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「汐音!?」
公園まであと数メートルの距離まで迫ったところだった。
見間違える筈がない。
目の前で崩れ落ちていくシルエットに名前を叫ぶ。
「っ!? …来るなッ!……ぁぐ、」
やっと見つけた。やっと出会えた。
なのに、様子が変だ。
ぜえぜえと肩で息をし喘ぐ姿に動揺を隠せない。
「聞こえ、なかったか…来るなって言ったんだ…」
「でもお前、それ……」
──知ってる
俺は、こんな状態になっているこいつを
だって、"前の時もそうだった"んだから
「それ、持病の発作だろ」
「だったら…なんだっての…」
キッと睨まれ思わず立ち竦んでしまう。
あと一歩
足を出せば届くのに、踏み出せない。
ここまで来て、俺はまだ躊躇うのかよ…
前の時は間に合わなかった。
俺の甘えが招いた結果だ。心のどこかで鷹をくくってたんだと思う。
お前は優しいから、不器用なりに気を遣って俺を自分から遠ざける。
俺が傷つかないように、それは自分だけでいいように。
でも、強がってもやっぱり寂しくて、傍にいて欲しいから、今だってこうして俺を待ってた。
来てくれることを、思い出してくれることを──。
「…俺はもう、お前から逃げねえぞ!」
そうだろ? ──"テル"
歩みを始めようとした矢先、突如照りつけた眩い光とけたたましく鳴り響くクラクションの音に足が止まった。
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