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「で、誰だよお前」
「あれ、その質問は継続中だったわけ?」
「当たり前だろ。なんでお前が俺の名前知ってて俺が知らねんだよ。
アンフェアだ」
「菅野クンてアンフェアなんてお洒落な言葉使うんだー意外~」
「あぁ、くそ。質問に答えろよ」
結局、午後の授業はサボり、中庭の一角でいまだ素性の知れない相手となぜかお茶している。
打開策が見つかるかも、なんて思ってここまで来たわけだが、正直不安だ。不安しかない。
「まぁ、そうカッカしなさんなって。時間はたっぷりあるんだから」
「誰のせいだと…」
「え、あたしのせいだって言うの?」
「そうしかないだろ…」
「あっは、正直だね」
「……………」
…手応えがなさすぎる
「あたしは瀬良。瀬良 帆奏。
一応、クラスの副委員長やってんの」
「副委員長様がこんなところでサボってていいんですか」
「大丈夫大丈夫、うちの頼れるいいんちょーがなんとかしてくれるから。
それにここ、先生たち通らないから穴場なんだよ」
「……へぇ」
汐音もだが、この学校の中庭という場所は一体どれだけの生徒の溜まり場になっているんだろう…
「菅野クンはなんか委員会とか部活とか、してないの?」
「…なんにもしてねぇよ」
「だろうね~。してたら逆にびっくりだわ」
「じゃあなんで聞いた」
「社交辞令ってやつじゃない?」
「いらねぇよ…」
「ああ、そうなんだ?
だったら最初から本題に入れば良かった」
「……そうしてくれ」
今にも胃がキリキリと痛み出しそうな気分だった。
汐音とのダブルパンチは危険だ。精神的な疲労が大き過ぎる。
俺も瀬良も、飲んでいた缶が空きどちらからともなく自分の横に置いた。
コン、と空っぽの音が耳に響く。
「ぶっちゃけさ、菅野クンって汐音のこと好きでしょ」
「ぶっ……!はっ、ハア!?
なんなんだよ、突然!!」
「ああ、その反応だと図星か。
もしかして、もう付き合ってたりするの?」
「っ……!ッ……!!」
声にならない声が喉元で詰まる。
ぱくぱくと口を開閉させることしかできなかった。
「赤くなったり青くなったり忙しいね、菅野クン。いや、汐音よりはわかりやすくて全然いいと思うよ」
「な…な…っ?!」
「"なんで知ってんの"って顔だね?
いやあ、見る人が見ればわかるって。その点だけで言えば、汐音の方があからさまだったけどね」
「……………」
さっきから汐音汐音ってなんだか親しげじゃないか…?
汐音は瀬良とどういう関係なんだ
というか、俺、そんなに顔に出てたのか…?
「嫉妬した?」
「は、」
「あたしが汐音のことを知った風に話すのが気に食わなかったんじゃないの?」
ああ、まただ
なんで瀬良にはこうも簡単に俺の心を見透かされてしまうんだろう
「…なにが目的だよ」
「特にはなにも?
ただ、お近付きになりたいなーと思っただけ」
「はっ、モノ好きだな」
変な奴、と付け加えた。
それに瀬良は嫌な顔一つせず、むしろニコニコと上機嫌だった。
「さぁて、確信も持てたわけだし…本題に移ろうか」
よっこいせ、と振りをつけて体を起こすとニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
まるで獲物を見つけた狩人のような瞳。
ギラギラと一つの欲望にまみれていてそれがありありと浮かんで見えた。
「汐音に下の名前で呼んでもらいたいんでしょ?
それ、あたしが協力してあげよっか」
「………は?」
「あたしと汐音、クラスメイトなんだよね。教室前で話してたから、内容丸聞こえ」
トントンと自身の耳を指す。
…そういうことか
「その代わり、あたしと友達になってよ?
菅野か・お・るクン」
背中を悪寒が走った。
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