アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
転機
-
ある意味では、アキラは変わった。
浮気を隠さなくなり、俺がたとえ泣いて浮気しないでくれと頼んでも、謝るわけでもなく、開き直ってあれは遊びだから大丈夫と俺を丸め込んでくる。
そして、耐えかねた俺が、離れていこうとすると、また激しい怒りで俺を縛りつけた。
精神的に追い詰められるほどの暴言を吐かれ続けることは当たり前で、時には激しい暴力で肉体的に打ちのめし、またある時は家から一歩も出してもらえず危うくバイトをクビになりかけた。
それでも、怒りが収まってくると、手のひらを返したように甘く、優しくなる。
『ごめん、オレが悪かった』
『許してくれ、もう二度としない』
謝罪も懇願も、浮気に対するものなのか、怒りをぶつけたことに対するものなのかもわからないまま、俺は、それを受け入れ続けていた───。
アキラは変わる様子はなかったが、俺の生活は少しずつ変化していった。
アキラには黙っていたが、バイトを増やし、苦手な接客業を始めた。小さな小料理屋だったが、客筋がよく、給料も高かったので、それほど嫌な思いもすることなく、なんとか続けることができていた。
元々働いていたファミレスの調理補助も時間が許す限り、シフトを入れ働きまくった。
金が欲しかったのも勿論だが、何よりも一人であの家にいたくなかった。
そして、俺に、小さな転機が訪れる。
それは、何の気なしに受けた、どこかの大学の著名な心理学の教授が講師の特別講義を受けた時のことだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 259