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最初から
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平日のこの時間、通勤通学のラッシュを過ぎ駅のホームはとても静かだった。
座席も空席が目立つ。
腰を下ろし、瀬良からもらった紙を開くと下車駅の名前やそこからの行き方が詳細に記されていた。
なにを思って書いたのか、隅っこには『足りないのは覚悟だよ』というメッセージがあった。
見方が変わればこんなに違った感情を抱くものなんだな……
過ぎ去っていく景色を眺めながらそう思った。
──"覚悟が足りない"
きっと、俺のことだ。
側にいると、支えてやると決めたのに
自分なりに考え決断して、覚悟していたつもりだった。
だけど、自分から汐音に近づく勇気もない。気持ちを汲み取ってもやれない。相談しろと口先ばかりで、あいつから話をしてもらえるような対応もできてなかった。
本当にあいつを大切に思うのなら、誰よりも汐音を優先するべきだった。
…俺にはその他を切り捨てる覚悟がなかったんだ。
「……わかってる、わかってたんだ……
………ごめん、汐音……………」
お前との距離はまだ遠い。
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