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攻略
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「盗み聞きだなんてタチが悪いじゃない?」
「そういう瀬良さんこそ。いい性格してるよね、人のモノに手を出すなんて」
汐音はかなりご立腹のようだ。
これはどこかで菅野クンとのやり取りを見てたな?
うーん…どこまで知られてるんだろう
事によっては菅野クンに合わせる顔がないかも それは困るんだけどなぁ
「あいつもあいつだよ。性懲りもなく誰にでもほいほいついて行きやがって…」
「……………」
…これはこれは
レアなものを見れたもんだ
壁にもたれしゃがみ込んだ汐音はいつもより小さく見えて、欲しいお菓子を買ってもらえず拗ねた小学生のようだった。
「…本気なんだ?」
思わず、ニヤリと口角が上がってしまう。
嫉妬してるくせに、内心穏やかではないだろう。言葉の端々で好きだと語るのにそのどれもが回りくどい。
菅野クンは鈍いところがあるから、油断してるといつかはするりとその手からすり抜けていってしまうんじゃないかな。そうなってしまったら、きっともう手遅れ。
…仕方ない、汐音にはちょっと攻めるか
「彼の思いを抑えつけてまで汐音がしたいことってなんなの?」
「…るさいな。瀬良さんには関係ないだろ。詮索しないで」
「関係はあると思うよ? だってあたし、菅野クンと友達になったもの」
「……はっ?」
汐音の両目がこれでもかというほど見開かれる。
会話の内容までは聞いてない、か…
それならそれで好都合だ
「もっと言ってあげようか?
汐音の前だから遠慮したんだけど、名前呼びも許されちゃったんだよねぇ」
「……………」
「……"かおる"クン、『汐音は呼んでくれない』ってさ」
「────!」
わなわなと震わせた体がすでに限界を知らせていたのをわかっていたが、敢えて突っ込んだ。
すると、立ち上がった汐音はあたしをもたれかかっていた柱の壁へと追いやり、逃げ場をなくすために手をついた。
──いわゆる壁ドン?
漫画に出てくるような甘い雰囲気じゃないけれど…
「…なに企んでんの」
「知りたい? でも、残念。教えてあげない。
…おっと、暴力は遠慮したいなぁ」
襟元をぐっ、と掴まれもしものことが起きる前に緩く静止に入る。
汐音自身、かなり抑えてはいるみたいだけどそろそろ本気で爆発してもおかしくはない。
「…いよいよ化けの皮が剥がれてきたんじゃない? 裏があるとは思ってたけど、自制できるようになったのって彼のおかげだったりするの?」
「……………」
「ていうか、どんなきっかけがあって知り合ったのか。そっちの方が俄然興味があるんだけどなぁ。
……彼に聞いたら教えてくれたりするのかなぁ?」
──ゴッ…!!
顔の横ギリギリに拳が飛んできた。
幸い、寸でのところでよけたから当たりはしなかったものの、そうでなければ確実に顔面を直撃してた。少しだけ冷や汗が滲む。
…躊躇なし、か……
「……いい加減黙れよ」
「…あはは、こわ〜い☆
それじゃあ、そろそろ退散するよ」
少し刺激しすぎたかもしれない。だけど、汐音の性格なら──。
「ああ、そうそう。今日の放課後は彼、先約が入ってるから。邪魔しないであげてね?
それと……
いつまでも鷹をくくってると──奪っちゃうよ? "かおる"クン」
それ以上なにか言うわけでもなく、再び拳が飛んでくる前に階段を駆け降りた。
…あーあ
あんな力任せに壁なんて殴るから拳割れちゃってんじゃん
こびりついた血は誰が掃除させられると思ってるんだろう
「……ふざけんなっ、」
絞り出された声は今にも消えてしまいそうなほどか細かった。
「お…置いてかれちゃ……た……」
息も絶えだえに涙目になった春野とばったり廊下で出会したのはそれからすぐの話だった。
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