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また、夢を見た──
でも、いつもみたいな嫌なものじゃない
胸が締めつけられるような感じも
息苦しい感じも、まったくない
とても穏やかで温かくて懐かしい…そんな夢
前にあいつが教えてくれた、海岸沿いの公園 その真ん中、大木の真下に置かれた二人がけのベンチに俺は座っている
一人じゃない、二人で…
隣に座るそいつの顔には白いもやみたいなのがかかってて誰なのかはわからない だけど、なぜか安心する
俺は笑ってて、そいつも多分、笑ってる
"なあ"
"んー?"
"次は冬に来ような、二人で"
"えー絶対寒いじゃん。てか、それまで生きてるかわかんないよ?"
"寒い、つってもお前、冬はいっつも病室にいるだろ"
"あー…バレた?"
"…当たり前だっつの"
生きろよ、足掻けよ、精一杯
心の中で強く願っていた
ヘラヘラと笑うあいつの笑顔が嫌いだった
──(本当は辛いくせに無理して)
あの減らず口が憎かった
──(お前の本音はどこにあるんだよ?)
あいつの持ってくる花が煩わしかった
──(そんなものがなくたって、十分伝わってる)
不器用で、優しくて、繊細で…
だけどすごく強情で、強がりな"盾"を持ってる
そんなだから、放っとけなくて、つい手を伸ばしてしまうんだ
ずっと一緒にいたいと願った
それ以外、なにもいらないと思った
そのために『約束』をした
なのに俺は──…
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