アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー 2
-
「………………す…………が……の………………?」
「……………」
「……………」
沈黙が気まずい…
とりあえず言われるがままに名前を呼んだはいいけど、頭の中はかなり混乱してた。頭のどこかでは理解できてても体の方が状況についていけていない。
交換条件のことを切り出されたこともいきなり「名前を呼べ」なんて言われたことも、もちろんこんな状況になっていることも、その意図が掴めずにいた。
なにより、『かお』という名前を知ってることに一番驚いた。
なんで……知ってんの…?
「…嫌なら拒めよ」
「は? なにを、
すが………──んぅ!?」
両手を拘束された僕にどう抵抗しろと言うのか
口を開く前に塞がれた。
──唇で。
「ん……ん……っふ、ぁ…」
酸素を求めてようやく開いた口も一瞬にして菅野の唇に捕らえられた。舌こそ入れてこないものの、貪るようなそれに鼻呼吸でしか対応できないのは体力的に少しキツい。
隙間を見つけては懸命に空気を取り入れるが、それでも全然足りなくて酸欠で思考が鈍っていく。キスだけで体がどんどん火照っていくのが自分でもわかって、意識すればするほど余計に熱が全身を巡る。
いつの間にか、完全に菅野のペースに呑まれてしまっていた。
収まりきらなくなった唾液が口の端から零れ、ツー、と伝っていく。
「──っはッ、あ!」
離れていく柔らかな感触に名残惜しさを感じつつも、本能的に足りなくなったものを求めて喘ぐ。
なんで……僕のこと、嫌いなんだろ?
罵声でも嫌味の一つでも言えばいいのに…それくらいされても文句なんて言えないのに…
君にとって、これが僕に対する最高の"嫌がらせ"だっていうのか…?
「………………ふ……っ、………ぅ………………」
……苦しい……悲しい……痛い……
心の中で確かにな、と納得した。
好きな人にこんな形でキスされて、期待を持たせておいてそんなのは全部嘘だったとばかりに、最後には期待を裏切り真っ暗な闇だけを置いていく。
これほどの絶望感は他にない。
僕にとっては君の存在がすべてだったんだから…。
漏れ出る嗚咽を押さえようにも、拘束された手ではなにもできなかった。
次はなにを言われるのか
考えると余計に不安が襲ってくる。
せめて──
もう少しだけでも一緒にいたい…
笑って過ごしてる君を見たい…
その隣で同じように肩を並べていたい…
……もう一度、君の名前を呼ばせて欲しい……
だって『かお』って名前は──…
「…俺はお前のことなんて大嫌いだ」
君が──…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 291