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覚悟
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「私の昔話はこれくらいですかね。・・・君とアキラ君が、私たちと同じようになるとは思いません。でも、これは私の勝手な押し付けですが、君には幸せになってほしいんです。私のように、後悔してほしくないんです・・・」
教授の言わんとしていることは、なんとなくわかる気がした。
俺が朝比奈教授でも、きっと同じことを言っただろう。
過去の自分と俺が重なって見えて、自分と同じ不幸を俺が味わうのを見たくなくて。
どんどん変わってしまったアキラ。
アキラも俺のせいで苦しんでるのかな。
俺がアキラを嫌いになれないから、アキラも俺を手放そうとしないのか。
このまま、一緒にはいられない、そうなんだろうな。
教授と彼のように、哀しい結末を迎える前に、ちゃんと、離れなければならないんだ。
アキラと別れることを考えるだけで胸が苦しい。
でも、苦しいけれど、この苦しさはきっとそのうち癒される。
ちゃんと、納得して別れられたの
なら。
教授は、その機会を永遠に失ってしまったから、その傷口が癒えることなく、血を流し続けてる。
教授は、その苦しみを俺に味あわせたくないと、話したくもないであろう過去を、俺に話してくれたんだ。
その優しさに、応えなければならない。
それが、俺をどんなに傷つけても。
それに、万一でもアキラが将来俺のことで後悔したり、苦しむことがあるのなら、俺は、それを排除したい。
結局は、アキラが幸せならいいんだ。
俺は、何もいらない。
アキラが一瞬でも、俺のものだった、その思い出だけで生きていける。
覚悟を決めた───
どんなに苦しくても決断できなかった、アキラと別れることを───
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