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時間が止まった
そんな気が、した
すべての感覚がなくなったみたいに
体中の力が抜けていった
…声すら出なかった
「……………のに………………」
「……嫌い、だった…。
きっと、これからも……その筈だった。それでいいと思ってた。
なのに…昨日、一日お前に会えなかっただけでイライラした。周りの奴等に俺がお前のこと脅して一緒にいる、って言われてすっげー悔しいと思った。
お前のことで不安になったり、悩んだり、落ち込んでる自分がいた。…こんな気持ち、初めてだった」
瞳が揺れた。
一瞬にして色を失った世界に
君の言葉が少しずつ色を落としていく──
「中庭でお前を見つけて、寝言で泣きながら『かお』って呼んでるのを聞いて、その人に嫉妬した。
起きて目が合った時も、目の前にいるのは俺なのに…俺を通して別の誰かを見てるみたいで嫌だった。お前の瞳に映るのは俺だけがいい、って思ったから。
でも、それでもいい、なんて思ってる自分もいて……矛盾、してるだろ?」
「……………」
………これは……夢、なんだろうか…
「"かおさん"がどんな人なのか俺は知らない。どんな関係だったのか、それは今もなのかも。
…迷惑なのもわかってる。自分でも、なにを今更、って思う。
だけど、もう…今までのような関係は、嫌なんだよ…」
…迷惑なんかじゃない……
ずっと聞きたかった。
ずっと待ち望んでた。
いつかこうして言葉にして伝えてくれることを。
……僕は君の言葉に
ほんの少しくらい、自惚れてもいいんだろうか…?
「……好き。汐音が好きだ」
ついに、涙が溢れた。
「おそい、んだよ……君は…っ」
ようやく、心から笑えた気がした。
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