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意識
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───
頭が割れそうな痛みに、意識が戻った。
いや、戻ったというのは、現実ではなかったのかもしれない。
目を開けようとしても、何かで貼り付いたように開けられなかった。
体も全く動かせないし、四肢の感覚もなかった。
自分が生きているのか死んでいるのかすら、よくわからない。
頭を踏み潰されているような痛みも、吐き気も、現実のものなのだろうか。
『アキラ・・・』
そう呟いたはず自分の声は、聞こえてこなかった。涙が頬を伝う感覚だけが妙にリアルで、そのリアルさに安堵しながら、また、暗いところへ沈んでいった───
*****
意識がはっきりと戻った俺が最初に見たものは、見たこともない部屋の天井だった。
どこだ、ここ。
俺はどうしたんだ?
意識を失う前の記憶が曖昧で、状況が全く掴めない。
とにかく起き上がろう、そう思って体を動かした途端に、違和感を覚える。
吐き気と頭痛を耐えながら、なんとか上半身を起こしたところで、やっと自分の状況がわかる。
見たこともない部屋のベッドで寝ていたらしい。
上半身が裸であることはすぐに気がついていたが、かけられていたシーツをめくって、下半身にも何も着けていないことを知る。
何も、というのは厳密には間違いだった。
俺の足首には、見慣れないものが嵌まっている。
こんなもの、テレビや映画でしか見たことはなくて、全く現実感を感じなかった。
・・・どうして、俺の足首に足枷が嵌まっているんだろう。
足枷には鎖が繋がっていて、その先がどこに続いているのかは、ベッドの上からは確認できなかった。
恐る恐る足を動かしてみれば、膝を曲げた状態で、ガチャっという金属音にそれいじょうのうごきを阻まれた。
監禁・・・
その言葉が頭をよぎる。それでもまだこれが現実のものとは思えなかった。
そのまま、どれくらい時間がたったのか、ちょうど俺の正面にあった扉が音もなく開いた。
「ああ、やっと目が覚めたね」
この場に似つかわしくない明るい笑みを浮かべながら現れた、橋本さんの顔を見て、俺は意識を失う前の記憶を取り戻した。
同時に、今この状況が現実のものだという実感が急に押し寄せてきた。
抑えられない体の震えが、自分の心を表現していた。
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