じゃないんだ。
「別れよう」
泣かずに言えた。言ってしまえば、簡単な台詞。どうして今まで言わずにいられたのか、とさえ思ってしまう。
アキラの反応を確かめることなく、そのまま自分の部屋に戻った。
しばらく、自分の今の状況を見つめ直していた。
アキラと別れるなら、この家も出た方がいいんだろうな。
アキラが出ていくとしても、俺が他の人間と一緒に生活できるなんて想像もできない。
一人で生活するとして、家具とか揃えるのにいくらかかるんだろ。
バイト、もっと増やさなきゃな。
悲しみに蓋をするように、取り留めのないことを考え続ける。そうしていないと、泣き叫びそうだった。
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